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「縄文人に学ぶ」上田篤著:久々に前書きだけで読む気が無くなった本(^_^;)。 [本:歴史]

縄文人に学ぶ (新潮新書)

縄文人に学ぶ (新潮新書)

  • 作者: 上田 篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/15
  • メディア: 単行本

読んでないので採点不能

建築学者による、日本の歴史に関する本。

日本の家は、何故靴を脱いであがるのか?神棚を部屋に祀るのか?
そこから「日本の家は、神様の住まい」と考えた著者。
その神様を「沖縄で発見した」という。
そして、沖縄は、13世紀頃まで、稲作が入ってなかったから「縄文時代」と同じだったという著者。
結局今の沖縄に伝わっている伝承は、日本の大和時代のものとつながっている・・・というのが、
本書の趣旨らしいんですが・・・・・あまりにもデータに乏しく、薄っぺらい知識と、
インスピレーションだけで、自分の説を展開しているのが、前書きから伺い知れ、
前書きだけで読む気力が萎え萎え。

その上、「なんか名前に見覚えがある・・・・」と調べてみたら、やっぱり、
過去にこの著者の歴史関係の本を一冊読んで(この時は、一応全部読んだ)、
あまりにもひとりよがりで、トンデモな話を、延々と語る内容に、辟易したことを思い出した。

ということで、久々に、前書きだけを読んで、読むのをやめた本でした(^^;)。
ある専門家が、自分の専門じゃないところに手を出して、「一人よがりのトンデモ」って、
割りとありますよね。
でも、「学者」って肩書があると、トンデモでも本って出ちゃうんだなーとも思う。

一番有名なのはベストセラーにもなった「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田邦彦著でしょうか?
これは、あまり詳しく無い私が読んでも、「?????」って内容満載だったのに、
これを鵜呑みにして、いろいろ騒いでた人が周囲にもいたりした。
武田邦彦氏は、その後も、原発問題とか、健康と栄養とか、テレビに出ていろいろトンデモ説を
披露してましたが、最近みませんね。
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『今こそ知っておきたい「災害の日本史」』岳真也著:「奈良の大仏」があるのは大地震も要因。日本の歴史と災害の関係がわかる!面白い(〃∇〃)! [本:歴史]

今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで (PHP文庫)

今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで (PHP文庫)

  • 作者: 岳 真也
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/06/05
  • メディア: 文庫

8点

「東日本大震災」が起きた時、1000年以上前、869年に起きた「貞観地震」が取り沙汰された。
三陸沖で起きたM8.3以上の地震だ。
歴史は繰り返す。
南海トラフ巨大地震も、1707年の「宝永地震」、1855年の「安政地震」、
1946年「昭和南海地震」他、90年~150年間隔で起きている。

この本は、文献を紐解き、684年の「白鳳地震」から、2011年「東日本大震災」まで、
日本を襲った地震・台風・噴火などの災害と、それらの当時の政治・経済などへの影響を考察した本。

この本を読むと、いかに日本が災害が多い国かがわかる。
もう、どっかんどっかんと地震(これが一番多い)だ、台風、噴火だと、災害が起きている。
あまりにたくさん置きているので、日本史で有名な出来事の前後にも、
頻繁に大災害が起きていることが多い。
1600年関ヶ原の戦いの4年前1696年に起きた「慶長伏見地震」は豊臣政権とどめをさし、
1605年に起きた「慶長東南海地震」も、その後の江戸幕府のあり方に大きな影響を与えているだろうと
著者は推測している。

1782年「天明の大飢饉」1783年に起きた「天明浅間山大噴火」1786年「天明の洪水」と
立て続けに災害が起き、重商主義をとった田沼意次の改革に大きなダメージを与え、
結局、改革は頓挫している。

被災した人々は苦しみ、その立て直しの為、政府は財政難になったり、
為政者が自分たちの復興に奔走し、民衆の救済を蔑ろにしたために、求心力が弱まったり、

経済の低迷が社会を不安定にしたり、災害が、その政府の寿命を短くしたりする。
関東大震災による長く続く不景気が、第二次世界大戦の1つの要因であったりもする。
また、「東日本大震災」と民主党・自民党の関係を見てもわかるように、
大災害がきっかけで、政権は大きく揺らいだ。
きっと、この時、自民党が政権を持っていても、同じように政府への不信感が渦巻いた可能性も高い。
大災害の国政への影響の大きさは、この例を見ても、明らかだ。
逆に、歴史の中では、被災地の復興に尽力し、その地盤を固めた勢力もあるが。

これだけ災害が起きているのに、学校で習う歴史では、「関東大震災」くらいしか
しっかり扱わない為、災害と日本史の関係を知ることができるというのも、新鮮で面白い。

例えば、奈良の大仏。
これを作った聖武天皇は、大仏を、平城京ではなく、近江の紫香楽宮にしようと考え、
都も「難波京」「紫香楽宮」「恭仁京」の3つに置く「複都構想」を持っていたという。
しかし紫香楽宮に大仏を作っている最中、M7.9の地震が紫香楽宮を襲い、大仏の工事は続行不可に。
失意の中、平城京に戻った聖武天皇は、改めて奈良に大仏を作ったらしい。

明治時代に起きた「会津磐梯山」の大噴火は、新聞などで全国的に報道され、
多くの人々の同情を集め、戊辰戦争で負け「賊軍」というイメージが強かった会津に対して、
人々のイメージを一新したという。
また、災害医療派遣、災害ボランティアの初のケースでもあるという。

日本史を飛鳥時代から、現代まで、災害と照らしあわせて語っているので、内容は膨大。
先にあげた「貞観地震」などの巨大地震、江戸時代の「富士山の大噴火」、「桜島の大噴火」、
昭和に入っての「室戸台風」や「伊勢湾台風」など、様々な災害とその影響を伺い知れる内容な上、
ちょっとやそっとじゃ紹介しきれない(ある意味、飛鳥時代以降の、日本史全史だし)歴史が
詰まっていて、読み応えもあり、知らなかった事、盛りだくさん!
今まで知っていた日本史を別の角度から見ることもできるという、
とてもおもしろい内容になってます♪

また歴史を追う事で、同じような災害でも、前の経験が役に立たない例もいくつもあるのもわかる。
特に津波は同じ場所でも、その都度様子が違い、前に起きた大津波が、
到達するまで時間がかかった為、それを教訓にしていた人達が、
地震後すぐに到達した津波に飲まれて亡くなったり、前の例があてにならないケースも多い。

内容ぎっしりで参考になるし、ためにもなる、とてもとてもお勧めの本(^-^)ノ。
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「大江戸くらし大図鑑」別冊宝島2025:時代劇と、江戸のくらしをさっくり紹介 [本:歴史]

大江戸くらし大図鑑 (別冊宝島 2025)

大江戸くらし大図鑑 (別冊宝島 2025)

  • 作者: 菅野俊輔
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/06/15
  • メディア: 大型本
7点

サブタイトルに「時代劇が100倍楽しくなる!」とあるように、時代劇の紹介と、
江戸の暮らし豆知識のコラボ的本。
どちらも、あっさりさっくりなので、時代劇はそこそこ見てるけど、江戸時代の実際の生活は
あまり知らない・・・って人向けかな。

第一章は「時代劇で見る江戸の治安とくらし」で、「鬼平外伝」「鬼平犯科帳」などや、
実在したの大泥棒などが紹介されている。
時代劇の方は、「鬼平外伝」「鬼平犯科帳」を見ていないと、ピンと来ない感じだし、
実在の大泥棒の紹介も、3人を半ページと短い。

「町奉行」と「火付盗賊改」の違いや、実在する「火付盗賊改」であり鬼平犯科帳の鬼平の
モデルである長谷川平蔵に関しては、「こんな人が実在したんだっ!」って参考になったけど、
「長谷川平蔵」について詳しくは書いてないので、興味をもったら自分で別の本を読んで調べる・・
って感じの、やっぱりあっさりした内容。

江戸っ子の食事や衣服の章もあり、カラーで浮世絵がたくさん紹介されているけど、
これまたあっさり、さっくり。

江戸の町並みと厳選・人気スポットは、江戸時代の最初の頃の地図が、
現在陸地の部分の多くが海だったりして、今の東京の江戸時代に埋め立てられた土地の
多さにびっくりした。

第四章は「時代劇を楽しむために知っておきたい実在の人物」として、
「徳川吉宗」「水戸光圀」「長谷川平蔵」「遠山金四郎」・・・など8人が紹介。
面白いことは面白いけど、やっぱり説明が短い。

いろいろな時代劇の紹介もある。

時代劇が好きで、ざーーーっくり江戸時代を知りたい人向け。
まぁ、簡単に読めるし、面白いことは面白いけど、時代劇に興味がないとちょっと辛い。
最近、時代劇はほとんど放送してないので、時代劇に馴染みのない
(私が、子供の頃は、親や祖父により、半ば強制的に見せられていた(^_^;)←テレビ1つだったし)
若い人には厳しいかも。
自分が進んでみた時代劇って「必殺仕事人」くらいかなぁ。
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「世界遺産でわかる世界の歴史」エジプト文明、エーゲ文明、百年戦争、レコンキスタ、マヤ文明・・etc歴史とそれにまつわる世界遺産を紹介! [本:歴史]

世界遺産でわかる世界の歴史

世界遺産でわかる世界の歴史

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2013/04/26
  • メディア: 単行本
7点

「世界遺産を切り口とし、世界史の新しい楽しみ方を提案する」というのが、この本のテーマ。

「エジプト文明」では「エジプト文明」の簡単な説明(1P強)とギザの三大ピラミッドの配置図、
そして見所として「クフ王」のピラミッドをカラー写真で紹介。
「メソポタミア文明」では、世界遺産・都市遺跡「チョーガ・ザンビル」にある
階段状ピラミッド型神殿「ジッグラト」の説明や「チョーガ・ザンビル」の見所。
世界遺産「カルタゴの遺跡」を紹介し、フェニキア人の都市カルタゴとローマ帝国の戦争
「ポエニ戦争」の説明。
「仏像の誕生」という主題では、世界遺産「タフティ・バビーの仏教遺跡跡」を紹介。
「後ウマイヤ朝の成立」(滅亡まで書かれている)では、「アルハンブラ宮殿」が紹介されている。
遺跡としてはとてもマイナーだけど(ヴァイキングの拠点後「ビルカとホーヴゴーデン」や
ルーン文字の石碑)、「ヴァイキング」のヨーロッパへの影響(各地で建国)なども書いてある。

世界遺産が切り口になっているものもあるが、メインは「世界史」で、それに関係する
世界遺産の紹介をちょっとする感じ。
メジャーなものから、あまり知られていないものなど、128の世界遺産が紹介されていて、
面白い事は面白いんだけど、歴史の説明は、簡潔に短く紹介されているため、
高校世界史くらいはしっかり覚えてないと、ちょっと厳しい内容も多い。
教科書の内容を、ギューっと圧縮して説明(部分的にかなり詳しく)って感じなので、
1Pほどの説明の情報量がすごく多い。
私も、すでに高校世界史は、かなり忘れてて、特に、イスラム王朝の変遷の当りとか
「ウマイヤ朝」「アッパーズ朝」・・「アイユーブ朝」「セルジューク朝」・・・名前は覚えているが、
何が何だか(。◇。)?という感じに(^^;)。
他にも、歴史の流れがつかめず、年表を確認したり、諦めて読み流したり(^^;)、してしまった。

また、歴史の説明がメインだったので、もう少し世界遺産の説明が欲しいなーとも思った。
オールカラーなのはよく、世界にはこんな世界遺産があるんだ!と知るきっかけにはいいかな??

