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「MAMA」監督 ギレルモ・デル・トロ:森で2人だけで育った少女達。彼女を育てたのは・・・。 [本:ホラー&ミステリー]

MAMA [DVD]

MAMA [DVD]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • メディア: DVD
7.5点

心を病み、共同経営者と妻を殺害した父親。
1歳と3歳の娘を連れて逃走するが、その途中スリップ事故を起こす。
奇跡的に助かった3人がたどり着いた先は、打ち捨てられた廃墟。
父親は、娘2人を殺そうとするが、何者かに殺されてしまう・・。
そして、1歳と3歳の少女2人が、廃墟に残った・・・。

数年後、その廃墟で暮らす少女達が発見される。
捜索費で破産しそうになりつつも必死で少女達を探していた父親の弟であるルーカスは、
恋人のアナベルと共に少女たちを引き取って育てる事にするのだが、
彼女たちを育てた何者かが、少女達についてきていた。
少女達が「MAMA」と呼ぶその存在は・・・。


パシフィック・リム」(リンク先感想)のギレルモ・デル・トロ監督作品。
ミミック」(リンク先感想)でも思ったけど、序盤から中盤への雰囲気の盛り上げ方は上手で、
子供達の拙い絵から伺い知ることができる廃墟での生活は、明るい雰囲気がありながら
なんとも言えない不気味さを感じさせ、新しい生活を脅かしていく「MAMA」への恐怖、
精神科医による少女達への質問により、徐々に明らかになる廃墟での生活と「MAMA」の正体と、
なかなか楽しめる展開に。

また少女2人がすごくいい。
普通の生活を記憶しており、徐々に新しい生活に馴染んでいく姉と、
物心つく前に廃墟で生活するようになった為、なかなか馴染まない妹。
姉は、MAMAが人に害をなす存在であることに気が付き、アナベルの身を案じるが、
妹は、母親としてどこまでもMAMAを慕う。
子役ながら、その辺を上手くこなしていて、これが作品全体のグレードをあげてる気が。

ラストの盛り上がりは、ちょっとやり過ぎて興ざめしちゃったのと、
テーマが「母と子の絆」なせいか、ルーカス、必死で捜索費出してたのに、あまり出番が無く、
ラストもちょっとかわいそうな扱いだったのが残念。

それでも、じわーっと怖い雰囲気があり、展開も面白く、楽しめた映画でした♪

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「ミミック」監督ギレルモ・デル・トロ:遺伝子操作で生み出された新種の虫が突然変異!ムシ・虫・蟲・・がたっくさん! [本:ホラー&ミステリー]

ミミック [Blu-ray]

ミミック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray
6点

ニューヨークで突然流行りだした謎の伝染病。
多くの人命を奪ったこの伝染病は、ゴキブリを媒介に広められている事が判明。
昆虫学者のスーザンは、ゴキブリを短期間に死滅させることができる
カマキリとシロアリを遺伝子操作し生み出した虫、「ユダの血統」を放つ。
それにより、伝染病の流行は沈静化したが、3年後、子孫を残せず半年で死滅するはずだった
「ユダの血統」が独自の進化を遂げ、人を捕食する生き物へと変貌していた。
「ユダの血統」が進化し生き延びている事に気がついたスーザンは・・・・。

監督は、怪獣映画が好きなら感涙モノ「パシフィック・リム」(リンク先感想)のギレルモ・デル・トロ監督。

オープニングから、気持ち悪い虫がたっくさん!
下水道の中の大量のゴキブリ、いろんな虫の映像・・・・虫嫌いな人なら、ゾワゾワ来ること間違いなし!

ただ、メインのストーリーは陳腐。
登場人物の魅力もあまり感じられないし、性格の描き方も上手いとはいえない。
上手く描ければ魅力的になるんだろうなぁという性格設定になってても、
その魅力がちゃんと出せてないというか、薄っぺらいというか。

地下道に巣食うおぞましい蟲達、虫が大量にいる研究室、
遺伝子操作された生き物を世に放つ危険性・・・・と、舞台設定やディテールに関しては、
それなりによく出来てるんだけど、とにかくストーリーが・・・・(-_-;)。

「パシフィック・リム」でも思った、人間ドラマの下手さが、出てしまってる上、
人間ドラマは陳腐でも、他に魅力盛りだくさんで楽しめ、「人間ドラマなんておまけ!」と
思えた「パシフィック・リム」と違って、人間ドラマのウェイトが大きいので、
「陳腐過ぎるストーリー」って方が印象に残った。

前半は、虫がたくさんでてくるゾワゾワ感、虫に対する嫌悪感などが刺激され面白かった。
でも、変異した「ユダの血統」との直接対決になる後半は、「ユダの血統」が、虫の持つおぞましさが
なくなり、「戦隊物」もしくは「仮面ライダー」の怪人みたいになってる上、
カッコイイ戦闘シーンもなく、盛り下がり。

「仮面ライダーの怪人」と化した「ユダの血統」自体は、ある意味面白くもあるんですが、
シナリオ的には、「????」とか、「これはないだろ」と突っ込みたくなるような展開だったし。

主人公の女性が、遺伝子操作で変身して闘ったら、また別の魅力が見られたかもしれないけど(笑)。
それじゃ、「仮面ライダー」とか、「テラフォーマーズ」になっちゃうけどね(^^;)。
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「リバーサイド・チルドレン」梓崎 優著:ずっしり重い設定に、物語が上滑り・・・・。 [本:ホラー&ミステリー]

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)

  • 作者: 梓崎 優
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/11
  • メディア: 単行本
6点

カンボジアのストリートチルドレン達と暮らすことになった日本人の少年ミサキ。
ストリートチルドレン達の置かれる過酷な環境。
腐臭漂うゴミ捨て場でゴミを拾って生きる彼らは、劣悪な状況の中でもたくましく生きていた。
しかし、ストリートチルドレン達が次々に殺されるという事件が起こり・・・・。

この小説で描かれているストリートチルドレン達が置かれている過酷な環境というのは、
現実世界に即したものだと思う。
親に捨てられ、売られ、親の虐待に耐えかね・・・一人で生きる事を選び、過酷な状況に身を置く彼ら。
彼らの命は驚くほど軽く、劣悪な環境で必死で働いても、いつも飢えるような生活。

その辺が、この小説からも見えるんだけど、その厳しい現実を舞台に描かれる物語が、
どうも浮いている。
陰惨過ぎる部分や、人の醜さ、目を背けたくなるような悪い部分はさらっと描き、
いい部分を詳しく描いているせいで、土台になってる舞台が、過酷なのが見えているのに、
物語は、別の場所で展開されているような印象を受けるというか。
それは、日本人の少年ミサキの視点で語られるから・・・と言われれば、そういうものかとも
思えるんだけど、それがテーマならともかく、そこにミステリー要素が付加されたため、
より視点はぼやけ、最後まで、物語に入り込めない、つかみ所の無さだけが残る結果に。
ただ、ミステリー要素がなければ、物語自体が、大きなメリハリも、先を読みたいという
吸引力も無いものになりそうな感じだったので(事件が起きるまで、単調な印象だった)、
ミステリー要素は必要だったようにも思えるし・・・。

著者の特徴らしい、情緒的な文章は、たまに効果をあげていたけど、全体を通して、
その文体でも無いので、全体をまとめあげるほどの効果がなく、場合によっては、
情緒的過ぎて弊害になってる場所も。

ミサキがカンボジアでストリートチルドレンになった理由や、連続殺人事件の謎解きやその経過は、
ちょっと突飛過ぎて、マンガみたいだと思えたし。

駄作というほどの出来ではないんだけど、全体的に中途半端という読後感が残った。
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「憑き歯 ~密七号の家」五味弘文著:「黒い歯」に憑かれた者の末路は・・・。お化け屋敷プロデューサーが描いたオカルト・ホラー。よくまとまってます♪ [本:ホラー&ミステリー]

憑き歯 ~密七号の家~ (幻冬舎文庫)

憑き歯 ~密七号の家~ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 五味 弘文
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/07/12
  • メディア: 文庫
7.3点

その街では、過去に何度か陰惨な連続殺人事件が起きていた。
しかし、別々の犯人が起こしたその事件の関連性を知っている者は、極一部の人間だけ。

その街の「郷土資料館」に赴任した笹川。
川の事故で長女を失い、その事で離婚に直面していた彼は、古い蔵から、
子供の歯が埋め込まれた人形を見つける。
その街には、歯にまつわる不思議な言い伝えがあった。
「おにのははえるな、ひとのははえろ」。
そのオマジナイの持つ意味とは??

そして、事故で生き残ったが、声が出なくなった笹川の次女咲希は、
学校で小瓶に入った黒い欠片を見つけた。
それが咲希の運命を変えていく。
崩壊しかかった家庭。
しかし、突然の咲希の驚くべき変化が、家族の絆を取り戻してくれるように思えたが・・・。

憑き物系のオカルト・ホラー。
物語のテンポもよく、登場人物のキャラクター設定や、要所要所に挟まれるエピソードも、
上手くストーリーに生かされ、とてもよくまとまったホラー小説として楽しんで読めました♪

ただ、文章があまり「ホラーホラー」してなかったのだけが残念。
簡潔ですっきりした文章なんだけど、そのせいもあってホラーっぽい陰惨な雰囲気が
あまり作れていなくて、オカルト・ホラーというより、ミステリー的な文章な印象。

謎が徐々に解けていくストーリー展開は面白いけど、ゾクゾクするような怖さが無いというか。
ストーリーはメリハリもあり、面白かったので、勿体無いなーと思ってしまった。
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「雀蜂」貴志祐介著:「あと1回刺されると、俺は死ぬ。」ってカバーで、ある程度内容はわかるね(^^;) [本:ホラー&ミステリー]

雀蜂 (角川ホラー文庫)

雀蜂 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 貴志 祐介
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫

4点

「雀蜂」というタイトル、そして「あと1回刺されると俺は死ぬ。」という帯のキャッチ、
表紙に描かれた、雪に閉ざされた家と、雀蜂・・・・、まぁそれだけで、おおまかな内容は
わかっちゃう話です(^^;)。

雪深い山の別荘で、朝目覚めた作家である安斎は、不可解な状況に遭遇する。
隣にいるはずの妻の姿は消えており、雀蜂が部屋の中を飛んでいた・・・・。
一度雀蜂に刺され、その時かなり強い反応が出た安斎は、次に雀蜂に刺されたら
「アナフィラキシー・ショック」を起こし命が危ないと言われていたため、恐怖に慄く。
冬なのに、家の中には大量の雀蜂が飛んでおり、電話も使えなくされ・・・・。
「何者かが自分を殺そうとしている!」そう確信した安斎は、自分自身の作家としての
知識を駆使し、この最悪の状況から逃れようとするのだが・・・。

雀蜂の生態や、主人公の行動に対する説明がかなり多く、その辺の描写が、くどくどしていて凡庸。
ストーリーも、主人公の行動が「???」と思える部分がいくつか(心理描写があまり上手く
行ってない)。
悪の教典」(リンク先感想)もそうだったけど、全体的に「本当に貴志祐介が書いたんだろうか??」と
思えちゃう、雑さ、拙さが見えた。

ラストのどんでん返しも、途中の展開で予想がつく部分があったし、
それより、ストーリーの大部分を締める「雀蜂」の恐怖が、上手く表現されていないのが問題かな?

