「ドイツは苦悩する」 著:川口マーン恵美 [ノンフィクションいろいろ]

「ドイツは苦悩する-日本とあまりにも似通った問題点についての考察」
著:川口マーン恵美 (草思社) 8点
少し前まで、北朝鮮との統一を目指していた韓国が、現在路線変更して、北朝鮮との共存を目指しているという説がある。
北朝鮮と韓国が統一した場合、韓国側の負担が大き過ぎるというのがその理由。北朝鮮に崩壊なんかされちゃったらもう大変。だから崩壊しないように、親北朝鮮路線に変更・・。
そう思うようになったきっかけが、東ドイツと西ドイツの統一であると言われている。
確かに、経済大国であった西ドイツは、統一ドイツとなって以降、不況に喘いでいる。でも、私が知っているのは、それぐらいで詳しい状況は全く知らない。
ドイツと日本の共通の問題点を検証する本かと思ったが、ぱらぱら捲ってみると、「現在のドイツの経済状況」「統一がもたらした経済混乱」(この部分が知りたかった)「旧東ドイツと旧西ドイツの住民の軋轢」「現在拡大しつつあるEUの中でのドイツの立場」など、いろいろな事が書いてある事がわかり、思わず購入。
表題にある「日本とあまりにも似通った問題点」というのは日本人の興味を引くのかもしれないが、逆にこの本がドイツのいろいろな側面を捉えている事を隠してしまって勿体無いと思った。
確かに、財政破綻しているのに日本以上に公務員が優遇され、そういう部分は見直されず財政がますます貧窮していっている状況や、子供の学力低下(2001年の31カ国対象の学力検査で、ドイツは学力が急落し、国民は大ショックを受けたらしい。そして日本は昨年2004年の学力検査で同じ様にショックを受けている(^^;))など似ている側面は多々あるが、それよりも1つの勢力となりつつある今のEUの状況や、歓喜と共に迎えられた東西ドイツ統一が、今ドイツにもたらしている暗い影、福祉国家の見本と言われていたドイツを包む、福祉を充実させてしまった為に起きた歪みなど、興味深い事がたくさん書いてあった。
この本を読んで、スイスがEU未加盟だった事を知りました(^^;)。いやぁ、いかにヨーロッパ事情に自分が疎いか思い知ってしまった。
だって、ヨーロッパのど真ん中にあるスイスだよ。永世中立国とは言え、国連加盟が最近の国とはいえ、絶対加盟してると思うじゃない。周りはみんな加盟国だし、ユーロとか経済的影響も大きそうだし。
この本に載っているヨーロッパ地図にはEU加盟国が色付きになってるんだけど、ほとんど色が付いている西ヨーロッパのど真ん中に白い所が・・・スイスです。スイス我が道を行ってますね~。ある意味凄い。
まぁスイスの件は置いておいて、他に印象的だったのは統一後の東ドイツ住民の心境の移り変わり。統一の際は、バラ色の未来を両ドイツ国民は夢見たが、どれだけ旧西ドイツから旧東ドイツに援助しても、旧東ドイツは復興せず、旧東ドイツと西ドイツ住民の経済格差も無くならず、旧西ドイツ住民は、自分達が稼いだお金を旧東ドイツにつぎこみ過ぎだと不満を漏らし、逆に旧東ドイツ住民は埋まらない経済格差に、旧西ドイツの人の持ち過ぎた財産をもっともっとこちらに提供するべきだと、西と東でこれほど貧富の差があるのは不当だと思う(社会主義の思想だね)。旧東ドイツの住民の不満は、ドレスデンでのナチズムの精神を持つ「国家民主主義ドイツ党」の躍進をも呼び、ドレスデンで12議席も獲得してしまった。東欧の中では成功していたと言える旧東ドイツの住民にとって、違う国ならともかく、同じ国の中で、これだけの貧富の差が発生するというのは我慢できない状況なのだろう。経済大国だった西ドイツと、東欧では優等生だった東ドイツが統一した結果がこれでは、もっと経済格差があると思われる北朝鮮との統一を韓国が憂えるのはわかる気がした。
この本では、何故ここまで統一が失敗に終わってしまったかの原因についても詳しく述べている。
他にも戦後ドイツの経済的歩み、トルコ人勢力(イスラム教勢力)の脅威(著者は、トルコのEU加盟には文化が違い過ぎると反対である)、メディアの暴走など、面白い部分が多かった。
著者一人の目から見たドイツという事で、主観が入っている部分もあるのかもしれない。主観が入っているのか、どうなのか、自分の浅い知識では全くわからないというのが、ちょっと情けないので、機会があったらまたドイツの現状に関する本を読んでみようとも思った。
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(記事概要) ベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日から早18年。つまり...







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