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「消滅した国々-第二次世界大戦以降崩壊した183ヶ国」吉田一郎著: [本:歴史]

消滅した国々―第二次世界大戦以降崩壊した183ヵ国

消滅した国々―第二次世界大戦以降崩壊した183ヵ国

  • 作者: 吉田 一郎
  • 出版社/メーカー: 社会評論社
  • 発売日: 2012/11
  • メディア: 単行本


もう7~8年くらい前だけど、この著者の「国マニア―世界の珍国、奇妙な地域へ!」を
読んだ時は、かなりの衝撃を受けた。
キティちゃんの切手を売っている国とか、住民が全く働いていない国、
独立したのに国民投票で植民地に逆戻りした国・・・・とにかく、面白いエピソード満載、
自分の常識とはかけ離れた国々が紹介され、それと共に「国家とは?」ということも
考えさせられる本だった。

で、今回読んだのは「消滅した国々-第二次世界大戦以降崩壊した183ヶ国」。
第二次世界大戦以後、以前からあった国が消滅した国もあれば、
新しくできたけどまた消えてしまった国もある。
そういう国183ヶ国を紹介した本。

第一章:国際的に承認された国(南ベトナム・ソ連・東ドイツ・チェコ・スロバキア・旧ユーゴスラビア等)
第二章:わずかな国に認められた国(パレスチナ・コソボ共和国←消滅してまたできた・・等)
第三章:改めて独立したら併合された国(チベット・ハイデラバード藩王国等)
第四章:併合されたくて独立した国(内モンゴル人民共和国・シンガポール←現存して
いるのは「シンガポール共和国」・・等)
第五章:植民地に戻った国(ローデンシア等)
第六章:ソ連崩壊で生まれた国(クリミア共和国・ガガウズ共和国・チェチェン等)
第七章:ソマリア崩壊で生まれた国(南西ソマリア等)
第八章:国家連合(フランス共同体・アラブ連邦等)
第九章:首長国・士候国・藩王国(インドの藩王国・パキスタンの藩王国等)
第十章:保護国・準独立国(シッキム王国・南アラビア連邦等)
第十一章:いわゆる傀儡国(東トルキスタン共和国・インドネシア連邦の傀儡国家群・キレナイカ・
南アフリカのホームランドの国々等)
第十二章:いわゆる独立勢力(朝鮮人民共和国・東ティモール民主共和国・ナガランド連邦等)
第十三章:作り損ねた国々(アトランティス←暗礁に人工島を作ろうとしたけどサンゴ礁を破壊した為中止
など、人工島を作って建国しようとした例がいくつか)

と、各章のタイトルを見てわかる通り、消滅・崩壊の理由はいろいろ。
独立宣言したけど、すぐ鎮圧されたり、他の国に合併される為に一度独立したり、
いくつかの国で連邦国家を作ってみたが上手くいかなかったり、
独立したけど希望して植民地に戻ったり(国マニアにも載ってたけど、そういう国はいくつかあった)、
傀儡政権で崩壊したり、王国だったのが、王政が廃止になったり・・・。

現在「リアル北斗の拳状態」と本書でも紹介されているし、その状態が有名な「ソマリア」などは、
小さい国ができては消滅・崩壊を繰り返しているのがよくわかるし、
他に、穏やかに解体したチェコ・スロバキアと、コソボ紛争など泥沼の戦いになった
元ユーゴスラビアなどの話しも興味深かった。
チェコ・スロバキアは、あまりにあっさり解体したので、ついつい解体してしまったのを忘れ、
まだ「チェコ・スロバキア」があるような気持ちになってしまう。

「国マニア」でも思ったけど、「国が国として維持できている」というのは、
ある意味不思議な事、すごい事でもあるんだなーと改めて認識したし、
日本は単一民族国家(ちょっと語弊があるけど一応)なので、民族紛争で、国土を分断する・・という
事自体にあまりピンと来ないけど、多くの国がそういう問題を抱えているのもわかる。

また国と国の駆け引きというのは、公正で正義が勝つなんてものじゃなく、強いもの、
影響力があるものが有利に事を進め、弱い国、小さい国は、そういう国をどう手玉にとるかが重要
なんてことも伝わってくる。

世界は殺伐としていると感じる話が多いけど・・・でもその中には、竹槍で独立を果たしたり、
占領しに攻めてきた他の国の軍を大歓迎で迎えたり、どちらの名前を先にするかで
崩壊してしまったり(チェコ・スロバキア)と、笑えるエピソードがあったりもする。

ただ、扱っている国が183ヶ国と膨大な上、、事情が複雑な国はそれなりにページを割いているけど、
情報量がとにかく多く、しっかり読み込まないと、状況を把握できない国も。
後半、かなり読み飛ばしてしまった(図書館の返却期限に間に合いそうもなかったので(^^;))。
ページ数も700ページを超えているので、読むなら、じっくり腰を据えてがお勧め。

「国マニア」は、サクサク読めて、いろいろな国のことがわかるので、まだ読んでいない人は、
こちらの方がお勧め(^-^)ノ。
国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)」文庫で出てます♪
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「地獄百景」田中久美子著:仏教の地獄を中心に、世界の地獄がわかる! [本:歴史]

地獄百景 (ベスト新書)

地獄百景 (ベスト新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 新書

7.3点

仏教の地獄。
灼熱地獄の「八熱地獄」は、「等活地獄」「黒縄地獄」「衆合地獄」「叫喚地獄」「大叫喚地獄」
「焦熱地獄」「大焦熱地獄」「阿鼻地獄」の8つ。
後になるほど重い罪の者が落ちる。

一番軽い「等活地獄」は釜茹でや生きたまま焼かれる地獄で、「殺生の罪」。
殺生が一番軽いの??と思ったら、ここは虫を殺しても落ちるそう。
これ、誰でも落ちちゃうんじゃないの??(^^;)

「黒縄地獄」は盗み。
仏教では、殺生の罪より、盗みの罪の方が重いらしい。

「衆合地獄」は邪淫の罪。
でも、強姦とか近親相姦だけじゃなく、正常位以外で性交した人も落ちるとか(^^;)。

「叫喚地獄」は、飲酒。
飲酒の罪、仏教だと重いw(゚o゚)w!!

「大叫喚地獄」は、嘘をついたものが落ちる地獄で、舌を抜かれたりする。

そして、「焦熱地獄」「大焦熱地獄」「阿鼻地獄」の特に重い罪で落ちる地獄は、
釈迦の教えに反する事を広めたもの(邪見)、「尼僧など敬虔な女性を犯した者」など、
日常の罪より宗教色が強くなる。
一番重い「阿鼻地獄」は、親や聖人を殺したり、教団を破壊したものが落ちるという。

その他「八寒地獄」や「阿修羅道」「畜生道」「餓鬼道」「極楽」など、仏教に関することで、
本の半分くらい占められている。
と言っても、図説あり、説明も簡単でわかりやすい。
どんな地獄なのか、どんな責め苦があるのか、各地獄に付属している個性的な小地獄に
落ちる理由や責め苦なども合わせて、説明してあるので盛りだくさん!!

漠然とは知っていた仏教の地獄を系統建てて整理できて、なかなか面白かった。
難点は、載っている地獄絵図が、古い絵で、元々の状態が悪いのか、かなり見辛かった事。

中盤は、「ユダヤ教」と「キリスト教」。
最初は地獄がなかったという「ユダヤ教」の地獄が作られる過程
(「バビロン捕囚」以後、敬虔でも災いがふりかかる現世で希望を見出せない人々が、
死後の世界に救いを求めた為となっている)。
ゾロアスター教から影響を受けたという「死後に審判があり、地獄と天国に振り分けられる」
という思想は、その後、キリスト教や、イスラム教へも受け継がれていく。

キリスト教では、「ペテロの黙示録」という外伝で、地獄が詳しく描かれ、それが普及。
キリスト教は、一般的な地獄のイメージ「ゲヘナ」と、洗礼を受けていない偉人や
赤子がいく「辺獄(リンボ)」(責め苦などは無いが神もいない)、地獄に堕ちるほどではない罪の人が、
炎で焼かれ魂を浄化する場所「煉獄」(浄化後天国に行ける)がある。
「煉獄」と「免罪符」が関係しているのは、この本で初めて知った。
お金を出せば、煉獄で魂を浄化される苦しみを味あわなくて済むということらしい。

また簡単にだけれど「バビロニア」「エジプト」「北欧」「イスラム教」「インド」「中国」
「ゾロアスター教」(天国と地獄の概念を広めたのはゾロアスター教だと言われているという)
などの「地獄」にも触れられていて、「国や時代が変われば地獄も変わる」って感じで面白かった。

で、この本を読んでいて、モーニングで連載中の地獄マンガ「鬼灯の冷徹」(リンク先感想)を
読んで、思ったより地獄に詳しくなっている自分を発見!
仏教の地獄の数々とか、落ちる理由とか、責め苦の種類とか、牛頭馬頭とか、
知ってることいろいろ。
特に現在、「エジプトの地獄編」がモーニングに掲載されていて、この本で得た知識を
ビジュアル的に再認識してる気分になった。

「鬼灯の冷徹」と、この本を合わせて読むと、より知識が深まる気が(^^)。
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「手のひらにのる骨董」貴道裕子著:豆皿・帯留・ぽち袋に見る日本心 [本:歴史]

手のひらにのる骨董

手のひらにのる骨董

  • 作者: 貴道 裕子
  • 出版社/メーカー: 世界文化社
  • 発売日: 2013/01/09
  • メディア: 単行本

7点

京都で古美術店「てっさい党」を営む著者が、手のひらに乗るほど小さい骨董品
「豆皿」「帯留」「ぽち袋」を、カラー写真満載で紹介した本。

「豆皿」の章では、「草花」「唐草」「吉祥」「魚介」「幾何学」などのテーマで、
それぞれ見開き2~4Pほどのページ数で豆皿が紹介されている。
説明は少なく、ズラッと並べられた豆皿の写真がメイン。
豆皿を日常に生かす方法なども。

「豆皿」の章を見て思ったのは、「自分は、陶器の骨董品はあまりわからん(^_^;)・・・」でした。
青と白のシンプルな色合いは、同じように見えるし、地味!
元々、料理の盛り付けセンスが全くないせいもあって、「これを食卓に使ったらステキ(*^.^*)♪」
なんてことも、全く想像できず(^^;)。

魚介の形の豆皿とか、ちょっと変わったのには、心惹かれたけど、
「しみじみ、和の心がにじみ出る豆皿を愛でる」って気持ちにはなれなかった。

また、学術的な説明がほとんどなかった為、その古美術品や模様の歴史的背景とか、
そういうのを深めるのにも不向き。
元々、この手の骨董品が好きな人が、見て楽しむ章って感じ。
あまり知識が無くても「元々興味がある」なら楽しいと思う。

何故なら、最後の章「帯留」は、ほとんど知識が無かったけど、その造形の細かさとか、
バリエーションの豊かさとか、見ていてすごく楽しかったから。
元々、小さくて繊細な細工物って好きなので、そういう自分の嗜好に「帯留」はピッタリ!
こちらのページにこの本で紹介してある「帯留」「豆皿」「ぽち袋」の一部が
載ってますが、ほんものそっくりのほおずきの帯留、百人一首を重ねたような帯留など、
こんなのあるんだーーってのがいっぱい(*^.^*)!
西洋風のものより、日本風のものが好み♪

そういう意味では「ぽち袋」もあまり興味が持てず、私にとってこの本は、
「帯留」の章が面白かった!!って感想。

気になったのは、紹介してある古美術品、写真のページには、番号しかついておらず、
最後の索引で簡単な説明を読むようになってたこと。
説明はともかく、古美術品名は、写真のページに載せて欲しかった。

「豆皿」「帯留」「ぽち袋」どれか興味があれば、眺めて楽しめると思う。
でも、元々興味が無い場合、興味を喚起するような深みのある内容ではなかったです。
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「女中がいた昭和」小泉和子著:昭和戦前後まで「女中」は普通の家庭にもいた [本:歴史]

女中がいた昭和 (らんぷの本)

女中がいた昭和 (らんぷの本)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2012/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
6点

昭和戦前後まで、それほど裕福でもない家庭にも女中がいた。
何故、それほど需要があったのか。
そして、女中の待遇、女中のなり手、女中の心得、女中の人権、女中が消えた理由・・・などを、
当時の新聞記事や本、データなどから紐解いた本。

それほど裕福でも無い家庭にも、女中がいた昭和戦前後。
それは、西洋文化の流入によって、主婦の仕事が雑多で複雑になったからだと著者は言う。
水洗いだけで楽だった状況から、石鹸などが輸入され、しっかり洗うようになり、洗濯は重労働に。
服も、直線縫いの着物から、カーブのある洋服へ。
当時は、布を買って服を作るのが普通だったらしいから(サザエさんの早い方の巻を読むと
生地から洋服を作ってる)、大変だったと思う。
開放的な日本の家は、ホコリが入りやすく、掃除も大変。
まだ薪で煮炊きをしていた家庭も多く、炊事はずっと重労働。
主婦一人では賄い切れないため、普通の家庭でも女中を雇ったという。

ただ、気になったのは、この本で言われている「普通の家庭」。
確かに、裕福ではない、今で言う「庶民的な家庭」なんだけど、それを今の「中流家庭」に
あてはめてしまうと、大きな誤解を生みそうな気がした。

女中数はだいたい80万人前後ということで、当時の世帯数は調べたら1100万世帯ぐらい。
複数の女中を雇っていた家庭も多かったようだけど、それを考えなくても、
女中がいたのは、10軒に1軒。
1割程度。
実際は1割にも満たなかったのかもしれない。
ジニ係数がとても大きかった明治から昭和戦前戦後、「庶民的な家庭」ですら、
今で言えば、かなり裕福な家庭、今の年収1千万とか2千万くらいの立場だったんじゃないかと。
それを考えると「普通の主婦の家事が煩雑に雑多になった」と言っても、それは、
今の○○ガネーゼとか○○マダムなんて呼ばれている人の生活を、「普通の生活」と言って
論じているように思えてしまって違和感が。
ちなみに、ジニ係数が極端に低くなったのは、敗戦後で、ここで貧富の格差がかなり解消し、
今で言う「中流家庭」が大量にできたんだと思う。