貴志祐介が書いて無ければ読まなかったと思われる本(最初に書いた通り、あまりにも
内容が想像できすぎ←雀蜂大嫌いで、怖いの好きって人にはいいかも)だけど、
貴志祐介じゃない人が書いたと言っても、納得しちゃうような内容。
残念っ(>_<)。

ただ、それなりにまとまっているので、「貴志祐介」への期待が無ければ、
もう少しだけ点数は高かったと思われ。
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「異能怪談 赤異本」外薗昌也著:漫画家による実話短篇集。小粒な印象 [本:ホラー&ミステリー]

異能怪談 赤異本 (竹書房ホラー文庫)

異能怪談 赤異本 (竹書房ホラー文庫)

  • 作者: 外薗昌也
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2012/09/29
  • メディア: 文庫
6点

作者の名前、どこかで見たことあるなーと思ったら「犬神」や「エマージング」などを
書いている、漫画家さんだった。
以前、ホラーコミック短編集「赤い妹」(リンク先感想)も読んでた。

漫画家である著者が、いろいろ体験したり、聞いたりした怪談を集めたという
「実話怪談集」の体裁をとっている。

amazonでの評価が、そこそこ高かったので読んでみたけど、微妙。

全体的に、ページ数が少なめの短編が並び、それなりにまとまっているが、
まとまり過ぎていたり(キレイに落ちると、ノンフィクションではなく、フィクションと感じられる)、
「夢が何かを暗示している展開」や、「○○がその後どうなったか知らない・・・」と
締める話が多めで、ちょっとワンパターン気味って印象も。

「聞いた話」ではなく、著者の実体験として書かれている「心霊ツアー」と、
「僕の家」は面白かった。
「実話怪談」じゃなく、フィクションとしてホラー短編を書いたほうがいいんじゃないかなぁ。
「人から聞いた話」を怖く読ませるのって、かなり難しい。
「実話怪談」って少しでも、フィクションぽさが見えちゃうと、興ざめしちゃうし。
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「疫神(やまいがみ)」川崎草志著:世界に迫るパンデミック。それに気がついたのはたった一人の子供だけだった・・ [本:ホラー&ミステリー]

疫神 (単行本)

疫神 (単行本)

  • 作者: 川崎 草志
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/07/31
  • メディア: 単行本

7.5点

猟奇殺人、都市伝説、過去の惨劇などが絡みあったミステリーであり、前半ゲーム業界ネタ満載
なのが異色な「長い腕」、その続編である「呪い歌 長い腕2」(各リンク先感想)を
出している川崎草志の3作目長編。

アフリカで発見された、人の体内で増殖するオレンジカビによる致死率100%の感染症。
オレンジカビの調査をしたアメリカの研究所員エミリーは、自分たちより先にオレンジカビを
発見したと思われる男を追って、日本に訪れる。
しかし、男は失踪していた。
グローバル化による交通網の発達により、治療方法も見つかっていない、
オレンジカビによるパンデミックの脅威が世界に迫る。

人里離れた場所に住む翻訳家の二海士郎。
彼は、妻と幼い子供と幸せな日々を送っていた。
しかし、彼は「あの人」との遭遇を恐れていた。
そして、「あの人」が現れた時・・・・。

長野の山村に住む幼稚園児である桂也は、巫女であった祖母の血を受け継いだのか、
不思議なものを見ることが多かった。
そして、彼は、村の異変に気がつく・・・。

3つの独立した話が交互に語られ、伝染病と文明の関係、21世紀に入っての新型感染症の
増加などの話を交えながら進むバイオミステリー仕立てのエミリーの話、
「あの人」に怯える夫婦の姿を描く、現代怪談風の士郎の話、
村を守る道祖神の話など、伝奇ホラー的な桂也の話、それぞれが面白く読め、
最後にまとまるという展開は「おおっ!」と思わせてくれたし、とても良かった♪

ただ、「長い腕」が、オカルト要素を持ちつつもミステリーであったのに比べ、
今回は、しっかりオカルトホラーって感じ。
私は、バイオホラーも、怪談も、伝奇ホラーも、どれも好きなので、
3作別々に語られる話、どれも好みだったけど、オカルト要素の無い「ミステリー」を期待すると、
ちょっと肩透かしかも。
また、最後、「えっ、これは解明されないの??」って部分があったのも気になった。

それでも、好きなネタ満載で、最後までグイグイ読ませる話だったし、面白く読めた♪
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「奇病探偵 眠れない夜」牧野修著:暴力的になる、自殺衝動に囚われる・・様々な奇病と対峙する研究所に就職した主人公は・・ [本:ホラー&ミステリー]

奇病探偵 眠れない夜 (タソガレ文庫)

奇病探偵 眠れない夜 (タソガレ文庫)

  • 作者: 牧野修
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2013/07/26
  • メディア: 文庫
7点

「日本疾病管理予防研究所」・・・感染症について研究する怪しげな施設。
そこに経歴を詐称して就職した、気弱で小学生にも見える童顔な森田彼岸。
寄生虫と結婚したとまで言われる、寄生虫研究の一子、派手な格好で感染症の
フィールドワークをする美女(うつくし)、いつも穏やかな微笑みを浮かべているが
研究の為には手段を選ばない所長・桜、のんびりおっとりお茶を飲むのが趣味な通称カビ爺・荒木、
カビ爺の研究を実際には行っている正義の熱血漢蘇我(通称ジャスコ)など、
研究所には一癖も二癖もある人間ばかり。
しかし、彼らは、突然暴力的になる奇病、ゴミ屋敷をつくりだしてしまう奇病・・・などの、
発生に気が付きそれらを次々に解決していく。
しかし、あまりの手際よさを不自然に感じる彼岸は・・・。

漫画チックに個性的過ぎる登場人物達と、全体的なノリの軽さ。
ホラーのライトノベルという印象。
牧野修は、SF、モダンホラー、SFホラー、オカルトホラー、スラップスティックSF、
そして今回のようなライトなノリのホラーと、いろいろな傾向のSF・ホラーを書いていて、
そのかき分けも上手く、完成度も高いものが多い器用な作家。
今回も、そういう意味では、個性的過ぎる登場人物は面白いし生き生きと描かれ、
また、作品に出てくる奇病もエグかったり、グロかったり、いい感じでおぞましく、
ライトノベル系ホラーとしてそれなりの完成度になっている。
ただ、1つ1つのエピソードは面白いけど、全体的なストーリーの盛り上がりにはかけ、
中途半端感も残る。

この本、新しくできた竹書房レーベル「タソガレ文庫」の一冊。
「ホラーとミステリーの融合」を謳っていて、ラインナップを見ると、ライトノベル系で、
対象となる読者は20代くらいと若いんじゃないかと。
で、その辺を意識し過ぎて中途半端になったんじゃないかなーって感じも。
いろいろな毒を孕んでいる話なんだけど、そのどれもがあまり突っ込まれずに、
毒々しさ禍々しさが出すぎるのを抑え、ソフトに表面だけがサラっと書かれている。
ブラックなユーモアや、禍々しい要素を強く出せば、もっと面白くなった気がするのに。
子供だまし的に感じる、あまりにも安易だなぁと思える部分もちょっとあったし。

それなりには面白かったけど、もっと面白くなったはず・・・という物足りない感・勿体ない感が残る話だった。
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「エス」鈴木光司著:「リング」シリーズ!ぎゃーー小粒な「ループ」だーーーーΣ( ̄ロ ̄lll)!!そして「貞子3D」でノックアウト! [本:ホラー&ミステリー]

エス (角川ホラー文庫)

エス (角川ホラー文庫)

  • 作者: 鈴木 光司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/05/25
  • メディア: 文庫

4点

大ヒットした「リング」シリーズの1冊。
「リングシリーズ」は、「リング」「螺旋」「ループ」外伝「バースディ」、そしてこの「エス」。
もうすぐ新作単行本「タイド」が出るらしい。

「リングシリーズ」は、1作目「リング」2作目「螺旋」は好きだけど、突然オカルト・ホラーが
SFホラー風になり賛否が分かれた「ループ」、私は許せず嫌い( ̄皿 ̄メ)!!
でも、久々に見かけたリングシリーズだったので(単行本は出てたけど気が付かず、
文庫版で気が付いた)、買ってみた・・・・そして・・・・・・・「買うんじゃなかった~!」
という後悔だけが残った。

映像制作会社に勤める安藤孝則は、首吊り自殺をする中年男性の映像解析を依頼される。
調べる内に、その映像が徐々に変化している事に気がつく。
安藤には、結婚を意識した茜という女性がおり、彼女の妊娠報告を受け、結婚を決意する。
しかし、首吊り自殺した映像の男が誰なのか判明した時、安藤は、茜が妊娠したと思われる
旅行での、不可解な出来事を思い出し旋律する。
カーナビの間違いにより導かれるように行った山の中には、古びた井戸が。
そして、その場所の近くでは昔恐ろしい事件が起きていた・・・。

まず、「リング」「螺旋」「ループ」を読んでいないと、いろいろ楽しめません。
特に「リング」とのリンクは強く、読んでいれば、「あっ!」と思う事がたくさんあるはず。
その辺は楽しかったんですよ。
「リング」は好きだし。
「リング」に関しては、かなり詳しい内容が語られ、螺旋が絡み、そして、
私が忌み嫌う「ループ」のような展開がドカーンヽ(lll゚Д゚)ノと・・・。

それも、「ループ」より酷いかも。
密室殺人とか、アリバイ工作とか、難解なトリックがどう解決するのかと、
ドキドキとミステリーを読んでたら、最後の最後に、
「私なんでもできるんです♪(〃∇〃)テヘペロ」って魔法使いが登場~!!ってな感じ。

えーーーー、これだったら、なんでもありじゃん!!って感じ。

舞台は狭く、主人公安藤と茜を巡るストーリーが中心で小粒、それでも、
「リング」とのつながりからドキドキと読んでたら・・・・・・・あれーーーーーーー奈落。

「ループ」で凝りてたのに、買った自分がバカなんですが・・・・・・。

皆さん、第六感とか虫の知らせとか信じますか??