実際お年寄りに話を聞くと、お手伝いさんがいたという方もいたけど
(親戚の若い人が無給に近い状態で来てたってのもあった)、
子供の頃は寝間着もなく服は着たまま、洗濯も頻繁じゃなく、着物が普通で、洋服を来てたのは
お金持ちだけ。畑で作物を作り、豚や鯉を飼ってそれをつぶし、ほとんど自給自足、
女中さんがいるのは地主さんだけなんて話や、6畳一間に家族6人で住んで、
食事もとても貧しかったなんて話も多い。

女性の職業としては、女工と並ぶ人数だった女中という仕事は、
確かに今より何倍も身近ではあったんだろうけど、当時のほとんどの家庭ではやっぱり
雇えないものだったんじゃないかと思ってしまった。
そうすると「昭和の主婦の仕事が女中を雇わないとできない」状態だったのであれば、
女中を雇えない多くの家庭はどうしていたんだろう?と思ってしまう。

その点が気になったけど、最初は「お武家様などに行儀見習に入る」など、
花嫁修業的意味合いが強く、ステイタスともなった「女中」という仕事が、
徐々に「下の仕事」、「女中と呼ばれたくない。名前で呼んで欲しい」と、
誇れない仕事になっていくのは興味深かった。

また女中の人権の無さについて言及されている章があるが、
それは当時の女性の人権の無さともリンクしている。
女中と敗戦後米軍家庭に雇われた「メイド」との違い、女中の不満・希望だけじゃなく、
雇う側の視点、女中を使う難しさなども面白かった。

でも、帯にも書いてあり、この本のキャッチでもある「裕福じゃない家庭にも女中はいた」というのは、
上記の理由でしっくり来なかったので、点数は低め。
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「伝説となった国・東ドイツ」平野 洋著:資本主義と社会主義、ものの考え方や価値観の違いが面白い! [本:歴史]


伝説となった国・東ドイツ

伝説となった国・東ドイツ

  • 作者: 平野 洋
  • 出版社/メーカー: 現代書館
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本

7.3点

最近のドイツは、ヨーロッパ随一の経済大国。
でも、いまだに旧東ドイツと旧西ドイツを比べると、旧東ドイツの失業率が高かったり、
ネオナチの活動が活発だったり、経済・意識格差はあるよう。

元々同じ国でありながら、社会主義と資本主義に分けられていたドイツ。
統一ドイツに関しては、西側からの視点の物が多い中、これは東ドイツに留学経験がある著者による
東側からの統一に対する視点を扱っていて、読んでいてとても新鮮。
元々同じ国だったドイツが東西に分断されて50年。
その間に、ドイツ人の価値観には大きな違いができてしまった。

西側から見た視点というのは、同じ資本主義国家という事で、わかりやすいし、納得できる。
そして、東の人間の行動というのは不可解だ。

例えば、お店に何かを注文する。
それも、お店にとってかなり儲けがでる注文だ。
資本主義であれば、ありがたい話だ。
ところが以前は社会主義であった東ドイツのお店は全く違う。
注文の通りには何度言ってもやってくれないし、文句を言うと、
「そんな面倒な事はやりたくないから、別の店に行け!」と言ってしまう。

西(資本主義社会)の人間から見れば、信じられない対応だ。
でも、東(社会主義)世界に生きて来た人間にとっては、普通の対応だったりする。
すると、西側の人間は、東の人間は怠惰でやる気が無い、と評価を下す。
今まで読んだ本は、この視点で描かれていたが、この本は、
そういう対応をする東側の人の価値観にも触れているのが面白い。

旧東ドイツの人は、旧西ドイツの人に、「資本主義になって良かっただろう」と問われる。
資本主義になって良かったことは、もちろんたくさんあるので、旧東ドイツの人は肯定する。
でも、「東ドイツの体制だっていいところがあった」ということは、旧西ドイツの人は認めようとしない。
そんな、旧東ドイツの人々が感じる、東ドイツの良かった点などについても書かれている。

先日、テレビでやっていたウクライナの取材でも、ソ連時代に比べて物質は豊かになったが、
生活は苦しくなったというようなインタビューの答えがあった。
富める者は豊かになったが、そうでないもの、特に年金などで生活している人達は、
突然の競争社会に翻弄されている。

10年ほど前の本なので、今のドイツの現状も知りたい。
この本が書かれた頃と比べて、また意識の変化があったのか興味がある。
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「灰色の季節をこえて」ジュラルディン・ブルックス著:ペスト禍に襲われた中世イギリスの村を描く! [本:歴史]

灰色の季節をこえて

灰色の季節をこえて

  • 作者: ジェラルディン・ブルックス
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2012/04/12
  • メディア: 単行本
7.8点

史実を土台にした小説。

1655年、イギリスをロンドンを襲ったペストは、一日に6000人もの人が亡くなるなど、
膨大な死者を出したという。
丁度、同じ時期、イギリスの小さな村にもペストの魔の手が。
最初は仕立屋が。
「全てを燃やすように」との彼の遺言は無視され、ペストは村の中に広がっていく。
牧師の説得により、病魔を撒き散らさない為、村に留まる決心をした人々。
しかし、閉鎖された村の中、増える死者の数に、人々は・・・。
事故で夫を失い、一人で育てていた子供を2人をペストで失った若い未亡人アンナの目を通して、
宗教への信心と迷信が支配する中世の村の様子と人々の意識を克明に描き出す。

第一章は、1666年の春、ペスト禍が去った後の村の様子。
失われた命、消えた何十年も続いてきた村の人々の営み、人々の変化・・・・・、
光は射しているのに、時間が止まり、暗闇に囚われたままのような村の様子が、
アンナの悲しみ、絶望を通して語られ、この先の悲劇を想像させる。

その後1665年、一人の職人の死と、徐々に村の中に広がるペスト禍の様子が描かれる。
牧師の説得により、村に留まる決心をした人々だったが、限りなく続く死者の数に、
信仰は揺らぎ、迷信がはびこり、魔女狩りのような殺人まで起きてしまう。
また、衣服を脱ぎ捨て、財産を捨て去り、自分を鞭打ちながら放浪するという、
異端の信仰にのめりこむ苦行者まで現れた。

興味深かったのは、信仰と迷信が支配する中世に人々の、今とは違う物の考え方・捉え方が、
見事に書かれていた事。
医学も、血を抜いたりと、おまじないと変わらないレベルの時代。
病気自体も神の試練であると捉えられたりしている。
人々を救う為に薬草の勉強をするアンナは、神の試練ではなく、
何が原因があるのではないかと考えたりもするが、進歩的な考えでも、まだまだそのレベルだ。

そんな時代に、疫病が蔓延し、閉鎖された村の人々が狂気にかられるのはわかるし、
怪しげな宗教にのめり込んだり、異教の怪しいマジナイに手を出してしまうのも理解できる。
それでも、人々の行動の根底に「キリスト教」が根付いているのが感じられるのも興味深い。
日本では社会的な目を気にしてモラルを守るが、ヨーロッパではそれが神の目である・・と言う説を
聞いたことがあるが、中世ヨーロッパ社会では、その神の目への意識が今と比べ物にならないくらい
強いのが、本書を読んでいると感じられた。

ペスト禍に襲われた村の様子や、それに翻弄される人々、立ち向かう人々を描いたストーリーも
面白いが、中世ヨーロッパ社会に生きる人々の心理をドキュメンタリーのように描いた作品としても、
とても楽しめた一冊。
ピックアップするエピソードの選択の上手さ、女性らしい極め細やかな心理描写などから、
著者の力量もすごく感じた。
ただ、ドキュメンタリーではなく、大きな災厄際に見舞われた主人公の女性の成長、
考え方の変化、それに伴う行動の変化も描いているため、
ラストが、ちょっととってつけたような印象を受けてしまい、少し点数が低めになってしまった。

そういえば、この作品で描かれるペスト(黒死病)の症状は、ペストらしくないと思って調べたら、
1666年ロンドンで流行った黒死病は、ペストではなく、エボラ出血熱のような、 ウイルス性出血熱だったという説もあるようです。


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「日本人が知らない世界と日本の見方」中西輝政著:戦争や平和、国際政治への考え方の違いがわかる! [本:歴史]

日本人が知らない世界と日本の見方

日本人が知らない世界と日本の見方

  • 作者: 中西 輝政
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2011/09/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.3点

日本人にとって戦争と言えば、第二次世界大戦。
戦争への嫌悪感、軍隊を持たない、核を持たない・・・その時の教訓はいまだに日本人の心の中に
生きている。
でも、ヨーロッパでは「第一次世界大戦」こそ、日本人にとっての「第二次世界大戦」と同じ位置付け、
と本書では解説している。
民衆の反戦意識の強さ、「反戦平和主義」が、政府の及び腰を産み、ナチスドイツの他国への
侵略を傍観、結果ナチスドイツの台頭を許し、フランスなどは、国土をほぼ占領されてしまう。
「第二次世界大戦」で新たなる教訓を得たヨーロッパ諸国と、
「第一次世界大戦後」のヨーロッパの考え「反戦平和主義」に囚われている日本。

この本で述べられている、反戦主義から、国家否定、そして、社会主義や共産主義へと、
つながる過程も面白かった。

三国干渉などの話は、以前読んだ「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(リンク先感想)で
書かれていた、「自国防衛の為に戦争に突き進んだ日本」の背景がわかるような気がした。

「満州事変で日本に拒否権があれば、日本は第二次世界大戦に参戦しなかった」
「イラク戦争でアメリカに拒否権が無ければ、アメリカは侵略国家の烙印を
押された(下手をすれば、日本と同じように国際連盟脱退・・という道を選んだかもしれない)など、
国際連盟での拒否権のある意義、問題点。
いまだに「平和を尊ぶ心を育てれば戦争は回避できる」というような、「主観的・感情論的学問」
が主体であること、そして、「戦争が何故起きるのか」という解明は不十分であるということへの
嘆きなどが、戦争回避に関しては語られている。

国際政治に関しては、最初に、目の前の現実を容認するという日本の「現実主義」(現状是認型)と、
「世の中の原理」「世の中には起こりうることと起こりえないことがある」の観点から語る
ヨーロッパの「現実主義(リアリズム)」の違いから、日本と世界の政治のあり方の違いが
述べられている。

またフリードリヒ大王を例に、理想主義者は最悪のマキャベリストでもあることが述べられている。
フリードリヒ大王は、ドイツの基礎を築いた人で、ドイツにとっては名君だったけれど、
諸外国にとっては狡猾で目的のためには手段を選ばない危険な人物だったわけで、
政治というのは、清廉潔白だけではやっていけない、というのがよくわかる。

面白かったのが、過去に、明治天皇の命令で、各国の条約違反をした数を調べたら、
1番ドイツ、2番ロシアで、ドイツは条約を破る時、ものすごくたくさんの理由をつける、
ロシアは何も言わずに破る・・・ってエピソード。
日露戦争でも、ロシアは日本への賠償金を「無視」の形で支払わなかったらしいし、
イギリスなどは、外交的姿勢が「嘘で得る利益より、信用を失う事による損失の方が結果的に大きい」
という感じで、あまり条約を破らないけど、「ここぞっ!」って時には破る(一番効果的)ようだ。
お国柄はやっぱりあるようです。

9.11同時多発テロに対する報復が、一時的に国民の指示を得たように、
アメリカは「道徳的憤怒」によって戦争を起こし、
最近はそうでもないが、過去にそれで勝利し、得をしていた事が多い。
そこから、アメリカが各地の紛争、戦争に関与している背景が見えてくる。

この本に「民主主義の最大の欠点」として、「誤導された世論が”平和の敵”になり、
(民衆が)どんな独裁者よりも残酷な戦争を望むようになる」という記述がある。
「道徳的な裏付けに扇動された戦争」は、ベトナム戦争、イラク戦争・・・などいろいろあるが、
いかに、道徳的な裏付けをし、民衆を扇動し、自国に有利になる戦争を肯定させるか・・
という政府の思惑と、扇動されやすい民主主義の怖さが見える。
実際、関与することにメリットを見いだせない紛争、戦争へは、
介入する為の道徳的裏付けがつけられても、ほとんどの国で、見て見ぬふりだし。

他にも「全体主義」「軍国主義」「人間自体が愚か」「国家そのもの」「軍隊自体」・・・と、
いろいろな戦争の原因と、シニカルな視点でのその解決策についても書いてある。
結局、個人の喧嘩をなくせないように、戦争というのはなくならないものなのかも・・とも思ってしまう。