この本、8割くらいまで、さくさくと面白く読んでたんですが、もうラスト!!ってところで
読むのを中断し、その後、なかなか読む気にもなれず放置してたんです。
自分でも「何で続きを読みたくないんだろ??盛り上がってるところだし、後少しなのに?」とか
思ってたんですが、それは「第六感」なるものだったんだろうか??
と思いたくなるほど、残りの2割読まなきゃよかった~と後悔後悔。

残りを読み始めた直後、竜司(ネタバレなので反転)の名前が出てきた瞬間、嫌な予感はしたんですよ・・・。
予感は的中、いや、尻すぼみなラストは、予想よりも酷かった・・・・(T_T)ぐっすん。
「リング」「螺旋」が好きなだけに、悲しいなー。

一応、記事のカテゴリーは「ホラー&ミステリー」に入れたけど、オカルト・ホラーも、
SFも冒涜されてる気がして、どこにも入れたくなーーーいっ!!

リングシリーズ、「ループ」を含め好きな人なら読んでもいいけど、
「ループ」が嫌いな人は、読まない方がいいです。
ホラーが好きな人にも、怖く無いので不向き。

その上、その上、これを読み終わった数日後、テレビでこれが原作になってる「貞子3D
(リンク先感想)を見て、あまりのすごさにノックアウト!
原作「エス」、映画「貞子3D」のダブル攻撃に死にました(-_-;)。
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「暗くて静かでロックな娘」平山夢明著:腐った胸糞が悪くなる短篇集!それが魅力! [本:ホラー&ミステリー]

暗くて静かでロックな娘

暗くて静かでロックな娘

  • 作者: 平山 夢明
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/12/14
  • メディア: 単行本
7.3点

平山夢明の短篇集は、人間の醜さ、身勝手さに溢れ、ドロドロと救いが無く陰惨な気分に
させてくれたり、ドブ川や公衆トイレの腐った臭気が漂って来そうな話が多いけど、
特にこの短篇集は、その傾向が強い。

精神的に元気じゃないと、読むのが辛い話が多かった。
まぁ、それが平山夢明の魅力でもあるのですが(^^;)。

10篇の短編を収録。
●「日本人じゃねえなら」アル中で自堕落で生活が崩壊している男と、孤児の兄妹の話。
「差別」がテーマにあるけど、人間性とか、そういうのを考えられさせる、切ないけど、後味の悪い話。
●「サブとタミエ」自殺未遂で寝たきりになった男に、女を寝取られた男の話。
●「兄弟船」麻薬でおかしくなってしまった兄と、その兄を憎む弟の話。
確かに、自分の不幸を他人のせいにしてる限り、人は救われないんだよね。
●「悪口漫才」交通事故で子供を轢き殺し、警察に連絡するまでに葛藤を描いた話。
ちょっとした事で不幸はやってくる・・・そういう怖さと、なんかこう胸が悪くなる人間の奥底にある
嫌な感情を感じる話。
●「ドブロク焼場」火葬場が舞台の話。子供2人の葬儀を立て続けに行った母親の、ある奇行の意図は。
●「反吐が出るよなお前だけれど」聞くに耐えないような罵り合いをしながら、反吐がでるような
ラーメンを出すラーメン店の夫婦の話。
「ラーメン二郎」や、現在のグルメブームをちょっと揶揄している。
●「人形の家」パチンコ狂の男と、自殺願望が強い女の話。
●「チョ松と散歩」いじめられっ子のチョ松が、爆破される煙突を見に行きたいとゴネる。
それに付き合った主人公は・・・。
きっとこの短篇集の中では、一番ほのぼのする話。
●「おばけの子」娘を持つ母と、内縁の夫。
本当にこういう事がありそうな、児童虐待の話を、虐待される娘の視点で描く、辛い辛い辛い話。
周囲の行動や、行政の対応も、ありそうなのが、また辛い。
●「暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」目と耳が不自由な美少女ロザリンド。
何故か彼女に気に入られた男は、自堕落な生活を改めようとする男が・・・。

児童虐待の話「おばけの子」は、本気で辛い!
「日本人じゃねえなら」も、同じように救いがない。
救いがある話でも、ドヨーンと重い何がが残る。

人間の嫌な部分、醜い部分、それらを中心に描いた、どす黒くて、どよ~んとした作品が
多いなか、2編だけ救いが。

短篇集に出てくる男は、仕事もちゃんと続かず、自堕落で、不潔、アル中だったり、
ギャンブル狂だったり、心の中は悪くないけど、頭がいかれてたり、どうしようもないのが多いんだけど、
それを優しく受け入れ寄り添う女性(それも美人だったりする)が出てくる話が多い。
「どんなダメな自分で受け入れてくれる女性」って、男の人の夢なのかな?
でも、女性である私には違和感(^^;)。
点数が若干低めなのはそのせい。

どよどよとどす黒い嫌な気分になりたい人、もしくは平山夢明が好きな人にお勧め(^-^)ノ。
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「恐怖箱 蝦蟇」神沼三平太、深澤 夜、高田公太著:玉石混交 [本:ホラー&ミステリー]

恐怖箱 蝦蟇 (竹書房恐怖文庫)

恐怖箱 蝦蟇 (竹書房恐怖文庫)

  • 作者: 深澤 夜
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2011/06/29
  • メディア: 文庫
7点

神沼三平太、深澤 夜、高田公太、3人の作品を集めた、実話怪談風短篇集。
SS、短編、合わせて33編が収録されてます。

前半、面白く無いなーって話が多かったし、1~2PのSSは、いまいちの話が多く
(SSで面白い!と思わせるのは難しいと思うんだけど)、
また、3人の作者の内、高田公太氏の作風は、合わないというか、好みじゃなく、
玉石混交という印象が強い。

それでも、血まみれの女の幽霊が出るアパートの話「パーツ」、主人公が、
三輪車に乗っているのを目撃した人が亡くなる「三輪車」、自宅での怪異を書いた「さるぼぼ」、
子供の足音に付きまとわれる「黄色い長靴」、依頼を受け部屋に出る幽霊を調査することに
なった「アイアンマン」など、面白い話もあった。
特に、巻末の「アイアンマン」は好き!
ほとんどが深澤 夜氏の作品なので、きっと丁寧に状況を描写する深澤氏の作風が
自分の好みなんだろう。
神沼三平太氏は、ちょっと「変わってる」って作品が多かった。

実話怪談短編が好きなら、それなりに楽しめると思う。
でも、実話怪談が好きな人向け。
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「WORLD WAR Z(ワールド ウォー ゼット)」マックス・ブルックス著:ゾンビ小説の傑作!! [本:ホラー&ミステリー]

WORLD WAR Z

WORLD WAR Z

  • 作者: マックス・ブルックス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/04/10
  • メディア: ペーパーバック
8.5点

ジョージ・A・ロメロが、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」でこの世に送り出した生きる死者「ゾンビ」。
動きは緩慢で、人を襲い、噛まれた者もゾンビと化し、頭を破壊しないと死なない・・・。

多くのゾンビものは、世界がゾンビ禍に襲われたとしても、どこかの「ある場所」での物語を語っている。
しかし、この本はタイトルにある通り「WORLD WAR」、「世界大戦」。
もちろん、タイトルの最後の「Z」は、ゾンビの事である。

物語は、ゾンビが世界中に広がり世界は壊滅、その後「ゾンビ戦争」と呼ばれるゾンビとの戦いが、
多くの犠牲と、過酷すぎる苦難を乗り越え、終了した世界が舞台。

主人公である著者が、世界各国で、ゾンビ戦争を生き延びた人々の体験をインタビューし、
それをまとめた本という事になっている。

ゾンビ禍の発祥の元ともなった中国で、感染者に初期に遭遇した医者、
北へ北へと逃げたアメリカ人の一家、いち早くこの感染症に気がついたイスラエルの諜報部員、
発祥当時アメリカ政府に関わっていた人物、ゾンビと戦った兵士、
引きこもり状態から、どうにか生き延びた日本人、潜水艦の乗組員、船で脱出しようとした人・・・
感染症の「兆候」が見られた時期、パニックが起きた時期、形勢が一変した時期、
アメリカでの国内戦、全面戦争、戦争の終焉・・・それぞれの時期について語られる
人々の体験、そして気持ち。

個人というミクロの視点から、世界というマクロの視点が想像できる、
本書のあとがきの言葉を借りると「さまざまな人物の証言からあるできごとの総体を描き出そうとする
オーラル・ヒストリー」の手法が、最大限に生かされ、ゾンビに襲われた世界が想像できると共に、
普通の人であった個人のドラマが、克明に描かれている。

個人の体験談は、どれも短編として成り立つほど面白いだけでなく、
発祥の地である中国の隠蔽工作の巧みさや、中国マフィアである蛇頭が金さえ出せば、
感染者と疑われる人々ですら、国外逃亡を手助けしたりしたことが、被害をより拡大したり、
即籠城体制に入ったイスラエルの考え方や、保身に走り対策が後手後手になったアメリカの
政治家の話など、今の世界にいろいろな部分がリンクしていて、そういう意味でも、
楽しめる一冊。

「もしゾンビが発生したら」だけじゃなく、「もし世界規模の致死率が恐ろしく高い感染症が発生したら」
この世界のようになりそう・・・と思えたのも怖い←日本の政治家役に立ってないし、
そんな政治家の指示に、「国がなんとかしてくれる」とギリギリまで従ってしまう国民性も、
当たってるっていうか(^^;)。

ゾンビ禍中期には、ホワイトカラーが全く役立たずになり、孤立したグループで自給自足をする為に、
部下だったり、雇っていたブルーカラーに技術指導を受ける事になってしまうなど、
価値観すら変わっていく様も面白かった。

著者は、社会主義が嫌いなのか、中国、ロシア、キューバなどについては、
「体制の不備から、超ダメダメ」というような描き方をしすぎているのは気になったけど
(「北朝鮮」は、「大丈夫」だったんだけど(^^;))。

また、この作品に出てくるゾンビ、動きが遅く愚鈍なのは今までと同じだけど、
その数が数十万、数百万だったら攻防戦はどうなる?(撃ち殺したゾンビの壁ができ、
そこの後ろからも、どんどんゾンビが来る)、水に落ちても死なず、海底にも歩いている
ゾンビが大量にいて、潮に流されたりして上陸してくる、ライフジャケットをつけたまま
ゾンビになった人は、浮いた状態で襲ってくる・・・・etc、と様々なゾンビの状態が
描かれてるのも、新しくてよかった。

陸上だけじゃなく、海底にも大量にゾンビが蠢いてるって・・・・・・・すっごい怖い。
島に非難したって無駄だってことだし。

ラストが、アメリカ映画的大団円、「人間の勇気が、生きる希望が勝利!」ってな部分は、
ちょっと気になったけど、「ゾンビ小説」としては、破格のできで、面白かったO(≧▽≦)O!!
これは、超お勧め!!

ちょびさん、お勧めしてくれてありがと~(^-^)ノ。

ブラット・ピットが版権を獲得して、映画化され、アメリカでは6月中旬、
日本では2013年8月10日公開なよう。
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「残穢」小野不由美著:実話怪談風の長編!さすがと思わせる怖さっ!! [本:ホラー&ミステリー]

残穢

残穢

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本
7.5点

主人公は著者である、実話怪談風の長編。
実話怪談風短篇集「鬼談百景」(リンク先感想)と少しだけどリンクしてます。

著者に届いた久保という読者からの一通の手紙。
それは、「最近越した部屋に何かがいるような気がする」という内容だった。
「誰も居ない和室から音がする・・・」そんな内容の返信に、合理的な見解を送った著者。
しかし、その後、その現象は別の内容に変わっていく。

以前「怖い話」の提供を「あとがき」で読者にお願いした著者の元には、
読者からいくつもの「怖い話」に関する手紙が来ていた。
著者は、久保の話と同じような内容の手紙が来ていたと思い当たり探してみると、
その現象を報告してくれた人の住所は、久保と同じマンションであった・・。
しかし、部屋の番号は違う。
調べてみると、そのマンションや、マンション周辺に、人が居着かない、
短期間に出てしまう部屋や家があることがわかる。
職業がライターである久保と、著者は、怪異と地域の関係について調べ始める。
転居した人の中には自殺した人、犯罪を犯した人、そのまま暮らしている人・・・など様々。
怪異は拡大している??
怪異の原因を探す為、土地の歴史、過去に住んでいた人、起きた怪異などを調べる内に、
恐ろしい事実が浮かび上がってくる・・・・。

実話怪談で有名な平山夢明氏が登場したりと、かなり凝った作り。
雰囲気作りも巧く、「鬼談百景」でも感じたけど、実際友人から体験話を聞いたような怖さがある。
ただ、著者の考えとしての「怪異に対する合理的見解」が頻繁に、それもかなり長いフレーズで
登場するため、その部分でちょっと怖い気持ちが削がれてしまったり、
リアル感を出す為か、ラストが、あまり盛り上がらないのが残念。

でも、普通は理由も、原因もわからずブチっと切れてしまう事が多い実話怪談を、
謎解きしていく過程、そして徐々に情報が増えていく展開は、ミステリー・サスペンスの味もあり、
おもしろく読めた♪

怪談物が好きな人に(^-^)ノ。
「鬼談百景」に登場する怪談の中には、この話にリンクしているものがいくつかあるのと、
同じ「実話怪談系」なので、読むなら続けて読んだ方が、雰囲気にどっぷりつかれて面白いとは思う。
リンクしてる部分は、ほーんのちょっとなので、無理に読む必要も無いと思うけど。
「残穢」のラストが若干盛り下がるので、読むなら、「残穢」の前の方がいいかな(゚_。)?
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「鬼談百景」小野不由美著:短い怪談話を99話収録!通常の怪談系より、さすがに上手い! [本:ホラー&ミステリー]

鬼談百景 (幽BOOKS)

鬼談百景 (幽BOOKS)

  • 作者: 小野不由美
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本
7.3点

1~4Pほどの実話怪談風のショートショートを99話集めた本。
長編ホラー「残穢」とのコラボ作品らしい。

「実話怪談物」の文庫本はたくさん読んだし、この本も、それら「実話怪談物」のテイストは同じで、
現代社会を舞台に、事故が多い踏切、引っ越した先での怪異など、どこかで語られていそうな
怪談話が満載。
オチがなかったり、話がブツっと切れてたり、謎が全く解決されてなかったりするのもまた同じ。

ただ、雰囲気づくりの巧さはさすがで、多くの実話怪談ものが、「実話っぽくしようとして、逆に
読んでいる方が興ざめしてしまう」「あまりにもありふれ過ぎていて印象に残らない」なんて話も多い中、
この本に収録されている作品は、夜、友達などと盛り上がる怪談話のような、
「ありそう」と思えるような、怖さがあった。

ただ、実話怪談ものが好きじゃないと、つまらないはず。
かなり読み手を選ぶ本。
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「藁にもすがる獣たち」曽根圭介著:藁にもすがりたい状況に陥った人々が落ちる罠・・・どよーんと重い [本:ホラー&ミステリー]

藁にもすがる獣たち

藁にもすがる獣たち

  • 作者: 曽根 圭介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/05
  • メディア: 単行本

7点

跡を継いだ床屋が潰れ、どうにかサウナ店でのアルバイトで凌ぐ59歳の赤松寛治。
家には認知症の母親と、パートをしながらも、姑を見る献身的な妻。
しかし、認知症の母親には、嫁の献身的な態度は伝わらない。
金銭的にも切迫している折り、バイト先の忘れ物のバックの中に大金が・・・。

刑事である江波戸良介は、暴力団郷田組に借金があり、逼迫した状態に。
「鴨」を見つけ、金を騙し取ろうとするが・・・。

FXで多額の負債を抱えた主婦庄田奈美は、夫からのDVに耐え、工場とデリヘルのバイトに励む。
そんな時、デリヘルの客と懇意になり、夫の殺害を持ちかけられる。

3人の藁にもすがりたい状況が、彼らの人生を狂わせ、そして彼らの運命が絡まり合っていく・・・。

曽根圭介は、心理描写が上手い作家なので、3人の追い詰められた状況が、
ヒシヒシと伝わってきて、読んでいるとかなり辛い気分になる。
刑事は自業自得の部分があるけれど、寛治と奈美は、普通の人が、
ほんの少し道を外れただけで、落ちてしまう不幸が描かれていて、どんより重い気分に。

どんどん追い詰められていく彼らの運命が重なりあっていく様子は、緊迫感もあり面白いんだけど、
とにかく、どよーーーーーーーーーーーんって気分いっぱいになっちゃって、
面白さより、無常感でいっぱいになってしまった。

ラストがちょっと駆け足だったのも気になる。

でも、まぁ楽しめました。
読後も、どよーんとしたけど。
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「のぞきめ」三津田信三著:あの隙間から、この隙間から、何かが覗いている気がする・・・そういう怖さを味わえる小説 [本:ホラー&ミステリー]

のぞきめ

のぞきめ

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/11/30
  • メディア: 単行本
7.5点

作中作家「三津田信三」が他人から聞いたり、調べたりした話を
小説仕立てにまとめたという構成の長編ホラー。
三津田信三の作品ではお馴染みの、くどいほどの前置きは相変わらず健在だけど、
長編ホラーなので、それは最初と最後だけで、許容範囲と言えば許容範囲。
それに、ここでタイトルにもなっている「のぞきめ」の不気味な存在が提示されているし。

今回の題材は、「誰かに見られているという恐怖感」と「憑き物」。
狭い隙間から覗く不気味な目の悍ましさ、誰もいないはずなのに視線だけを感じる恐れ、
夜中にシャンプーしていて、後ろに誰かいるような気がする恐怖・・・・多くの人が、
ゾっとするだろう事がメインなので、かなり怖いです。

2部構成になっており、第一部は「覗き屋敷の怪」。
鄙びた貸し別荘でバイトをすることになった大学生4人。
そこの近くには「名知らずの滝」という、巡礼者が訪れる霊験あらたかな場所もあった。
貸し別荘の管理人から、地図に無い道には勝手に入らないようキツく、
言い含められた4人だったが、好奇心から、森の中に入り込んでしまう。
森の奥で見つけた廃村。
そこで彼らは恐ろしい体験をする・・・。

第二部は、その廃村が舞台になった「終い屋敷の凶」。
日本の伝承を研究していた大学生四十澤。
彼には、同じ研究をする鞘落惣一という親友がいた。
故郷のことも家族のこともほとんど語らない鞘落。
しかし、彼はある時、彼の生まれ故郷である「侶磊村」(ともらいむら)の話をしてくれる。
弔い村と不吉な名前でも呼ばれる山奥の山村。
そこの村で、鞘落家は2番めの資産家ながらも、村人から忌み恐れられているという。
その理由は過去の伝承、近年起きた事件・・・・・いろいろあるという。
一緒に故郷を訪ねると約束した矢先、鞘落は、不可解な死をとげる。
死の直前、彼は何者かに怯えるように周囲を気にしていたという。
彼の墓参りの為に「侶磊村」を訪れた四十澤は、奇怪な村の風習を目撃する。


第一部「覗き屋敷の怪」は、現代版怪談、伝承伝奇ホラーの雰囲気満点で、かなり面白かった。
何者かに見られているような気がして背筋が泡立つ感じが、伝わってくるし、
中盤から後半へかけての盛り上がりもすごくいい。

ただ、謎解きも入る第二部「終い屋敷の凶」の方でかなりパワーダウン。
前半の、村の異様さ、鞘落家の雰囲気などは、怖いし面白いんだけど、
「謎解き」部分に入りだした頃から、主人公である四十澤の行動に無理が。
大人しく内気な性格なのに、研究の事となると、突然「好奇心」を原動力にすごい行動力を発揮。
恐怖にかられる度に「好奇心に負け」と無茶とも思える行動を起こす
(どこかで見たようなキャラクター設定だ(^_^;))展開が続くのが不自然というか、
そういう行動が自然に思えるほどに、四十澤を描ききれていない。
ネタバレになるからラストは書かないけど、突然方向転換してしまったという印象も強かった。
第一部と第二部中盤くらいまで面白かったので、ラストが中途半端な印象になったのが勿体無い。

でも、怖さはかなりあるので、三津田信三が好きな人は、満足できるんじゃないかと思います♪
夜中に頭を洗うのが怖くなる??
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「ついてくるもの」三津田信三著:怪談仕立ての短篇集!ゾワゾワ来るよ~ [本:ホラー&ミステリー]