国際政治学や、国際関係論は「アングロサクソンサイエンス」と呼ばれ、
一時期覇権を握っていた、イギリス人やアメリカ人が始めたものらしい。
今の国際政治で一般的だと日本国内で認識されている「戦争と平和」の考え方や「経済重視」の姿勢が、
世界の国の一般論ではなく、覇権国家からの視点で語られていると言われると、なんとなく納得。
フランスなどは、アングロサクソン的な国際関係論は、世界の雑多な出来事を寄せ集めて、
そこに機能主義的な意味付けをするだけの学問と認識しているという。
フランス人にとって、機能主義的、経験主義的な学問は、「頭が悪い人がするもの」
だという評価らしい。

民衆の意思が1つになり武力で国を倒す「フランス革命」と、絶対王政も議会制もダメ、
中道をとった「名誉革命」、2つの革命から見るフランス・イギリスの考え方の差に関する
考察も面白かった。

列強ではなく、工業革命以後のバスク・イギリス、第二次世界大戦後のバスク・アメリカなど、
一超多強(1つの強大な国があり、他にいくつか強い国がある)の状態が、世界は一番安定し、
それが覆ろうとする時、混乱が起きる(強大な仏露同盟成立が第一次世界大戦を引き起こした等)、
という説は、なるほどなーと思う部分が多かった。
現在、バスク・アメリカ状態だけど、その地位も揺らぎだし、これから混乱が始まるのかという、
嫌な予感も。

また著者は、「グローバリゼーション」の後は、反動で「国家」(ナショナリゼーション)の
時代が来ると説いている。
私も、世界の情勢から、そういう方向に進む可能性も高いと思っているので、これには納得。
食料自給率、工業生産・・・、多くの国が国の基本になるものを守ろうとする中、
日本政府は「このままグローバル化が進み、世界は1つになる」という考えの元、
それらの保護を行なっていないと著者は指摘する。
過去のユダヤ人の迫害、現在のクルド人の問題、出稼ぎ先の国で虐待される貧しい人々、
いろいろな事を見るにつけ、祖国が安定しているというのは、祖国で暮らすにしろ、
外国に出るにしろ、大切な事なんだと思う。
これからもし「ナショナリゼーション」の方向に世界が動くとしたら特に。
もちろん、「ナショナリゼーション」へ一気に傾くのではなく、
グローバリゼーションとナショナリゼーションとの間を揺れ動くのだろうけど。

他にも第二次世界大戦終戦時の、天皇制をどうするかの各国の思惑、
反アングロサクソン的思想から始まったEU(ベースはフランス中心主義)、
与謝野晶子の「君死にたまふこと勿れ」は反戦歌ではなく
「何で後継ぎの長男である弟を戦場に出さなくてはいけないのか」(次男・三男ならOK!)という、
昔の家長主義思想の元に歌われたものだった・・など、いろいろ面白い考察が。

著者の考え方は、右派寄りだし、講義をまとめたものなので、持論のベースになる資料の
検討などはほとんどされていない、またある出来事のいくつかある原因の中から、
持論に使えるものだけをピックアップしている(これだと、事実であって事実ではない、
誤解を生みやすい状態になりやすい)・・・など気になる点はあったけど、
この本で論じられている視点で世界見るというのは、かなり新鮮で面白かった。

この本の内容に賛同するかしないかは別として、「日本の外交はダメだなー」ってのは、
読んだ人がみんな思うような気がする(^^;)。
日本の「内政」もダメダメだけど、他の国も大なり小なり、内政は問題を抱えている。
でも、外交に関しては、他の国に比べて、突出してダメだよなーって気が。

バスクアメリカが崩れだし、先進国の経済状態も悪い現在、次の安定への過渡期として、
世界は不安定になる気がする。
この先、世界が日本がどうなるのか、考えさせられる一冊だった。
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「古代ローマ人のくらし図鑑(イラストでわかる)」新保良明監修:わかりやすいけど、絵はいまいち(^^;) [本:歴史]

古代ローマ人のくらし図鑑

古代ローマ人のくらし図鑑

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/04/23
  • メディア: 単行本
6点

古代ローマの建築技師が現代日本社会にタイムスリップして、そこで見聞きしたものを、
古代ローマのテルマエ(公共浴場)の建設に活かすギャグマンガ、
ヤマザキマリの「テルマエ・ロマエ」(リンク先感想)の映画化に合わせて出たような本。
帯には、テルマエ・ロマエの主人公ルシウスのイラストも描いてあるし、
「マンガ&映画の世界をわかりやすくイラスト解説」との説明も。

古代ローマ人の暮らしや一生、住まい、食事、婚姻、五賢帝、服装、奴隷制、パン屋の仕事、
兵士、学校・・・・など、一応のところは網羅。
イラストが2/3を占めるページが多く、わかりやすいが、情報量は少なめ。
後半、ローマ帝国の歴史を解説してる部分は文字ばかりだけど。

小中高校生でも楽しめる内容になってるし、さっくり古代ローマについて知りたい人にはいい気がする。
だた、イラスト自体が、小学生用のコミック教材と同じ感じで、レトロなセンスだったり、
可もなく不可もない感じで、魅力が全然無いのが、イラストがメインなだけに残念。
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「世界の「独裁国家」がよくわかる本」橋本五郎監修:独裁は悪い事ばかりではないが、恐ろしいほどの悲劇を生み出すことも [本:歴史]

世界の「独裁国家」がよくわかる本 (PHP文庫)

世界の「独裁国家」がよくわかる本 (PHP文庫)

  • 作者: グループSKIT
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/02/01
  • メディア: 文庫
7.5点

現存する独裁国家、過去に独裁国家であった国、そういう国を社会、政治、経済、文化、国民、
いろいろな面に言及しつつ、紹介した本。

第一章は、現在も独裁国家である国。

アジアでは、北朝鮮、中国、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、ラオス、サウジアラビア、
シリア、オマーン、カタールなど。
「北朝鮮」は、金正日が亡くなり、この後どうなるか注目されている。
独裁体制が崩れるかは、中国がどう動くかって気がするけど。
ゴミ捨て禁止、チューインガム持ち込み禁止などの法律が超厳しい「シンガポール」も、
直接選挙による大統領制ではあるが基本的には一党支配。
しかし、独裁制だからこそ、経済が発展した側面も。

「ベトナム」も一党支配による独裁政権だが、対応は柔軟。
ベトナム戦争の話を読むと、ホーおじさん(ホー・チ・ミン)は、素晴らしい人な印象を受けるのだけど、
社会主義国家ならではで、悪い情報が出てこない為、完全にそうなのかは不明(調べてないのもある)。

「サウジアラビア」は、王族による支配。
イスラム教の聖地があるせいもあり、戒律は厳しく、外国人に対しても厳しい。
石油資源のおかげで、経済・国内情勢は比較的安定←鎖国状態に近いので詳細は不明。
親米政権なので、エジプトやリビアのように、急激な崩壊は無い??

「シリア」は「ジャスミン革命」の影響で国内で内乱が置き、先が見えない状態。

「カタール」は、絶対君主による首長制。
国民の大半が公務員、5年勤めれば生涯の給料保障と、大学を卒業すれば土地が貰え、
教育・医療無料と、豊富なオイルマネーで、世界で一番裕福で贅沢な国とも言われている。

欧州・中央アジアの独裁国家は「リヒテンシュタイン」「ベラルーシ」「トルクメニスタン」「ウズベキスタン」
「カザフスタン」「タジキスタン」「アゼルバイジャン」など。
「リヒテンシュタイン」を除くと、旧ソ連諸国が目立つ。

「リヒテンシュタイン」は人口3万人ちょいの、人口も少なければ、面積も小さいという国。
憲法もあり、選挙も、複数政党もあり立憲君主制に近いが、「君主大権」という、
いざという時、議会を無視できる権利を国王が持っている点でこの本では「絶対君主制国家」として
扱われている。
ナチスヒトラー台頭の時、ナチス寄りの議員が増えそうな自体になったのをこの「君主大権」で
阻止した事があるという。

「トルクメニスタン」は、大統領の像や肖像画があちこちに掲げられていたり(北朝鮮の金日成・金正日の政策をもっともっとナルシーにした感じ、
以前テレビで見たけど、凄いインパクトだった(^^;))、変な記念日を作ったり、
前大統領ニヤゾフの変な政策が印象的だった。
変な政策をたくさん行ったが、豊富な資源による利益を国民にも還元した為、旧ソ連諸国の中では、
経済的には成功している方。
ニヤゾフが亡くなった後も、相変わらず政策は迷走しているらしい。

「ウズベキスタン」はイスラム原理主義とロシア支配の板挟みな為、強力な指導者を必要とする
状況にもある独裁国家。
が、「ヒゲをはやした男(イスラム教徒に多い)は逮捕拷問」「子供の強制労働」なども問題点も多い。

「カザフスタン」は、ソ連時代に移民して来たロシア人が多い、ロシア寄りの一党独裁国家。
首都の強引な移転など問題もあるが、経済発展もしている。

「タジキスタン」は、資源に乏しく、国自体が秘境のような場所にあり、旧ソ連諸国最貧国。
一党独裁国家だが、大統領の支持率は高いらしい。

アメリカ大陸の独裁国家は、「キューバ」「ベネゼエラ」「ボリビア」「トンガ王国」があげられている。

南米は、独立運動時、アメリカによる経済と政治への介入があり、
アメリカやアメリカ企業に優位な経済政策の押し付け、政治の腐敗、
その為の貧富の差の拡大など様々な問題が起きた為、反米政権も多く、
その為、アメリカによる経済制裁を受けている国も多い。

「キューバ」はカストロ政権の元、ソ連など社会主義国の崩壊、アメリカの経済制裁により、
貧しい状態が続いている。
ただ、他の社会主義国にありがちな、支配者と被支配者の貧富の差は大きくなく、みんな貧しいらしい。
また医療、教育などは無料であり、キューバからアメリカに移り住んだ人が、
医者にみてもらうお金が払えず家族が死んだ時、キューバにいれば・・と言っていたのを思い出す。
独裁政権だからこそ、思い切った政策もとれる。
食糧難のおり、農業の地位を高めたり、都市部でも有機肥料(臭い)を使った畑作が推進されたりした
というのを、以前何かで見た。
キューバの人々を苦しめているのは、独裁者ではなく、アメリカな気がする。
これは、以前のイラクなども、独裁政権より、多くの人々を苦しめていたのが経済制裁だったことと、
つながるものが。
捏造された理由で始められたイラク戦争も、多くの民間人が犠牲になり、フセインの独裁政権と、
今の治安が悪化したイラク、どちらがいいのか甲乙付けがたい気がするし。
特にキューバの場合、独裁者カストロのカリスマ的人気が高かった事からも、
独裁者=人民を圧政で苦しめるではないことが伺い知れる。
ヤマザキマリの「世界の果てでも漫画描き キューバ編」(リンク先感想)を読むと、貧しくて大変だけれど、
幸せに過ごす人々の生活を垣間見ることができる。

「ベネゼエラ」は強烈な反米のチャベス大統領が有名。
ブッシュ大統領に対する「ブッシュはアメリカ史上最も知能指数の低い大統領だ」とか、名言いろいろ。
オバマ大統領の就任を歓迎もした。

「ボリビア」は、クーデターが頻発していた国。
1826年の独立以来、160年間にクーデター200回以上。
大統領、平均在任期間1年3ヶ月、最短一時間。
平均在任期間は、今の日本も似たようなもの??と思うけど(^^;)、
その理由が、追放、国外逃亡、暗殺、自殺・・・と、大統領になっても全然安心できなかった国。
最近、やっと安定したとか。

「トンガ王国」は、民主化の動きもあるが、福祉政策の充実で、国王の人気も高い国。

アフリカの独裁国家には「リビア」「チュニジア」「エリトリア」「ウガンダ」「ブルキナファソ」「カメルーン」
「スーダン」「チャド」「スワジランド」「ジンバブエ」などがあげられている。

「リビア」は先日カダフィの独裁政権が崩壊した。
独裁国家には含まれていないが「エジプト」のムバラク政権も倒れた。
で、丁度、この本、リビア革命の起きる直前に読んだので、リビア革命は不思議だった。
この本に書いてあったのは、教育・医療無料で、識字率はとても高く、パンなどの食料も国が安く提供と、
オイルマネーにより国民の生活は豊か、先進国と同じようにニートで悩んでいる・・というような事
だったからだ。
なので、欧米などによる情報操作(嘘ではなく一部を過大に伝える)による、石油の利権を狙った
軍事介入・・という見方があるのも納得できる(真相は闇の中だけど)。
ボスニア紛争では、アメリカの広告代理店の情報操作により、民族浄化を行ったセルビア(
実際はクロアチア人、ムスリム人たちも同様のことを行なっていた)が、
世界中から「悪」という認識を持たれ、NATOなどが「人道的立場」で介入し、
セルビア側が敗戦した事もあるし。

「チュニジア」-アラブの春を引き起こした「ジャスミン革命」が起きた国。
この本が書かれた時は、まだジャスミン革命は起きていない。
ただ、欧米よりの路線をとっていた為、イスラム原理主義を抑えなければならず、
独裁かイスラム原理主義かの狭間にいた国ではあるらしい。