ついてくるもの (講談社ノベルス)

ついてくるもの (講談社ノベルス)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/06
  • メディア: 新書
7.3点

作中作家が見たり聞いたりした怪奇話を、小説のようにまとめたという構成の
怪談仕立てホラーが6編収められた、ホラー短篇集。
三津田信三は、現代(というか昭和ぐらい)の怪談的な話が巧く、今回の短篇集も、
読み終わった後「ゾッ」っとする話が多かった。
また、憑き物系伝奇ホラーや、現代的ホラー、乱歩の人間椅子をモチーフにしたホラーなど、
バリエーションも豊富。
同作者の別の短篇集「赫眼」(リンク先感想)と傾向が似ている。
「赫眼」の方が怖いけど。

「夢の家」:異業種との交流が目的のパーティーで知り合った女性。
奥ゆかしく、家庭的に思えたその女性と親交を深めるほど、その女性の特異な性格が、
気になるように。
しかし別れを告げた後から、奇怪な現象に悩まされるように・・・。

表題作になっている「ついてくるもの」:高2の少女が、廃屋の裏庭で見つけた雛飾り。
どれも目や手足の片方が潰されていた。
唯一無傷のお雛様を思わず持ち帰った少女だったが、それが恐怖の始まりだった。
ペットが次々に怪死し、少女の家族にも厄災が降りかかりだす・・・。

「ルームシェアの怪」:4人で一軒の家をルームシェアしている「四つ葉荘」に住むことになった真由美。
最初はその生活に満足していたが、同居人の1人が不可解な行動をとるように。
その行動に不信感を募らせる真由美だったが・・・。

「祝儀絵」:歳の近い叔母から送られた、婚礼の絵を描いた掛け軸。
妙にリアルな新郎の顔と、平凡な新婦の顔。
最初見た時から、その掛け軸には違和感を感じていた主人公。
その掛け軸を飾り始めた頃から、主人公の周囲に、怪しい女性が出没するように・・・。

「八幡藪知らず」:近寄っただけでも老人から注意された禁忌の場所「無女森」。
確かに、その鬱蒼とした藪の中を覗きこんだだけで、恐ろしい気持ちになる。
小学5年生の転校生恵太は、そんな恐怖を感じていた「無女森」の探索に、友人たちから誘われる。
事前の下調べとして、その森の事を調べれば調べるほど、その森は近づいてはいけない場所だと、
心底感じているのに、怖がりと思われたくない、せっかくできた友達を無くしたくない・・・
そんな気持ちから、きっぱりと断れず、探索の日は近づいてくる・・・・。

「隣の家の子供」:慌ただしく引っ越した一軒家。
しかし、夜な夜な子どもたちの騒ぐ声に悩まされるように・・・。

「椅人の如く座るもの」:この作品だけミステリーとオカルトを融合させた「刀城言耶」シリーズ
(リンク先感想)の短編。
人間を模した不気味ともいえる家具を作る工芸家の元に取材にいった編集者偲。
そこで、不可解な失踪事件に遭遇する。

「ついてくるもの」と「八幡藪知らず」は、作者が得意の伝奇ホラーの雰囲気満点!
じわじわと恐怖がせまってきて、怖くて、面白かった♪

「夢の家」「祝儀絵」「ルームシェアの怪」「隣の家の子供」は、無難で小粒という感じで、
普通の怪談系ホラーにしてはクオリティは高く(三津田信三は雰囲気作りが上手いので)、
そこそこ怖いが、ストーリー的には普通。

ただ、どの話も、あまりにも前置きが長すぎる(>_<)。
この怪談を知った経緯だけでなく、作中の作家が怪談話を集める時のポリシーとか、
その作家のホラー小説評とかが、くどくどくどくど、新しい短編を読む前に、
必ず語られるので、本編に入る前にうんざりしてしまう事に。

「椅人の如く座るもの」も、江戸川乱歩の「人間椅子」へのオマージュ的な小説で、
素材は悪く無いんだけど、本編でも辟易している、面白くも無いのに、延々と続く、
主人公刀城言耶と、編集者偲とのやり取りシーンがあまりにも長くて、ウンザリ。

三津田信三は、使い捨てキャラというか、一つの作品に出て終わり的なキャラクターの
作り方は悪くないんだけど、いろんな作品に出るキャラクターを作ると、
そのキャラクターの説明というか、基本設定を、毎回毎回ほぼ同じような内容で
くどくどくどくどくどくど語ってしまう傾向があるのが難点。
そのキャラクターが魅力的ならいいんだけど、魅力的じゃないし、
語り口も「そんなの説明されなくてもいいよ」的なことまで説明されちゃうのが・・・。

前置きなどをすっきりさせたり、「またこのやり取りと説明か・・(-_-;)」と思わせる部分が、
もっと短くなれば、怪談本体はそれなりに面白いからもうちょっと高評価なのに・・・。
とにかく、次の短編を読む度に、導入部にウンザリしたので、ちょっと点数低め。
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「不可能楽園〈蒼色館〉」倉阪鬼一郎著:〈蒼色館〉で葬儀の最中、故人の家で、起きた殺人事件と誘拐・・・バカミスだよ、ほんとに! [本:ホラー&ミステリー]

不可能楽園 〈蒼色館〉 (講談社ノベルス)

不可能楽園 〈蒼色館〉 (講談社ノベルス)

  • 作者: 倉阪 鬼一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/06
  • メディア: 新書
7点

元文字校正をしていた経歴を生かしたんじゃないかと思える、
漢字と画数の渦!的印象なホラー「文字禍の館」を最初に読み、それ以来、
「ブラッド」「鳩が来る家」「屍船」(リンク先感想)や
「夢見の家」「十人の戒められた奇妙な人々」「首のない鳥」(リンク先感想)など、
いろいろ読んだ倉阪鬼一郎。
最初は、伝奇ホラーやモダン・ホラーっぽい作品が多く、好みだったけど、
最近はミステリー始め、いろいろなジャンルの作品を書いているっぽい。
また、実験的小説、あまりにも意外過ぎるオチな小説が多く、最初は新鮮で面白いが、
同じようなテイストの小説に当たると、ちょっと食傷気味になりがちで、
その食傷気味さを強く感じた「ダークネス」、ラストがあらら~(>_<)な「ひだり」、
普通過ぎるし、怖くないホラー小説「うしろ」、作品の構成が大失敗な「恐怖之場所 死にます。」など、
後になるほど質が下がった気が。

ということで、最近ご無沙汰だった倉阪鬼一郎のミステリー「不可能楽園〈蒼色館〉」を読んでみた。

絶大な人気と美貌を誇りながら、早くに引退し、その後、長きに渡って人の前に
全く姿を見せなかった女優の死。
その葬式は「蒼色館」(そうしきかん)という、葬儀場で行われた。
外観は蒼く塗られ、館内は少し照明を落としすぎとも思えるが、葬儀を行うには
最適な雰囲気である「蒼色館」。
他に珍しい特徴といえば、出入り口が、表玄関一箇所だけなこと。
そして、往年のファンまでも集まり、感動と厳粛な雰囲気で行われた葬儀の間に、
故人の家では、2人の使用人が殺され、故人の妹である浪江が溺愛している「孫の美咲」が誘拐された。
犯人の狙いは、莫大な遺産なのか?
美学に満たされた「美しい犯罪」を求め続ける上小野田警部が、事件の捜査にあたる事になるが、
彼はずっと違和感を感じ続けていた・・・・。

「すっごくバカミス」ということで読んでみたけど、本当に、
押しも押されぬバカミスだった。
それも脱力系2段構え。

あまりに逝っちゃってて私は大好きな、マイケル・スレイドの作品などを、
愛をこめて「バカミス(オバカなミステリー)」と称する。
ただ、この作品、私の好きな「バカミス」のタイプである、あまりにも懲りすぎたり偏ったりしたために
異様な雰囲気になってしまっている「バカミス」ではなく、
意図的に娯楽性、意外性を狙っているタイプの「バカミス」。

「バカミス」のための「バカミス」というか、「バカミス」としか言いようがないというか・・・。
とにかく、「バカミス」をしっかり書こうとして書かれた「バカミス」。
話のネタとしてはそれなりに面白いし、なんで誘拐事件の捜査中に、ミステリー小説談義とか、
マラソンの話で盛り上がれるんだ??と感じたことへの違和感は解消されたし、
「うわっ、そうだったのか(-"-;A」と思った部分もあったし、
その無駄過ぎるほどの凝り方には脱帽だったけど、
ストーリー・内容的には中の下くらい。

ストーリーとか置いておいて、馬鹿馬鹿しい程手間がかかったろう仕掛けを、
ウヘーw( ̄△ ̄;)w!!!と、驚いて感心する本。
馬鹿馬鹿しいのが好きな人は、すごく好きなはず。
私も、馬鹿馬鹿しいのは好きだけど、ちょっと狙い過ぎかなーと引いた。
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「呪い唄 長い腕Ⅱ」川崎草志著:江戸時代にかけられた呪いが現代の人々を巻き込む!2作目の方が好みだった! [本:ホラー&ミステリー]

呪い唄  長い腕II (角川文庫)

呪い唄 長い腕II (角川文庫)

  • 作者: 川崎 草志
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: 文庫
7.5点

「横溝正史ミステリー大賞」を受賞し、10年ほど前に出版された「長い腕」(リンク先感想)の2作目。
「長い腕」は、出版年されて久しく経つのに、最近でも書店の棚でPOPが付いているのを見て、
評判がいいんだなーとは思っていたんだけど、序盤から中盤にかけて、状況説明が多くて
ダラダラ感が気になり、自分的には「そこそこ面白かった」ってくらいの評価。

で、「長い腕」の続編である「呪い唄」ですが、1作目よりこなれていて、
2作目の法則には当てはまらず、こちらのほうが面白かった(*^.^*)!

江戸時代、村の有力者達に一家心中まで追い込まれた宮大工の一家。
その生き残り近江敬次郎がかけた呪い。
それが現代にもふりかかる。
それを調べる為、生まれ故郷の早瀬町に戻った主人公島汐路は、同じく早瀬村の呪いに興味を持つ、
友人でありフリーライターでもある小此木エリカに振り回されることに。
そして戦中、早瀬の近くの、村人に忌避されていた山に駐屯していた長谷川という老人に会う。
彼は、「死ぬ前にはっきりさせたい」と、敗戦直後、突然行方不明となった部下2人の手がかりを探していた。
そんな状況の中、家が没落し、早瀬村を出て東京で暮らしていた幼馴染が地下鉄の脱線事故に
巻き込まれたことを知る。
彼女は、近くに座った女学生の着信音「かごめ唄」を聞いて、恐怖の表情を浮かべていたという。

現代のストーリーと並行して語られる江戸時代。
主人公は後の勝海舟、勝麟太郎。
江戸では免許皆伝の武士が、残忍な殺され方をされる辻斬りが何件も発生する。
そして江戸の街中では、「かごめ唄」が流行りだす。
「埋蔵金のありかを示した唄」という噂と、「呪いの唄だ」という噂が巷に蔓延。
その歌は、かの一家心中の生き残りで、江戸の大工に引き取られた少年近江敬次郎が広めたものだった。
江戸末期の不安定な情勢の中、「かごめ唄」の流行は、何を意味しているのか。

大きな盛り上がりがあるわけではなく、ストーリーは淡々と進むんだけど、ストーリー自体や、
伏線の貼り方が巧く、どんどん先を読みたい気持ちにさせる展開で、最後まで面白く読めた。
「呪い」が中心だけど、オカルト的な要素は少ないのに、ゾッっとするような怖さや、
オカルト的な不気味さがしっかり感じられるのもいい♪

ただ、「長い腕Ⅱ」が出るまで10年以上かかったけど、1作目「長い腕」の話から、
あまり日が経っていないという設定だったのもあり、1作目を読みなおしてから、
読んだ方が、絶対楽しめると思った。
1作目の内容、あちこちうろ覚えだったので。
1作目を読んでいない人は、そちらから読んだ方がいいです。
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「ダイナー」(平山夢明著)の文庫版が出でるよ(*^.^*)! [本:ホラー&ミステリー]

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

  • 作者: 平山 夢明
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫


このミステリーがすごい! 2013年版」が出ました。
そのトップ20の中に(ランキングはこちらのサイトに載ってました)
平山夢明の「或るろくでなしの死」(リンク先感想)が入っているのを見て
同じ平山夢明の傑作「ダイナー」(リンク先感想)の文庫版が出ているのを思い出した。

「或るろくでなしの死」も面白かったけど、頭のネジがどこか外れた殺し屋達が訪れる「ダイナー」は
最高に面白いので、文庫本が出たこの機会に、手にとって見て下さい(^-^)ノ。

4位に三津田信三の「幽女の如き怨むもの」が入っていたのにちょっと驚いた。
このシリーズ、できにムラがあるんだけど「幽女の如き怨むもの」は面白いのかな。
今度読んでみよう(*^.^*)♪

それにしても、見事にトップ10内で読んでる作品が無い。
ミステリーじゃなく、ホラーが好きだからってのもあるかな。
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「同葬会」藤ダリオ著:すっごく普通のB級、いやC級ホラーだった [本:ホラー&ミステリー]

同葬会 (角川ホラー文庫)

同葬会 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤 ダリオ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/03/25
  • メディア: 文庫
6点

同じ角川ホラー文庫から出ている「出口なし」が気になってたんだけど、こちらを購入。
駐車券にハンコ押してもらおうと思って本を買おうとした時、藤ダリオの本が
これしか無かったからなんだけど(^^;)。

高校の時の「テニス同好会」のメンバーが、同窓会で集まったのを機に、
また1人、また1人と死んでいく。
そして、同窓会メンバーと合宿旅行した時の映像にも変化が。
戦国時代、金鉱を封鎖する時、口封じの為に殺された遊女達の呪いが噂される「遊女淵」に、
合宿の時、行ったのがきっかけなのか・・・。
続く死の連鎖を止める方法はあるのだろうか・・・。

ストーリーは単純で、B級ホラー映画テイスト。
著者もそれを意識していたよう。
ただ、B級を魅力的にする突き抜け感も無く、B級というよりは、C級に近いチープなでき。

文章もあっさり簡潔過ぎて、ホラーな雰囲気を盛り上げる文体ではないし、
なにより、登場人物がちゃんと描けていないのがすごく気になった。
10人いる登場人物が、ちゃんと描けておらずぼんやり。
そのせいで登場人物たちにはほとんど魅力が無く、どんどん登場人物が死んでいく
恐怖感・緊迫感も薄い。

著者の頭の中では、登場人物の設定が作られているんだろうけど、
それが読んでいても伝わってこないので、要所要所で違和感が。
本作の後半部分で「いつも快活」と表現されている「洋子」という登場人物。
それまでの行動からは「いつも快活」ではなく、理屈っぽくて刺々しい人物像しか浮かばない。
「えっ、この人って、快活なの??」みたいな(^^;)。
映画だったら、それなりに長く写っていれば嫌なキャラだって感情移入できるけど、
小説の場合、魅力が無いキャラ、その上、キャラがあやふやでは・・・。
他にも、そういうギャップをあちこちで感じた。
また、ヒロインである奈央が、映画監督志望ということで、
最初の頃に、映画撮影に関する話がちょっと続くんだけど、それも全く生かされていない。
ちょっとした設定はいろいろあるけど、無くてもいい設定が多過ぎ。
きっと、主人公他、いろんな要素を変えても成り立ってしまう話。

余計なことは余り書かず、展開が早いので、飽きずにサクサク、最後まで読めるのはそれなりに評価。
ストーリーが単純なので、無理してひねって「ありえねー」「なんじゃこりゃー」状態とかには
ならなかったのはある意味良かった。
読みやすく単純なホラー小説。
中の下という感じでした。

藤ダリオは、自分としては、もう読まなくてもいいな。
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「閉じ箱」竹本健治著:ミステリーよりの幻想・ホラー短篇集 [本:ホラー&ミステリー]

閉じ箱

閉じ箱

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本
7点

面白かったホラー・ミステリー「かくも水深き不在」(リンク先感想)、
衒学的アンチ・ミステリー小説「匣の中の失楽」(リンク先感想)に続き、
竹本健治の短篇集を読んでみました。

14篇の短編が収められた一冊。

「氷雨降る林には」は見慣れた欅の林に恐怖感を感じる男の話。
その発端は、ちょっとした出来心による浮気だった。
そして、その後起きた出来事が男を恐怖させ苦しめる・・・。

「陥穽」は断崖絶壁の上で偶然出会った男2人の話。
片方の男が語り出したのは、その男が過去に遭遇した、
雪に閉ざされたロッジでの殺人事件の事だった。
その事件とは・・・。

「けむりは血の色」は、余命いくばくも無い少年と、その親友の話。
少年のいる療養所周辺で、通り魔事件が起きる。
そして、その少年に犯行予告が届くのだが・・・。

「美樹、自らを探したまえ」は、自分の出生の秘密を探る女性の話。
間接的にだが、自分の名付け親になった死去した作家の館を訪れた主人公は、
村人の不審な反応に遭遇する。

「緑の誘い」は、絵のモデルを引き受けた女性が知ってしまった、とある秘密の話。

「夜は訪れぬうちに闇」は、暗黒準備委員会か開催する「黒樹祭」に正体された少年達の話。
その怪しげな集まりは、少年達の参加で予想もしない方向に・・・。

「月下の下の鏡のような犯罪」は、呪術を試してみようとした男を描いたホラーSS。

表題作「閉じ箱」は、牧師が霧の中出会った、「閉じ箱」で迷っているという男の話。
不確定性原理とミステリーについて、書いた作品。

「恐怖」は、恐怖を感じない男の話。

「七色の犯罪のための絵本」は、色をテーマにした、ホラーミステリーの連作。
幻想的だったり、ミステリーぽかったり、いろいろな作風の話が混じっている。

「実験」は、人を狂わせる実験に協力した男の話。
そうとは知らず狂気に陥る催眠術をかけられた女性を、監視する役目をおった男。
徐々におかしくなっていく女性を見て、後悔の念にさいなまれるのだが・・・。

「闇に用いる力学」は、自分と彼女である千尋が出演している、しかし自分たちはそんな行動を
取っていないビデオを見てしまった、男の混乱と恐怖を描いた作品。

「跫音」は背後からの跫音に怯える美しい少女千尋の話。
彼女が跫音に怯えるのには、ある理由があった・・・。

「仮面たち、踊れ」は、陰のある美少女千尋と親友になった少女が遭遇した恐怖の話。
千尋を苦しめる為、悪事を繰り返す千尋の弟。
その矛先が少女に向いた時、悲劇は起きた。

一応書いたけど、竹本健治の話は、粗筋がものすごく書きにくい。
というのも、彼の話は、ストーリーの上にいろいろな要素が加えられ、
その加えられた要素の方が重要だから。
だから、粗筋から受ける印象と、実際に読んだ内容が大きく異なってしまうというか。
ミステリーでありながら、ミステリー部分以外が本質であるアンチ・ミステリーと同じ傾向を、
幻想怪奇色が強いこの短篇集の作品のどれもが持っていたりする。

最初の5編はミステリー色が強いが、本質は違うというアンチ・ミステリー系の話で、
小粒ではあるが、楽しめた。

「夜は訪れぬうちに闇」は、怪奇幻想的な話で、怪しげな集会の雰囲気は面白かったけど、
怪奇幻想系の話はあまり好まないので、個人的にはイマイチ。

「月下の下の鏡のような犯罪」「恐怖」「実験」はホラー物だけど、
書かれた時期が古い為か、意外性はあまりなくレトロ感強し。
雰囲気が「ホラー」より、「サスペンス・ミステリー」っぽいから、怖さが弱いのも難点。

「閉じ箱」は、SFっぽい要素を持ちながらも、ミステリーの仕掛けとか謎解きについて、
著者の気持ちを言及した内容。
100%ありえない事は無いという視点で見てしまうと、謎解きも穴だらけ・・・ってのは、
ミステリーを書いている人の悩みなのかな?
本格ミステリーファンには、共感できる内容なのかも。
私は、SF的な視点で最初読んでしまったので、「何が言いたかったんだろ?」
と最初思ってしまった(^^;)。

「闇に用いる力学」「跫音」「仮面たち、踊れ」は、「千尋」という名前の少女が登場する、
「千尋シリーズ」。
ミステリー・ホラーの系譜だけど、これも、サスペンス・ミステリーっぽい雰囲気で、
ちょっと怖さが弱い。