「ブルキナファソ」は、政治腐敗は酷いが治安はいい独裁国家。
北朝鮮、フセイン政権下のイラク、軍事独裁下のミャンマーなども治安はよかったはずなので
(一番怖いのは国家権力だ)、一概にいいとは言えないだろうけど。

南部が独立し、アフリカでは20年ぶりくらいに国家が誕生した「スーダン」。
この本では、まだ南スーダンは独立していない。
北部アラブ系イスラム教徒の民兵(ジャンジャウィード)などによる、
南部黒人(キリスト教徒)の虐殺(ダルフール紛争)などで有名だった国。
本書では、欧米が批判している「多数派イスラム教徒による少数キリスト教徒の弾圧」ではなく、
その根源に、欧米の植民地支配や、独立後の内紛にアメリカ、旧ソ連などを始め諸外国の
介入があったことをあげている。

「チャド」は、政治腐敗ナンバーワン。でも膨大な石油の利権は、反政府軍との闘いで消えている国。

「ジンバブエ」は、普通には表記できないほどの(6.5×10の108乗%とか←24時間で価格が倍)、
天文学的数字のインフレで有名な国。
ジンバブエは、独立時はアフリカで最も豊かな国の一つだった。
それが今では失業率80%、市場経済はまともに機能せず、インフレ率はハイパー!!!!
その原因は、独裁者ムガベ大統領が次々に行ったダメダメな政策。
昔、この国の内情やムガベ大統領の失敗政策の事を知った時、指導者がダメだと、
本気で国はダメになるものなのだ・・と思った。

後半は、20世紀の独裁者として「ヒトラー」「スターリン」「ムッソリーニ」「フランコ」「サラザール」
「ポル・ポト」など、
23人の独裁者について、経歴や功罪について述べられている。

ヒトラーに関しては、かれの遺産としてのアウトバーンなど。
スターリンは、あまりいいところ無しなんだけど、ソ連という大国を作り上げたということで、
評価する人もいるらしい。

第二次世界大戦では3国同盟だったのにあまり存在感が無かったムッソリーニは、
マフィアの壊滅や、バチカン市国の成立などをの功績があり、人気も高かったとか。
ナチスドイツと組まなければ・・・だったらしい。

スペインのフランコは、軍事独裁体制を敷きながらも、優れた外交手腕で、
第二次世界大戦を「中立」という立場で無傷で乗り切り、戦後もファシズム軍事独裁体制なのにも
関わらず西欧の一員として認められるという功績を残したとか。

ポルトガルのサラザールはかなり面白い独裁者で、元々は経済学者。
経済の研究にしか興味がなく、嫌々ながらも財務大臣になる条件として「経済政策への不干渉」という
条件を出したらしい。
そして、破綻状態にあったポルトガル財政の赤字を1年で解消。
首相になった後も、目的は「国家による経済統制と安定」で、政策を行った人。
ストライキや労働者運動の弾圧など問題はあるけど、今の日本にも必要な人かもしれない(^^;)。

ルーマニアのチャウシェスクは、妻エレナの政治への介入以来、独裁色を強めたとか。
水素記号も知らないのに科学者を名乗っていたエレナのエピソードは、かなり無茶苦茶で面白い
(この本には載ってないんですが、どこで見たかも忘れた)。

ユーゴスラビアのチトーは独裁者だけど英雄。
「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字」のユーゴスラビアを
まとめていたカリスマ。
チトーが死んでユーゴスラビアは分裂・紛争。
偉大過ぎる独裁者は、亡くなった後に悲劇を生むというのと、その手腕に感心した記憶がある。
もっとチトーが長生きしていれば「ユーゴスラビア人」(チトーが提唱していた)という概念が
しっかり人々に根付いて、分裂しなかったのかもしれない。

ブルガリアのジフコフは、超ソ連追従型独裁者。
なんと、ブルガリアをソ連支配下に入れないかと、ソ連に提案までしている。
ソ連側は、不可解過ぎる申し出だった為、断っているぐらい。

アルゼンチンのペロンは、妻エヴァ(マドンナ主演「エビータ」のモデル)の人気で政権を把握。
妻の死や経済政策の失敗で失脚。
中米ニカラグアの独裁者ガルシアは、アメリカと対立していた英雄サンディーノを暗殺し、
アメリカに協力的だった為、アメリカも彼に協力し、独裁政権を樹立させる事ができた独裁者。
ドミニカ共和国のバラゲールは、暴力、脅迫その他独裁者らしいことをたくさんしたが、
とにかく自然保護に力を入れた独裁者として有名。
それは、現在もドミニカ共和国があるイスパニョーラ島を航空写真で見ると一目瞭然(「不都合な真実」掲載)。
昔「不都合な真実」を読んだ時見た、この写真は衝撃的だった。
西側ハイチは森林伐採により国土が荒廃、最貧国の一つに。
ドミニカ共和国は独裁政権下で、森林伐採を軍を使ってまで阻止した為、現在も残っている。
他にも独裁政権下で厳しい環境保護を行ったという。

韓国からは「全斗煥」の紹介。
これを読むと、韓国が民主化されたのってほんとここ20年くらいの事なんだなーと改めて思います。
昔は、近くてすごく遠い国だった。

カンボジアのポル・ポトは、貨幣経済の廃止、農耕社会を理想とし、知識人などを虐殺した有名な独裁者。

タイは、不思議な国で、頻繁にクーデターが起きるが、ほとんどが無血クーデターの上、
市民への大きな影響も無い。
これは、国民に慕われる国王の存在が大きく、クーデターを起こしても、国王の承認を受けなければ
ならないという背景が大きい。

イラン・イスラム共和国のホメイニは、イスラム上級法学者で、「法学者の統治」という体制を作りあげた。
非イスラム的なものは弾圧の対象になったが、汚職などは減ったという。

イランのフセインに関しては、彼の増長の原因が、アメリカなどによる武器援助であるとしている。
彼の功罪に関しても触れてある。

独裁者としてあげられているのに少し違和感を感じるのが、ブータンのワンチュク王。
最近来日したので、知っている人も多いと思う。
ブータンは、国民幸福度が高い国としても有名。
ワンチュク王の統制下、絶対君主制から立憲君主制への移行に成功したというのは、本当に凄い。

現在、「日本人が知らない世界と日本の見方」を読んでいるんだけど、
その最初の方に、いかに「民主主義」が愚行をおかしやすいか、大衆の扇動されやすさと合わせて
書いてあって興味深い。

独裁政権の怖いところは、ダメな独裁者が政権を握ってしまった時、
その影響力を無くすのが難しいところだよね。
二代目がダメな事も多いし。

現在グダグダな日本の政治。
強力なリーダーシップをとれる政治家が必要な気がするけど、
国会議員でその器の人っていないような・・。

ということで、世界の独裁者について、いろいろ知る事ができる一冊。
なかなか面白かったです(^^)。
ざっと内容を書いたけど、もっと詳しく知りたいなら、読んでみて下さい♪
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「図説スイスの歴史」踊共二著:今もユニークな国「スイス」の成り立ちがわかる! [本:歴史]

図説 スイスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 スイスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者: 踊 共二
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/08/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

永世中立国スイス。
それも武装中立、核シェルターも国民全員が入れる分あるという。
世界の金融のハブでもある。
EU加盟国の地図を見ると、ヨーロッパのど真ん中にあるスイスだけ加盟していない。
独自の道を歩んでいるスイス。

スイスの歴史に興味を持ったのは、先日読んだ「図説オーストリアの歴史」がきっかけ。
中世ヨーロッパって、日本の戦国時代みたいに、とにかく近隣国同士が戦争戦争。
少し前は味方だったところと戦ったり、敵と手を組んだり、新旧宗教による対立も多く、
そこにオスマン・トルコまで入ってきてるし・・・・とにかく戦国時代が何年も何年も続いたって感じ。
そして、中世の大規模な、ヨーロッパの広域を巻き込む戦争で、ピカっと目立つのが、
周囲が戦争しているのに「中立」になってるスイス。
すでに中世から中立国の立場だったとはw(゚o゚)w!と驚いたのがきっかけ。
オーストリアなどは今は中立国だけど、中世ではドイツの一諸侯だったし、
侵略したり、されたりも繰り返してた。

で、スイスは、現在でもかなりユニークな国なので、「スイス人のまっかなホント」(リンク先感想)
などを読み、現在のスイスを知ってから歴史を紐解いた方が、何倍も楽しめます。

スイスは、26のカントンという州に別れており、独自の議会、政府、法律を持ち、その自治権は強い。
アメリカの州制度と似ているけど、人口780万なので、一つのカントンはかなり小規模。
日本で言えば、県や、大きな市が政府、議会、法律を持つという規模。
そして、カントンでも、それをまとめる連邦でも、すぐ国民投票をする国でもある。
何か問題があれば国民投票、そして可決された法律で問題が出れば、また国民投票。
カントンによっては、地域民の投票の結果から、連邦政府が決めた事を守らないことすらある。
アメリカより自治権が強いらしい。
その上、スイスは、公用語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ。
言葉が違うというのは、その地域同士の対立も生みやすい。
しかし、まとまっているスイス。

そういう現在のスイスに見られる事の起源は、中世ヨーロッパの時代から培われた事が
この本を読むと、すごくよくわかる。

スイスの母体になったのは、13世紀頃、自治権を認められた3つの共同体。
それが他の共同体や都市などと同盟を結び拡大していった。
当時、領主の支配下にあるのが普通だったのを考えると、かなり異例。
スイスは、成り立ちからユニークな国だったのだ。
チューリヒ、ツルェルン、ベルンなど、今ある都市の名前もすでに、この時代に出てくる。
そして、宗教改革などによる、共同体同士の闘いなど、分裂の危機を乗り越え、
今のスイスがある。

最初は、領土拡大の為、共同体で同盟を組み、他の国と組んだり、傭兵を派遣して、
他地域への勢力拡大も行なっていたが、16世紀フランスに大敗してから、
政治的に他の国の戦争に加担しないという、今も見られる中立の姿勢をとるようになったという。
ただ、面白い事に、傭兵だけは(農作物などがあまりとれなかったスイスでは、重要な資金源だった)、
派遣している。
それも、敵味方に分かれ戦っている国両方に、傭兵や資材の援助を行なっているというのがすごい。
金さえ払ってもらえばOK!というのも凄いけど、うまく立ち回っているスイスの外交も凄いと思った。

スイスの傭兵というと、バチカン市国の衛兵は全部スイス人だと聞いたことがあるけど、
スイスの傭兵の歴史が長かったのを知ると、すごく納得できる。

中世から、第二次世界大戦後まで、一つ一つのカントンの自治権が強く、
言葉も宗教も違う人々、共同体が集まってできた国スイスがしっかりまとまり、
また人の意識が「スイス人」となっていく過程というのは、とても面白かった。

ただ、薄い本なのに、中世からのスイスの歴史を詳しく追おうとしている為、
固有名詞、地名の羅列羅列羅列で、ものすごい情報量。
細かい部分は、ちゃんと消化できずに終わってしまった。
それでも、スイスという、ユニークな国の成り立ちは、国の成立・あり方の一つの形として、
とても興味深く読むことができた。
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「カラー版徹底図解浮世絵」田辺昌子監修:浮世絵をざっと知るにはいい感じ♪ [本:歴史]

徹底図解 浮世絵―江戸庶民が愛したメディアアートの歴史・名品・技法

徹底図解 浮世絵―江戸庶民が愛したメディアアートの歴史・名品・技法

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新星出版社
  • 発売日: 2011/12
  • メディア: 単行本
7点

浮世絵について、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重など
「6大浮世絵師」、美人画、大首絵、風景画・・・など「浮世絵のジャンル」、
風俗、名所、江戸グルメなど「浮世絵の題材になった風俗」、「浮世絵の歴史」、
「浮世絵の作られ方や技法」、「浮世絵師列伝」の6章にわけ、紹介している本。

オールカラーなので、浮世絵も見やすいし、浮世絵についてざっと知るには良い本。
書かれている内容が少し「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」似ていると
思ったら、監修者の田辺昌子は、「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」の出筆者だった。
内容は似ていても、だらだらと説明している感じを受ける
「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」(リンク先感想)の文章より、
簡潔にまとまっているこちらの方が、何倍も良いし、情報量も多く、面白く読めた。

浮世絵って、絵師、彫師、摺師の技術の集大成なんだなーってのもよくわかったし。
特に、和紙に、絵の具を置いただけの状態と、摺った状態の比較は興味深かった。

「すぐわかる楽しい江戸の浮世絵」を読むよりは、こちらの方が何倍もお勧め(^-^)ノ。
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「知識ゼロからの西洋絵画入門」山田五郎著:画家のエピソードが満載で面白い♪ [本:歴史]

知識ゼロからの西洋絵画入門

知識ゼロからの西洋絵画入門

  • 作者: 山田 五郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本
7.5点

先日読んだすごく似たタイトルの本「知識ゼロからの西洋絵画史入門」(リンク先感想)が
とても面白かったので、同じ著者、タレント・評論家の山田五郎の、
もう一冊の西洋絵画の本も読んでみました。

先日読んだ本は、西洋絵画史入門で、ゴシック、バロック、印象派、象徴派・・・など、
イメージしにくい絵画の派の特徴を、わかりやすい例えと、その派を代表する絵の解説を使って、
面白く解説してくれた本。

こちらは、ゴッホ、ミレー、ミレイ、モネ、マネ・・・etcと有名な画家を、1枚の絵をピックアップして、
解説すると共に、その特徴や性格、エピソードなどと一緒に紹介してくれた本。

青い幻想的なイメージから、何となく薄幸そうなイメージだったシャガールが、
ナチスドイツに追われたりはしたけど、奥さんとラブラブで「幸せっ!絶頂!」って絵を描いてた事や
(見た限りそう思えないんだけど・・・(^^;))、金ピカで妖艶な絵から、
キザでスタイリッシュな人かと思っていたクリムトが、実は職人気質で、工芸と芸術の融合を
目指していた(ユーゲントシュティル)なんて話も面白かった。
金ピカが日本の金屏風などからの影響というのも知らなかったし。
ルソーの絵は、不思議なバランスの絵だと思っていたけど、本当にヘタウマだったというのにも笑った。
でも、そのヘタウマさが他の画家に受け、開いた個展にほとんど人が来なくても、
ピカソ達が「ルソーを讃える夕べ」を開いたりしてたらしい。

画家一人に対し、紹介している絵も一枚(補足で小さく他の絵が掲載されていることもあるけど)で、
物足りないかな?と思ってたら、全くそんなことはなく、すごく楽しく読めた♪

「知識ゼロからの西洋絵画入門」「知識ゼロからの西洋絵画史入門」、
どちらもすごく面白く、楽しんで読めるので、合わせて読むのがお勧めです(^-^)ノ。

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「図説オーストリアの歴史」増谷英樹・古田善文著:オーストリア建国は誰も望まないものだった? [本:歴史]

図説 オーストリアの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 オーストリアの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者: 増谷 英樹
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.5点

オーストリアと言えばハプスブルク家。
後は、第一次世界大戦勃発の原因がサラエボでオーストリア皇太子夫婦が暗殺されたこと。
音楽の都ウィーン。
でも、実際、はっきりしたイメージはそれくらい(^^;)。

この本の最初の方に「オーストリア共和国の建国は誰も望んでいなかった」と書いてあったことに、
興味を持ったので読んでみた。

「オーストリア」の語源となった「オスタリキ」は、996年に初めて現存する古文書に登場する。
しかし、単なる地名だし、この地域、神聖ローマ帝国の一部だったので、
統括する諸侯が変わったり、その領土も拡大したり、縮小したり、ゴチャゴチャ。

「オーストリア帝国」は、1804年、神聖ローマ皇帝フランツ二世が、
オーストリア帝国皇帝(フランツ一世)を名乗った事で、歴史に登場。

第一次世界大戦後、それまでオーストリア帝国(「オーストリア-ハンガリー二重帝国」)だった
チェコ、ハンガリー、ポーランドが独立し、残されたオーストリアは、ドイツとの統合を望んだが、
敗戦国ドイツの勢力拡大を恐れた他の国の思惑もあり、「パリ講和会議」でドイツとは別の
「オーストリア共和国」が成立したのだという。
オーストリアが思った以上にドイツ寄りだったのにはびっくりだった。
でも、元々神聖ローマ帝国の一部だったのが、ドイツの母体になったプロイセンに普墺戦争で負け、
はじかれてしまった・・という流れを知ると、納得なんだけど。

中世ヨーロッパでのオーストリア(オスタリキ)やその周辺地域の、
勢力の変化が第一章で語られている。
第二章では、すでに近代の話になり、マリア・テレジアとその息子ヨーゼフ二世の統治について。
第三章は、「オーストリア帝国」。
第四章は、フランス革命の影響。
第五章は、「オーストリア=ハンガリー二重帝国」。
第六章は、ウィーン世紀末文化と反ユダヤ主義。
第七章は、第一次世界大戦。
そして、八章からは、九章「ナチ支配下のオーストリア」他、第二次世界大戦~現代までの
オーストリアの内情を扱った章が続く。

中世ヨーロッパの動向からオーストリアの複雑な人種構成を語り、
ナチス・ドイツを歓迎した反ユダヤ主義が生まれた理由、
対外的に認識されていた「ナチス・ドイツの被害者」という事実とは違う立場から、
オーストリアの人々がナチスの反ユダヤ主義を歓迎し、ナチスドイツに積極的に協力したという事実を、
認識していく過程が、書かれている。
この本は、オーストリアの成り立ちを追う事がテーマではなく、
中世・近代の歴史を踏まえた上で、現代のオーストリア国家のありようを語る事がテーマになっている。
そういう視点は自分には目新しく、面白く読めた。

また、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の功罪(実際は、ナチス・ドイツによる侵略を歓迎した
オーストリアが、ナチスドイツの被害者であるような認識を世界に広めた)なども興味深かった。

第二次世界大戦後、永世中立国の立場をとっているオーストリアだが、
同じ永世中立国スイスとは違い、EUに加盟したり、海外派兵したり、かなりその動向も
国民意識も違うのが興味深い。

最も不思議な国の一つである「スイス」についても、何か読んで見ようと思った。
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「知識ゼロからの西洋絵画史」山田五郎著:思い切った特徴付けがわかりやすい♪ [本:歴史]

知識ゼロからの西洋絵画史入門

知識ゼロからの西洋絵画史入門

  • 作者: 山田五郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/07/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.5点

現在渋谷「Bunkamura」で「フェルメールからのラブレター展
(2011年12月23日~2012年3月14日)が開催されているので、西洋絵画入門書の感想。
フェルメールの作品は「手紙を書く女と召使い」「手紙を読む青衣の女」「手紙を書く女」の
三作品が展示されているようです。
「手紙を書く女と召使い」は、以前東京都美術館で開催された
フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち」(リンク先感想)でも展示されてました。

この本を読んでて、「そっかフェルメールってバロック時代に入るんだ!」と改めて驚いた。
バロック絵画の作風とは、全然違う。
フェルメールの時代のオランダ絵画は、市民文化の発展による後押しがあったので、
他とは事情が違うんだけど。
その、17世紀オランダ風俗画を見たい方は、「フェルメールからのラブレター展」に
行くのもいいかもしれないです♪
フェルメールは日本での人気が高いので、東京都美術館でのフェルメール展と同じく、かなり混むかな??

で、この本は、真面目そうな顔にメガネ、そして中途半端なモヒカンみたいな髪型が印象的な
タレント・評論家山田五郎の、西洋絵画史の本。

かなり似たタイトルの「知識ゼロからの西洋絵画入門」(感想こちら)も出てます。

テレビでの山田五郎もそうであるように、わかりやすく面白く、古代ギリシャ・ローマから
現代のシュルレアリスムまで、西洋の絵画史を解説してくれます。

ビザンチン、ゴシック、初期フランドル、新古典、ロマン、印象・・・絵画にはいろいろな派があるけど、
イメージが曖昧なものも。
それらの特徴を「むりやり美女に例えると」などで説明してあるのが、面白くわかりやすい。
たとえば「マニエリスム」なら「整形疑惑の人工美人-顔立ちが変に整いすぎて・・(以下略)」、
ムンクが代表的な「ドイツ表現主義」なら
「アラサー自分語りブロガー:仕事も遊びも楽しいけれど・・(以下略)」なんて感じで書いてある。

解説文でも「初期フランドル派」なら、「ゴシックのゲルマン的森テイストとホラー趣味を
パワーアップして、よりリアルに細密に描いた感じ」と簡単にまとめた説明があり、
なるほど~と思ってしまった。

また「細密に」の部分では、初期フランドル派のヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」の
中央にある鏡の飾りの細かさが、その部分をアップにして説明してあり「うわっ細かい!」とびっくり。
「アルノルフィーニ夫妻の肖像」は夫の顔が不気味な絵・・・ぐらいの印象だったのが、大幅に変化!
初期フランドル派の作品を見る時は、細かいところまでチェックなのね!なんて勉強にもなった。
他の派や絵でも、そういう簡潔な解釈や、普通の人が興味を持ちそうな部分のピックアップがあって、
面白かった。

絵は全部カラーで紹介されている上、ワンポイント解説も入っており、西洋絵画史の流れ、
派の特徴などを、雑学として知るには、面白く読めるしわかりやすいしで、とても参考になる本。
時代ごとに、日本との比較もあり、それもまたコネタとして面白い。
楽しめました♪



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「中国がひた隠す毛沢東の真実」「餓鬼-秘密にされた毛沢東中国の飢饉」ただただ恐ろしい・・。 [本:歴史]

中国がひた隠す毛沢東の真実

中国がひた隠す毛沢東の真実

  • 作者: 北海 閑人
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2005/09/25
  • メディア: 単行本
8点

餓鬼(ハングリー・ゴースト)―秘密にされた毛沢東中国の飢饉

餓鬼(ハングリー・ゴースト)―秘密にされた毛沢東中国の飢饉

  • 作者: ジャスパー ベッカー
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/07
  • メディア: 単行本
8点

新年、最初の感想にに何をアップしようか少し悩んでいたのですが
(コステロさんお勧めの「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」-タイトル的にはピッタリ-は観てないし(^^;))、
丁度BSジャパンで放送していた、
池上彰の信州大学での講義「現代史講義-歴史を知ればニュースがわかる」で、
中国毛沢東の「大躍進」と「文化大革命」をやっていたので、この2冊に。

「中国がひた隠す毛沢東の真実」「餓鬼-秘密にされた毛沢東中国の飢饉」と、毛沢東関連の2冊。
毛沢東支配下の中国って、「なんじゃこりゃーーーーΣ( ̄ロ ̄lll)!」と思うほど悲惨なのがわかります。
支配してた期間が長いだけ、ポル・ポトよりも酷い気も・・・。

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ベトナム戦争・カンボジアのポルポト政権などの話を読むと、必ず出てくるのが毛沢東支配下の中国。
ベトナムやポルポト政権への資金・武器などの援助もしている。
ポルポト政権の人民の弾圧・虐殺の体制への思想的影響が非常に大きかったという
「文化大革命」に興味を持ったのが、「中国がひた隠す毛沢東の真実」読んだきっかけ。

まず、参ったのが人名・地名の漢字の羅列。
自慢じゃないけど、私は漢字の名前が苦手で、日本史を敬遠しちゃってるぐらいなのだ。
中国名は、日本名より、もっと難敵(-_-;)。
その上、どんどん人が粛清されていくので、どんどんニューフェイスが登場し、より混乱。
名前似てたりするし。
読むのにちょっと苦労してしまった。

でも、それでも毛沢東が行った「大躍進運動」や「文化大革命」がある意味凄い、
いや、すごすぎるというのはわかった。

数だけで見ても、ポルポト派支配下のカンボジアで虐殺された人は推定200万~400万、
ナチスドイツによる虐殺が2500万人、そして、毛沢東支配下で亡くなった人は、
4000万とも8000万とも言われている(これは政策の失敗などによる餓死なども入るらしい)。
桁が違う・・・。
粛清に次ぐ粛清、人民を煽り、地主層が虐殺されただけでなく、生徒が恩師を辱めた上に殺す・・・
そういう虐殺が正義の名の元に公然と行われ、その上、毛沢東の指示で虐殺に走った学生達も、
結局悲惨な境遇に追い込まれていく。
政策の失敗で飢餓が蔓延し・・・・、ポル・ポトや北朝鮮の実情より、
ナチスドイツやルワンダのジェノサイドより酷いと思われる状況が、何年も何年も続いた中国。

最初は、いまだに真相が明らかになっていない1930年前後の「富田事件」。
まだ中華人民共和国設立前、毛沢東一派が支配していた地区で起きた、
一説には10万人が、自白するまで拷問され殺されたという大規模な粛清事件であり、
早い時期から、捏造により敵を作り出し粛清を行なっていた事が窺い知れる。
自分の罪を認めるだけでなく、仲間を言うまで拷問を続けるというのは、
中世の魔女狩りとも共通するものが。
そして、その後も、この方法は続けられる事になる。

1957年反右派闘争、1958年大躍進運動、1959年反右傾運動、
1960~1961年数千万が犠牲になった大飢饉、
1966年~76年2千万人もの人が死んだ文化大革命・・と、悲劇・惨劇は続く。

全国どこにでも置かれた無記名で密告できる「告発摘発箱」、自分の身や家族を守る為には、
隣人・知人を密告しなければならない相互密告組織の確立と、
毛沢東は中国を、恐怖と疑念渦巻く「密告社会」へと変貌させた。