全体的に、ホラー色が強い作品は、小林泰三と傾向が似ているように思えた。
「恐怖」と「実験」は、特に小林泰三を思い出した。

全体的によくまとまっている話ばかりだけど、ミステリーファン向けな話な気が。
私のように、ミステリーよりホラーやSFが好きってなると、ちょっと物足りない。
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「匣の中の失楽」竹本健治著:3大奇書に加えられ4大奇書と評されるアンチ・ミステリー小説! [本:ホラー&ミステリー]

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/10/30
  • メディア: 新書
7.5点

かくも水深き不在」が面白かったので、同じ著者の処女作であり、
代表作の一つでもある「匣の中の失楽」を読んでみました。

大学生のミステリーマニアを中心に集まったある集団。
仲間の1人である甲斐の兄が経営する喫茶店の各国の人形が並べられ黄色く統一された「黄色の部屋」、
仏文専攻の布施の真っ黒に装飾された「黒の部屋」、国文学専攻の羽仁の「白い部屋」、
そういう場所を溜まり場にして、定期的に集まっていた。
しかし、仲間の1人が密室で殺害された事から、そのファミリー内には不穏な空気が。
推理合戦、双生児の片割れである通称ナイルズが書いた仲間達を登場人物とした
連続殺人事件の小説、それらが複雑に絡み合って、ストーリーは進展していく。

うー、取り敢えず粗筋を書いたけど、この作品、虚構と現実が交差する構成になっていて、
この作品の持つ雰囲気が全然伝わってません(^^;)。

読みだしてすぐ小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」を思い出したけど、
調べてみたらこの作品、三大奇書と呼ばれる「黒死館殺人事件」、夢野久作の「ドグラ・マグラ」、
中井英夫の「虚無への供物」から影響を強く受けていて、この作品を追加して「四大奇書」と
評されることも事もあるそう。

「黒死館殺人事件」を連想したのは、衒学的な要素がとても強かったからで、
登場人物である学生達は、自分の推理を披露するのに、数学、物理学、心理学、薬学、魔術・・・
など、自分の得意な分野の知識をふんだんに盛り入れて説明する。
「黒死館殺人事件」ほど、衒学趣味が本筋を圧迫するほどにはなっていないし、
嫌になるほど長くもなく(マイケル・スレイドの小説とか何ページも説明が続いて参ったこともあるけど)
作中でも「衒学的」「ペダンチック」と、等々と自分の知識を披露することに対して、
登場人物が批判していたりもするので、かなり意図的にやっているのがわかる。
「ドグラ・マグラ」ほど現実と虚構がごっちゃにもなってなかったけど、衒学的要素と、
現実と虚構が交差する構成の融合は、読んでいてかなり面白かった。
「虚無への供物」は読んでいないので、どういう影響があったのかわからないけど。

また双子の美少年が登場することから耽美趣味も伺われるし、登場人物の女性の美しさを称えるのに、
ギリシャ彫刻のような(だと思った)比喩が使われたり、豪奢な洋館が舞台に使われるなど
西洋趣味が強く感じられたのも、大正・昭和初期の探偵小説を連想してしまった。

圧倒的で広範囲な知識量。
突っ込みどころ満載だったり、おっと思わせてくれたりする、登場人物たちが披露する推理の面白さ。
そしてすぐ覆されるそれらの推理と新展開。
作中小説と作中で現実である部分の交錯が読者を惑わせる、構成の上手さ。
また、作中にいろいろ出てくる有名なミステリーのトリックや作品名、ちょっとした解説などは、
ミステリーファンには嬉しいものかも。

著者の処女作ということだけど、確かに力作だし、「すごいものを書こう!」という著者の若さや
青臭さが感じられるとともに、そのパワーが成功している例でもある。
なかなか興味深い作品だった。
でも、私は純粋なミステリーファンではなく、ホラーファン。
もっとおどろおどろしさとか恐怖感が欲しかったので、この作品の持つ魅力の
半分もわかってないんじゃないかなーと思った。
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「かくも水深き不在」竹本健治著:ホラーでもありミステリーでもある短篇集。まとまりが秀逸ですごい! [本:ホラー&ミステリー]

かくも水深き不在

かくも水深き不在

  • 作者: 竹本 健治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本

8点

「何の気なしに手にとった一冊が、すっごく面白かった!」
こういう時って、期待していた本が期待通り面白かった時より、嬉しいし、心踊ります♪
そして、この本も、そんな嬉しさを味あわせてくれた一冊(*^.^*)!

・「鬼ごっこ」:見られた者が鬼と変貌する・・子供の頃、友人達と迷い込んだ奇怪な館で味わった恐怖。

・「怖い映像」:TVCMの何気ないワンシーンが、自分に底知れないほどの恐怖を感じさせる・・
その理由を探りたどり着いた結末とは?

・「花の軛」:一目惚れした、花のように可憐な笑顔の花屋の娘。
ストーカーに付きまとわれる彼女を助けようとした男が陥った悪夢とは?

・「零点透視の誘拐」:大物芸人の10歳の娘が誘拐される。
犯人の周到な計画に、振り回され為す術も無い警察。
しかし、その誘拐事件は不可解な状態で幕を閉じた・・その背景にあったものとは・・・。

ゾッとするような怪奇体験、記憶の底に封印された恐ろしい記憶、盲目的な恋心の恐ろしさ、
謎が謎を呼ぶ事件・・・それら4つの怪しい物語は、精神科医天野が患者から聞いたもの。
精神科医天野が、患者たちの心の迷いを、闇を紐解こうとするが、その結末は・・・。

ホラーテイストの物は恐怖感たっぷりに、ミステリー仕立てのものは意外な展開が新鮮で、
どの短編もそれぞれ単独で十分楽しめるし、その上、精神科医天野という存在を通じて、
しっかり一つにまとまっていて、2度楽しめる構成になってます。
ストーリーテラーとしてや文章の上手さにも、構成の上手さにも脱帽。

いやー、いい本に巡りあってしまった。
この作者は他にも評判が良い本がいくつかあるので、代表作「匣の中の失楽」とか、
閉じ箱 (角川ホラー文庫)」を読んでみようと思います。

お勧め(^-^)ノ!
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「虫送り」和田はつ子著:吉村達也の劣化版・・・・読むの厳しかった [本:ホラー&ミステリー]

虫送り (角川ホラー文庫)

虫送り (角川ホラー文庫)

  • 作者: 和田 はつ子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 文庫
4点

天然石のエンサイクロペディア」とか読むのに時間がかかる図鑑ものを立て続けに読んでいたせいか、
気軽に読み散らかしできるようなホラーが読みたいと和田はつ子の「虫送り」を読んだ。

粗製濫造なイメージがある吉村達也と印象は近く、何冊かホラー小説を目にしているけど、
読んだことは無かったので選んだ和田はつ子。
読んでみたら、セレクト大失敗!!
読みやすく、話の導入部や粗筋だけ聞くと面白そうだけど、突っ込みどころ満載、
最初に広げた風呂敷をたためず、愕然としてしまうようなラストにたどり着く吉村達也に似てるけど、
それよりもっと悪い。

ストーリーは、陸の孤島のような過疎の村、北海道井戸無村が舞台。
北海道で少女や若い女性の失踪事件が続けて起きる。
その頃、井戸無村では、生物農薬として使われていたてんとう虫が異常繁殖。
行動も獰猛になりつつあった。
そして、それに疑問を感じた村の人間が怪死。
アイヌの食文化の研究の為、井戸無村に滞在していた学者の日下部は、
滞在場所を提供してくれた若い女医諒子の祖父が怪死したことや、
諒子の妹が不可解な行動をとるようになったこと、てんとう虫を斡旋している会社の職員速水の
不穏な動きなどに、疑問を感じるのだが・・・・。

うーん、どこからどう突っ込んでいいのやらって感じ。
登場人物がご都合主義で説得力の無い行動を取るのは当たり前。

でも、一番気になったのは、舞台となる村の設定。

閉鎖的な村で、子供たちに性病が蔓延しているが、公にできず、
村の外の病院に紹介して治療してもらっている、という割りには、
その親や子供の診察現場に全くの部外者の日下部が平気で立ち会ってるし。

閉鎖的な過疎の村という設定なのに、ずっと続いているという子供達の性病蔓延・乱交疑惑は、
その家庭だけの秘密と公になっていないのは不自然。
子供の数も、イメージできる世帯の数も多過ぎで、老齢の医者とその妻(看護婦ですらない)しか、
病院が無かったという事などから連想される小さな村のイメージと、大きく乖離。

でも、怪死に関しては、村人の気持ちを考えて、村の警察が犯罪性があるかを検討せず、
心臓麻痺として処理してしまうというような、閉鎖的過疎の村にありがちと思える要素も。
結局、人口数万前後の町の設定と、過疎の村の設定がごちゃごちゃになってて、
あり得ない世界が構築され、世界感すらぐらついているところで、ストーリーが進行するので、
「えっ???」と思う展開が満載。
そんな状態で、学者である主人公や、女医であるヒロイン(?)が、
全てわかってるようにいろいろ解説したり、社会批判とかをだらだらするのが、もう陳腐で邪魔で。
「矢追純一の宇宙人はいる」みたいな本を読んでる気分。
状況から読ませるのではなく、全て説明してしまう、その語り口のくどさが、問題な気もする。

連続殺人犯も、そんなご都合主義の世界だから捕まらないだけで、普通なら捕まってると思えるのも、
ストーリーに興ざめする要因。

こういうのテレビ・ドラマならありだと思うんですよ。
映像がある場合、細かい設定がグラグラでも、映像があれば納得しちゃう・・・みたいな。
で、この小説の場合、C級のテレビ・ドラマをそのままノベライゼーションしてしまったという感じで、
何だこりゃ感いっぱい。

そして、ラストは、吉村達也並の、取って付けたような、えーーーーーっ??!!!という締め。
吉村達也は、とってつけたようなラストで脱力しちゃうのが多いけど、
序盤は突っ込みどころもあっても、それなりに読めるのに比べ、序盤からガタガタなこの作品、
元々あまり良くない吉村達也ホラーのの劣化版という感じで酷かった。

3点でもいいんだけど、虫の描写が気持ち悪かったのはちょっと良かったので4点。
図書館から借りてきたから、どうにか頑張って読了・・・疲れた。
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「踊る少女」「文通」吉村達也著:人気があるようだけど、自分は全然ダメだ・・・ [本:ホラー&ミステリー]

踊る少女 (角川ホラー文庫)

踊る少女 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 文庫
4点

文通 (角川ホラー文庫)

文通 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1994/04
  • メディア: 文庫
4点

かなりの数のホラー小説を出している吉村達也氏(2012年5月に胃がんで亡くなったそう)。
とにかく「多作」な印象。
以前読んだ本も面白く無かったんだけど(何だったか忘れた)、今回の2冊もかなり外れ。
たくさん本が出ているということは、それなりに人気があるのだろうし、
私が外ればかり引いているのか?