また目の上のタンコブであった老幹部達は、「治療」と称した拷問のような手術などで、
次々に「病死」。
長期に渡って陰惨な「治療」が続けられた幹部もいたという。

そして、数千万とも言われる餓死者を出した「大躍進」での失敗で立場が危うくなった毛沢東は、
自分の地位を脅かす幹部を葬り去るため「文化大革命」を起こす。
最初は、地主、富農、資本家(黒五類)などの出身者が迫害された。
迫害する側の中心は、学生達であり紅五類(革命幹部、革命軍人、革命烈士、工人、貧農・下層中農)
出身者だった為、「紅衛兵」と呼ばれた。
学校は荒れ果て、黒五類出身の生徒や恩師を、殴り殺しても、何の咎も受けない状況に。
北京ではじまったそれは全国に波及し、多くの黒五類の家庭や人々(多くは文化人や知識人)が
襲われ、家財を略奪されたり、暴力を受けたり、殺されたりした。
その後、ターゲットは変わり、工人・貧農、下層農民階級出身者による、
紅五類の中の高級幹部へとなった。
この文化大革命により、毛沢東は、資本家、文化人、地主、そして政敵を潰すことに成功した。
毛沢東の扇動によって操られた「紅衛兵」は、目的が達せられた後は、お役御免とばかり、
逮捕されたり、農村へ追いやられたりした。

「文化大革命」に関しては、あまり詳しく知らなかったので、かなり衝撃的な内容だった。
ルワンダの虐殺でもそうだけど、人は理由を与えられたり、優越感を刺激されたりすると
(ルワンダでは虐殺されたツチ族はゴキブリと同じというというような啓蒙活動が事前に行われていた)、
このような非道な行動を平気で起こす・・・というのが恐ろしい。
ポル・ポト派が、文化大革命を参考にしていたというのも、
基本になる概念がとても似ており、納得だった。

大躍進、人民公社、三年大飢饉、文化大革命、紅衛兵運動など、
結局数千万という犠牲者を出したにも関わらず、
「醜い歴史に長い無用、年月に任せて忘却させよ」という今でも変わらぬ中国党中央の基本戦略により、
その歴史は若い人達には知らされず、毛沢東は現在も崇められている事も、また怖い。

以前、テレビだったか本だったかで、ネパールで活動しているマオイスト
(ネパール共産党毛沢東主義派)達に、上記のような毛沢東の失政を伝えたら、
全くそれを知らず、逆に嘘を言うなと激怒したというのを見た。
ネパールの話は、もう何年も前の話なので、インターネットなど情報網が発達した今、
「年月に任せて忘却させよ」は徐々に通用しなくなっているとは思うけど、
ネパールは現在、ネパール共産党統一毛沢東主義派が政権を握っている。
悪いことは隠し、良い事だけを言い続ければ、後者だけが真実として広まる・・というのは、
情報網が発達しても変わらないのかもしれない。
原発事故でも思ったけど、「人は自分が信じたいもの」を「自分の気持ちを代弁してくれるもの」を、
信じやすい。
ネパールでのマオイストの勢力拡大には、貧しい人々の立場を代弁するような思想を、
貧しい人々達が支持したという背景がある(マオイストの勢力範囲では、
反対したくてもできないという状況もあったようだけど)。
知識層や富裕層の批判、農村回帰というのは、貧しい人々にとっては、
支持したいプロパガンダなのだろうし。

この本では、毛沢東の狡猾な政策、性格、粛清や側近達の様子なども詳しく述べられている。
今の中国のトップは、粛清の嵐だった毛沢東支配下で生き延びた人達なんだと思うと、
一筋縄じゃいかない、日本の政治家が全くかなわないのも、理解できる。

毛沢東時代の中国の闇の歴史がよくわかる本。
お勧めです!!

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「餓鬼-秘密にされた毛沢東中国の飢饉」の方は、毛沢東の「大躍進」など、
急激で無理な農業改革で起きた、大規模な飢餓に関しての本。

政策の失敗により、肥沃な大地が、飢餓の大地に変貌する、その構造が詳細に語られている。

最初の方で中国に政策面で先行していたソ連の、1930年代のウクライナ大飢饉(ホロドモール)に
ついて述べている。
地方役人は誇張した収穫高を報告し、収穫高が足りなくても政府に報告した分、
農民の取り分が無くなっても取り立てる。
集団化による農村の荒廃、無理な取り立て、それが大飢饉を引き起こした。
また、ソ連統合後も、ウクライナは愛国心が強く、それを潰すために、飢饉の報告は握りつぶされ、
他の地域に食料援助がされても、ウクライナだけは搾取され続けた。
また、その後、スターリンは、この失政の責任を他の幹部に押し付け、大規模な粛清を行なっている。

このソ連、ウクライナで大飢饉が起きた構造は、中国での大飢饉とほぼ同じだ。
そして、このソ連での大飢饉の軌跡をなぞるように、中国でも、集団化、無理な増産計画、
科学的では無い農業政策(倍植えれば倍採れるとか)、
一時的な飽食(足りなくなったら国が配給してくれると、先を考えず食料を消費する)、
労働者の怠惰、農村の荒廃、実際の収穫高以上の報告と取り立て、
農民を土木工事などにかり出した為、滞る収穫作業とそれによってダメになる作物、
実際は国内に穀物が足りないにも関わらず、架空の数字を信じての輸出量増・・・・。
スターリンが悪い報告を信じなかったように、毛沢東も、党幹部からの飢饉の話には耳を貸さなかった。
そして、それが本当の事だと知った後も、自分の失政を認める事はせず、状況を悪化させた。

大量の餓死者が発生し、人肉食が行われ、妻や子供を売ったり、捨てたり、食べたり、
そういう悲惨な時期以外も、毛沢東支配下の中国が慢性的な飢餓状態であったことがわかる。
ちょっとした食料の盗難などで農民は投獄どころか、拷問され殺されたり(元地主だと殺されるが、
貧農はお咎めなしということも)、状況が少し落ち着けば、今度は拷問した側が訴えられ殺されると、
どんな立場でも安心できない・・・という中国国内の状況、毛沢東支配が中国農民を飢餓に追いやり
追い詰めていたことが見て取れる。

本書ではスターリンがウクライナに行ったように、弾圧の為の飢饉がチベットで起きた事にも
言及している。
他にも、飢饉の最中の農村の悲惨な状況(飢餓が襲う農村の壮絶な描写は、
現在の北朝鮮を思い出す)、ほとんど飢饉の影響が無かった都市部との落差
(北朝鮮でも、少し前までは都市部と農村の落差が激しかった)など、
中国の大飢饉に関して、丹念に詳細に調べ上げられ、とても読み応えのある一冊。
こちらもお勧め!!!

ジャレド・ダイアモンドが書いた「文明崩壊」でも、文明が崩壊する理由というのは似ていた。
ソ連と中国の飢饉の構造、独裁者が行った事なども、ソ連が30年ほど先行していたが、
とても似たような軌跡を辿っている。
そして、現在北朝鮮が後を追っている状態とも言える(毛沢東が亡くなったあと状況が改善したように、
金正日が亡くなって変わるのか?)。
人は同じような道を辿りがちなのだろうか・・・・と思ってしまう一冊でもあった。
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「世界の宗教がざっくりわかる」島田裕巳著:キリスト教、イスラム教、仏教、ゾロアスター、マニ、バラモン・・ほんとにざっくりわかります♪ [本:歴史]

世界の宗教がざっくりわかる (新潮新書)

世界の宗教がざっくりわかる (新潮新書)

  • 作者: 島田 裕巳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/04
  • メディア: 単行本
7.3点

タイトル通り、世界の宗教の特徴や歴史などがざっくりと、でもわかりやすく解説されてる本。

宗教を一神教と多神教とに分け対比させる事は多いけど、この本の一章では、
代表的な一神教である、ユダヤ・キリスト・イスラム、それぞれの特色や違いを、
多神教である仏教などとの共通点もあげ、「一神教VS多神教」というように単純には
区別できない事を述べている。

また神による救済を求めるキリスト教的価値観の元では、仏教で説かれる「無」の概念は、
ニヒリズムとして恐怖の対象にすらなったという。
本書で指摘されている通り、日本人が「無」に対する恐怖を抱くことは無いと思う。
宗教観の違いは、モノの捉え方、価値観への影響も大きいのだということが、
このエピソードからもよくわかる。
「無宗教」であるというのは、外国では「反社会的人物」と捉えられやすいとも言うし。

絶対的な創造神がいる一元論の宗教と、善悪二元論の宗教の対比や、
聖と俗を切りわけた「キリスト教」「仏教」、聖と俗の切り分けがされていない
「イスラム教」「ユダヤ教」など他の多くの宗教の比較も興味深かった。

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教だけでなく、ゾロアスター、マニ、バラモン、ヒンドゥー、
そして宗教とは言えないが、儒教や道教などについても、その歴史や世界観、
教義についてまとめてある。

また日本の神道と仏教、そしてその融合、なぜ日本人が無宗教と自認するのかなどについての言及も。

「ざっくり」ではあるが、ざっくりであるからこそ、各宗教の類似点や相違点がわかりやすく、
またその特徴も捉えやすく書いてあり、面白く読めた一冊♪

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「拙者は食えん!サムライ洋食事始」熊田忠雄著:開国した幕末、初めて洋食を食べた侍達の感想は?? [本:歴史]

拙者は食えん!―サムライ洋食事始

拙者は食えん!―サムライ洋食事始

  • 作者: 熊田 忠雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/04
  • メディア: 単行本
7点

開国した直後の幕末。
それまで300年近く鎖国し、日本食しか食べたことが無かった、洋食なんて見たことも無かった侍達。
しかし、開国により、アメリカ、ヨーロッパに派遣され、欧米に向かう船の中で、異国の地で、
洋食を口にせざる得ない状況に。
その時、侍達は、初めて見る「洋食」をどう感じたのか?
それを、残された侍達の日記などから、詳細に調べ上げた本。

お米と魚と野菜、そして調味料は味噌、醤油、そういう物しか食べてこなかった侍たちにとって、
洋食の、肉、バター、パンなどは、臭くて、油っぽく、塩気が足りない、
「口にするにあたわず」という物だったらしい。

この本の場合、幕末の侍達にしぼって、日記に書き残された洋食の感想と、
食べた状況などが、ズラズラとまとめられている。
「面白い読み物」的な面より、狭く深い「データ集」という面の方が強いので、
前半は面白く読めたけど、後半は同じような記述が続くので、ちょっと飽きた(^^;)。

拒絶していたが、慣れるのが早かった者、どうしても慣れられなかった者、いろいろ。
「野菜が足りない・少ない」という記述が多いので、昔の日本人は野菜をたくさん食べてたらしい。
確かに、庶民にとって、通常は「お米+野菜」が食事で、「魚」は月2回ほどしか食べられない、
ご馳走だったらしいから、侍達も大量に魚を食べていたわけじゃないのだろう。

また「塩気が足りない」という記述がすっごく多い事から、少量のしょっぱいおかずで、
ご飯をかっ込むという、食べ方を日常はしていただろうことも、
裏付けられる(今のミャンマーみたいな感じかな)。
別の本で読んだけど、侍達のお米の消費量は半端じゃなかったようだし。

現代の日本人は、食に関しては好奇心旺盛で、いろいろな国の食物にチャレンジする方だと思うけど、
どーーーっぷり300年も鎖国していた侍達にとっては、現代の日本人が、東南アジアなどで
虫料理を出された時のように、見慣れぬものばかりで、拒否感も大きかったのだろう。
ただ、幕末を過ぎ、明治維新の頃になると、洋食が流行ったりしているので、
やっぱり食の文化に関する度量は広いのかも。
ドイツ人などは、同じ国でも、住んでいる地方で食文化に若干の違いがあり、
その差すら拒否するぐらい保守的だと言うし。

また、現代人の多くが美味しい美味しいと食べている洋食も、
視点を変えれば嫌悪するべきものなんだなーとも思った。
今は、日本食や醤油などの調味料は、欧米などで認知度が高くなってるけど、
「生で魚を食べるなんて信じられない」「日本は魚臭い」「味噌の臭いは酷過ぎる」
なんて評価が20~30年くらいまえだと、欧米人の日本への評価なんてので、取り上げられていたし。
海藻なんかは、いまだに「海のゴミ」と拒絶されることもあるようなので、
日本食を美味しい!と食べている欧米人は、どちらかというと、食への好奇心が強い方なのかも。

そういえば、すごく昔、半月ほどヨーロッパに滞在した時、一緒に行った友人は、
1週間前後で、油っぽい料理に悲鳴をあげてた。
でも、私は、全然オーケーで、あまり日本食が恋しいというのは無かった
(フライ系が油ギトギトで、衣はバリバリ、好みじゃなかったのは悲しかったけど)。
生まれ育った文化によって食の嗜好はかなり違ってくるだろうけど、やっぱり個人差も大きいんだろうな。