で、「踊る少女」は短編ホラー小説7篇を収録。
夫婦、嫁と姑、親子などの確執、ストーカーなど男女間や親族間絡みのホラーが中心。
ただ、人間の奥底に隠れたドロドロした側面を描くとかじゃなく、
登場人物が極端な性格だったり、とんでもない行動を取るという、「わかりやすい話」が中心。

「文通」は、長編。
女子高校生の瑞穂は、「月刊ペンパル」という文通マニア向けの雑誌に、
ペンフレンド募集の伝言を出す。
4人から手紙が来たが、1人を除いて、異常性を感じさせる文面だった。
文通をやめようとする瑞穂だが、自宅に直接手紙が投函されたり、ペンパルの1人が事件に
巻き込まれたり、既に逃れられない状況になってしまっていた・・・。

短編、長編、どちらも、まずネタありきで、それを話として無理やりにでもまとめているという感じで、
設定・展開に無理があるのを感じた。
また、登場人物の行動やセリフが、ストーリーを作者が持って行きたい方に勧める為のものというのが、
すごく感じられ、登場人物のキャラがちゃんと確立されていない、都合主義的展開が多いと、
この作者の話はどれも感じてしまう。
文章はすごく読みやすいが、以前読者が想像する部分まで説明してしまうと感じた東野圭吾以上に
くどくどと説明している。
映画で言えばC級ホラー的(登場人物が傍目から見てると、普通では考えられない、
状況を悪くするような行動をとりがちとかも似てる)、でも突き抜けた感が無いので、
単に駄作だなーと思うだけというか。

面白くないだろうなー・・・やっぱり面白く無いやと、思いつつ、
未読の本はなかなか処分できない性格のため、どうにかこうにか読んだ・・・・って感じ。
これで古本屋に売れるので、ある意味ではすっきりした(^^;)。
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「化身」宮ノ川顕著:極限状態で変化する男の肉体・・・地味だけど読み進んでしまう話が多い [本:ホラー&ミステリー]

化身 (角川ホラー文庫)

化身 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 宮ノ川 顕
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 文庫
7点

表題作「化身」を含む、中編3作が収録された本。

「化身」は、異国のジャングルで、周囲を大理石のように滑らかな壁に囲まれた池に落ちた男の話。
そこでの生活に順応していくことで、男の体には驚くべき変化が。
それに合わせて、考え方も変化していく・・・。

ホラーというより、幻想、もしくはSFカテゴリに入りそうな話。
物語の起伏は少なく、エピソードの積み重ねでストーリーが展開するので、好みはかなり分かれそう。
私は、エピソード積み重ね系の話が好きなのと、徐々に変化していく男の姿が面白かったので
楽しめました。

「雷魚」は、口裂け女が日本全国の子供たちを震撼させた昭和のあの頃、
一度だけ見た巨大な雷魚を釣ろうと、夏休みに沼に通う少年と、
そこで出会った悲しそうな女性の話。
これまた地味な話で、少年の心の揺れが中心なのにも関わらず、それ自体に大きな動きはなく、
「そういう事ありそうだなと思える少年の心の動き」を淡々と読みこむような内容になっている。

「幸せという名のインコ」は、アルビノのオカメインコを飼った事で、大きく変化していく、
その家の主人の運命を描いた話。
妻と娘、家族の幸せを願っていた男が、経済的に困窮し、生活に追われ、徐々に変わっていく様が
描かれていて、ある程度ストーリー性もあるんだけど、やっぱり淡々とした感じ。

「化身」が一番面白く読めた。
残り2作は、物語の進行というか、物語の先を暗示するような表現などが巧いので、
読み進めることができたけど、ちょっと地味過ぎかなという気も。
2作は、読み終わった後、あまり印象に残らない。

どれも、はっきりとした「怖さ」は無いので、そういうのを求める人には不向き。
どちらかというと、その世界観や特異な状態の雰囲気を読む話ばかりなので、
ホラーの雰囲気が漂っている小説が好きな人向け。
私はそれなりに面白く読めたけど、かなり好き嫌いが分かれそう。
佳作・・・って感じかな。
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「恐怖箱 風怨」雨宮淳司著:怖い話もあったけど、何か物足りない [本:ホラー&ミステリー]

恐怖箱 風怨 (恐怖文庫)

恐怖箱 風怨 (恐怖文庫)

  • 作者: 雨宮 淳司
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2012/02/29
  • メディア: 文庫

6.8点

雨宮淳司の実録怪談「恐怖箱」シリーズ、5冊目。
他の「恐怖箱」シリーズの感想は、「怪痾(かいあ)」 「哭塊「怪医」「怪癒(かいゆ)」、それぞれのリンク先にて。

で、雨宮淳司の実録怪談ものは、他にもたくさんでている実録怪談ものに比べ、
登場人物の個性が際立っていたり、脱力系のオチがあったり、そうかと思うと、
かなり怖い話が入っていたり、一味も二味も違っていたのが魅力だったんだけど、
今回は、かなりパワーダウン。

8話の短編が収録されているけど、前半の短めの5作は、怖さもオチも中途半端。
ちょっと長めの「撃墜王」と「背中」が面白かったので救われた感じ。

ただ「撃墜王」は、もうちょっと話がまとまっていたら、より面白かったのに・・と思える、
構成のまずさが感じられた。
2つのストーリーが並行して進む形式なんだけど、それが怖い雰囲気を盛り下げてる感が。

ということで、今までの4冊に比べると、雨宮淳司らしさをあまり感じられないというか、
期待よりは落ちるというか、そんな感じで不満足感が残ってしまった。
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「六蠱の躯 死相学探偵3」三津田信三著:死相が見える探偵が連続猟奇殺人事件に挑む!ティーン向けなのか?? [本:ホラー&ミステリー]

六蠱の躯  死相学探偵3 (角川ホラー文庫)

六蠱の躯 死相学探偵3 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/03/25
  • メディア: 文庫
5点

三津田信三の「死相学探偵」シリーズ。
1作目「十三の呪」は、薄っぺらい感が強くてイマイチだったんだけど、
同じシリーズの3作目を読んでみました。
2作目読んだかと思ってたら、読んで無かったらしい(^^;)。

皮膚を剥ぎ取られたり、体の一部を切り取られたりする、女性の連続猟奇殺人事件が発生。
死相が見える能力を活かし、探偵事務所を開いている主人公弦矢俊一郎の元に、
刑事から協力依頼が。
インターネットでは、連続猟奇殺人事件の犯人と思われる「六蠱」と名乗る人物が、
5つのパーツを集めて、理想の女性を作る儀式を行なっていると発表する。
俊一郎は、犯人の歪んだ野望を阻止することができるのか??

全体的に、回りくどい言い回しが多い上、説明が多く、ものすごく冗長な印象を受けた。
元々、そういう文体の著者だけど、重い雰囲気を盛り上げる為ならともかく、
もっと簡潔に書けそうな内容でも、くどくどと語られるのには辟易。

ストーリーは、事件自体は猟奇色が強いが、全体的にはライトであっさり。
ホラー要素も少なめで(死相が見える能力ぐらい)、メインはミステリー。
ただ、ミステリーにしては、ストーリーが単純、人物描写も浅い。

ライトな感じなのは、ターゲット読者層が10代だからかな?
そんな感じを受けた。

素材は好みなのに、あまりにも面白くなくて、何度も投げそうになってしまった。
ストーリー的に大きく破綻はしてないので、点数それほど低くしなかったけど
(10代向けと思われたためでもある)、説明と会話ばかりで、緊迫感も無く、単調。
全然怖くないし。
図書館で借りてなかったら、読了できなかったはず(借りたら一応読む)。
前半投げそうになるというのはよくあるけど、ミステリーで終盤でも投げそうになるというのは珍しい。
このシリーズは合わないようなので、もう読むのやめ。
10代なら、猟奇殺人事件が題材の割に重すぎず、楽しめる気が。
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「凶宅」三津田信三:禁忌を破って建てられた家の住人達の運命は・・・ [本:ホラー&ミステリー]

凶宅 (光文社文庫)

凶宅 (光文社文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/09
  • メディア: 文庫

7点

三津田信三の、3作ある「家シリーズ」の2作目。
一作目が「禍家」、三作目が「災園」(それぞれリンク先感想)。

身近な者に災が降りかかりそうな時、それを察知する能力がある小学生の翔太。
引越し先の、切り開かれた山の中腹に建つ家に向かう途中、感じた不吉な感じ。
そして、家を目の前にしてその気持ちはますます深まる。
4軒建てられる予定だったはずが、3軒は放置され、一軒だけ完成していた新居。
そして、ゾッとするほどの不吉な予感を裏付けるように、家の中で次々に起きる怪異。
家の中をうろつく影。
夜中、妹の元には、謎のモノが訪問する。
自分を呼びこもうとする、元は禁忌だった山。
時代の流れで禁忌の山を切り開いた為、老婆一人を残して、次々に家人が亡くなった一族。
父母姉妹、4人の家族は、その家の持つ忌まわしさに気がついていない。
一人調査を始めた翔太は、その家に以前住んでいた少女が綴った恐ろしい日記を発見するが・・・。

伝奇ホラー感満点で、怖いです。
家の中、家の周辺、近所のアパートの住人、そして山の持ち主である一族の魔窟の
ようになった廃墟の中・・・・・最初から不気味な感じ満載で、息つく暇も無し!という感じ。
とにかくゾクゾクする感じが堪能できます。

ただ、点数が低めなのは、この物語、新居に以前住んでいた住人達に何があったのか、だけでなく、
山の秘密、何故このような怪奇現象が起きているのか・・を調べる内容なのに、
結局わかったのは、住人に何が起きたのかだけで、怪異が起きる原因・由来については
ほとんど触れられず終わってしまった事。
そういうぼんやりした状態で、余韻を残すようなラストは、もやもや感を増やすだけだったし。

雰囲気満点だっただけに、もうちょっと謎についても掘り下げてくれれば・・・
という消化不良感が残った。
でも、読んでいる最中、ゾクッっとできるのは確かです。

評価としては、「禍家」>>「災園」>「凶宅」って感じだけど、
怖がれる感だと「禍家」>>「凶宅」>「災園」って感じ。
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