ということで、食の嗜好を、昔の日本人の視点から見ることにより、再考させてくれる本でした(^^)。
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「知らなかった!日本語の歴史」浅川哲也著:昔日本には「ハ行」の発音は無かった!目から鱗な事がいっぱい! [本:歴史]

知らなかった! 日本語の歴史

知らなかった! 日本語の歴史

  • 作者: 浅川 哲也
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2011/08/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7.8点

息子が幼かった頃、「本箱はなんでホンハコじゃなくて、ホンバコって読むの?」と聞かれた事がある。
その時は「そういう決まりなんだよ」とか答えたけど、この本を読んで、何でホンバコになるのかわかった。
今まで「そういうものだ」と思っていた日本語の決まり、
例えば助詞の「は・へ・を」のイレギュラーな読みや使い方の理由などについて、
日本語の歴史を紐解いて教えてくれる本。
とにかく、日常使っている言葉なのに、知らない事がたっくさんで、目から鱗がポロポロ状態。
ほんとに「知らなかった!日本語の歴史」って内容で、すごく楽しめた。

ただ、古文が苦手な私。
「源氏物語」「方丈記」・・・・など古典が、簡単な説明があるとはいえ、
対訳が無く載ってるので、読むのに苦労してしまった。
江戸時代ぐらいの文章になると、かなり読みやすいけど、鎌倉初期ぐらいまでは、
何度読んでも、意味が通じるようにならない・・・って事が度々。
「日本語は開音節構造なので・・・」なんて知らない言葉が入ってくるし
(かなり後のページで開音節についての説明はあったけど)最初、
自分には難易度高すぎで図書館で借りたのは失敗だったかと思った(^^;)。
でも、そういう部分があっても、面白かった♪

最初に、万葉仮名の使い方。
平仮名が無かった頃、漢字の音を当て字して描かれた万葉集の歌がいろいろ載ってる。
面白かったのは、九九を使った万葉集で、五三月は、5×3=15ってことで十五夜の月の事だとか。
他にも、九九を使った歌が載ってる。

また万葉仮名の当て字には法則があり、
同じ「き」の当て字でも、
「伎・岐・吉・・」・・・「きみ(君)」「きぬ(衣)」などの「き」
「奇・紀・綺」・・・・「つき(月)」「きり(霧)」などの「き」と明確に使い分けされており、
昔の日本には、「き」の発音が二種類あったという。
他にもかつては「あ行のえ(e)」と「や行のえ(je)」「わ行のえ(we)」など、
今は同じ発音・文字で表されているのものの(あ行のいや、わ行のいなども)発音が、
違っていたのは驚きだった。

さ行は「シャ・シ・シュ・シェ・ショ」と発音されていたり、は行に至っては現在のは行の発音はなく、
「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」→「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」→「は・ひ・ふ・へ・ほ」と変化してきたものだったり、
今とはかなり違う音、発音をしていたらしい。
「母(はは)」が昔は「ぱぱ」だったとは!
(その後は「ふぁふぁ」→「ふぁわ」→「ふぁふぁ」→「はは」とかなり変化してるらしい)。
ちなみに「父(ちち)」は「てぃてぃ」。
昔の発音で、古典や今の文章を読むと、別の言葉のように感じそう(^^;)。

こういう日本語の発音の変化だけでなく「っ」などの促音や、「ゃ」などの開拗音が漢語の発音の
影響で出現したなど、外国語の日本語への影響、「氷」はなぜ「こおり」と表記するのか・・・etc、
日本語にまつわる、興味深い話が満載!!

万葉仮名に関しては、言葉遊びなどもいろいろあり、ちゃんと調べたら、かなり面白そう。

「ラ行」で始まる言葉は元々日本には無く、中国から入ってきた漢語や外来語が起源になっている
言葉が多いとか、濁音で始まる言葉も漢語起源もしくは、
「いだく」→「抱く」、「たれ」→「誰(だれ)」のように、最初の母音が省略・変化してできたものが
ほとんどだとか、なるほど~!と思える事もたくさん。

何気なく使っている日本語。
でも、そこには歴史がぎっしり詰まっている事を教えてくれる本!
途中、表などでまとめが入っていたり、部分的に難解でも
(○○変格活用なんてのが苦手な私は戸惑った)、全体的にはわかりやすく書いてあり、
とても楽しめました♪
とてもお勧め(^-^)ノ。
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「図説 神聖ローマ帝国」菊池 良生著:薄い本だけど、内容は濃い! [本:歴史]

図説 神聖ローマ帝国 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 神聖ローマ帝国 (ふくろうの本/世界の歴史)

  • 作者: 菊池 良生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/06/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
7点

ヨーロッパ中世史の「神聖ローマ帝国」。
最初知った時思ったのは「何でドイツにあるのにローマ?」。
有名なハプスブルグ家とか、皇帝争いとか、イタリア王やスペイン王と兼任とか、金印勅書・・・とか、
ブツブツとキーワード的な事は知ってても、なーんか、
もやもやよくわからない「神聖ローマ帝国」について、
ちょっとしたつかみになればと思って読みました。

でも、この本「図説」ってタイトルから簡単そうなイメージを持つけど、
「ちょっとしたつかみ」ではなく「かなり詳しい内容」。
「狭く深い」というか。
これを読むと、ドイツが何故地方分権なのかとか、神聖ローマ帝国の皇帝になる意義や、
神聖ローマ帝国存在の意義、中世ドイツはプロテスタント主体だと思っていたけど、
そうでも無かった事とか・・・、神聖ローマ帝国の内部や特徴がよくわかる。
それだけではなく、その周辺国との関わり、宗教改革の影響、30年戦争や、7年戦争・・・・
神聖ローマ帝国の影響という視点から、中世ヨーロッパの大きな流れがわかって面白かった。

ただこの本、ザクセンを中心に神聖ローマ帝国を追っているので、王道神聖ローマ帝国本でもない。
また、序章で取り上げられているヴェッティン家以外にも、ザクセン王を出した家系がいっぱい、
名前似てる、わかりにくい、他の諸侯もいっぱい絡んでくる・・・名前似てる、わかりにくい・・・と、
読んでて何度も何度も人物とか家系(家系が分裂したり)とか、治めている地域とかを確認するはめに。

ほとんど予備知識の無い外人さんが、日本の戦国時代の各藩の藩主がずらずらと
たっくさん出てくる歴史書を読んでる状態・・・って感じかな?
馴染みが無い名前が多かった上、馴染みがある名前は、○○1世、○○2世・・・みたいな感じで、
忘れた頃に、また出てくるし、同じ人なのに、国が変わると名前が違ってたり(カール5世とか)、
とにかく諸侯の名前に苦労しました。

ドイツは、大きな地区や都市なら、どの位置にあるかそこそこわかるけど、
ポーランド、チェコ、ハンガリー、オーストリア・・・なんかも入ってくるので、それも、
図説を確認しながらの作業に。

著者が日本人なので、例えなどはわかりやすく面白かったし、
内容的にもかなり充実してたけど、読むのが大変だった。

後、昔学生時代に読んで辟易した大学教授が書いた学術書を思い出す、
わかりにくい言い回しが、多かったのも気になった。
これだけは「図説」なんだから、もうちょっと平易な表現を使っても・・・とか思ってしまった。

でも「神聖ローマ帝国」を知るとっかかりになったことは確か。
中世ヨーロッパのパワーバランスとか、国同士の軋轢(特にドイツ側から見たフランス←悪いヤツ)、
国益の為ならイスラム教国と組んでウィーン包囲網を許しちゃったフランス、
自分の領地の利益の為、自国を裏切りフランスと組んじゃったドイツ諸侯・・・など、
当時の複雑な駆け引きなども見えて、興味深い一冊でした。

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「美食の歴史」アントニー・ローリー著:中世ヨーロッパの食の変化。超読みにくい! [本:歴史]

美食の歴史 (「知の再発見」双書)

美食の歴史 (「知の再発見」双書)

  • 作者: アントニー ローリー
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 単行本
4点

序盤は、ヨーロッパ中世の食の移り変わりを、貴族の食卓を中心に書いたもの。
ただ、中盤からは、ヨーロッパ中世の食ではなく、フランス料理史になってしまう。

一番気になったのは、訳が超読みにくい事。
何度読み返しても意味不明だったり、何通りかにとれてしまう文章があったり、
字数を決められたスペースに収める為に、極力省略してる?(だからわかりにくい)と思える部分も。

元々の文章も読みにくいのかもしれない。
自分が知ってる事ですら、何度か読まないとわからないような、
回りくどくて、例えがいっぱい使ってあり、敢えて結論を言い切らない・・そういう表現が多い。
フランス人は、同意見の場合も、肯定せず、相手の言った事と同じ内容を、
言い回しを変えて自分の意見はこうだ・・と言う、というのを聞いたことがあるが、そんな感じ。
そんな感じで、原文もわざと分かりにくい表現を使ってるんじゃないかと思える部分も多く、
全体を通して、すんなり読める部分の方が少ない・・・というくらい読みにくい。
ここまで読みにくい本って珍しい!と思えるほど、読みにくい。

また、わかりにくい割には説明があっさりしていて、「何でそうなの??」って疑問が解決しなかったり、
その背景となる当時の世界観・価値観がわからなくて「????」ってなってしまうことも多かった。
補足が少ないので、ある程度中世ヨーロッパ史、というかフランスの食や厨房の基本知識や、
歴史の知識が必要。

序盤で書かれる、原始的で、美味しさよりその土地の伝統や価値観に拘った料理法・味付け。
それが、新大陸からもたらされた香辛料、印刷技術発達によるレシピ本の普及などにより変化し、
中世ヨーロッパの食の歴史がどんどん姿を変えていく過程は面白かった。
鴨料理には、生きた雛が一部使われていた、16世紀に公案された今でも使える
シュークリームレシピ(焼いているのではなく、揚げている)など、
面白いエピソードがいろいろ載っている。

ただ中盤からは、フランス料理史という狭い範囲が中心となり、
いかにフランス料理の体系ができあがり、ヨーロッパに広まったかを、説明するのがメインで、
それを詳しく詳しく知りたい・・って感じじゃないと厳しい。
中世ヨーロッパでの医食同源の概念や、料理本の普及など、こちらも面白いエピソードはあるが、
視点が「フランス人の価値観から」なので、違和感を感じる部分も。

そんなに厚い本じゃないのに、超読みにくく(これが一番まいった)、
タイトルから期待する「ヨーロッパの美食の歴史」とも、内容が外れていて、いまいちだった。
全ページカラーなので、食に関する絵画などがいろいろ見られたのは良かったけど。
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「死体が語る歴史-古病理学が明かす世界」フィリップ・シャルリエ著:ジャンヌ・ダルク、アイスマン・・骨や遺体からわかること [本:歴史]

死体が語る歴史

死体が語る歴史

  • 作者: フィリップ・シャルリエ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/09/12
  • メディア: 単行本
6点

1991年、イタリアとオーストリアの国境で、驚くほど保存状態の良い青銅器時代(紀元前3000年前)の
男性の遺体が見つかったニュースを知っている人は多いと思う。
アイスマン(エッツィ)(リンク先Wiki)と呼ばれるその遺体を調べる事で、
死因や生前食べていたもの、出身地などを推測することができる。

南米でも、ミイラを調査することにより、年齢、性別だけでなく、出身地や食生活、
生前の怪我や病気などを様々な事を解明する研究が行われているという
(「アンデスミイラ」(リンク先感想)に載ってた)。

昔の骨やミイラなどを医学的に調べることを、古病理学という。
この本は、その古病理学の研究者である著者が、書いた本。

ミイラ化した遺体や骨を調べることで、歴史的に言われていた事が裏付けられたり、
否定されたりした例が挙げられている。

古代文明時代遺体・骨を調べ、病気や関節症などの痕跡から、当時の生活を推測したりもする。
埋葬方法や死因などから、当時奇形がどう扱われていたかを考察する古病理学のジャンルもあるという。

またヨーロッパの死体に対する価値観の違いが読んでいると垣間見えて面白かった。
中世・近代ヨーロッパでの、死体泥棒の頻発とか(解剖や薬などに使う)、
高貴な人々は死んだあと、防腐処理された心臓と遺体が別々に保管されたりとか。
日本だと、著名な人だろうが、遺体の一部を持つ事の価値は無いが、ヨーロッパでは違うらしく、
盗んででも持ちたいという人も多かったらしい。

部分部分は面白いんだけど、全体的な印象は中途半端で尻切れトンボ的。
現在研究中なのか結果が出ておらず、読んでて「えっ、ここで終わり??」って感じるものが多い。
長い前振りだけで、盛り上がったところで結果がなく終わっちゃう。
一番読みたいのって、この尻切れトンボで終わってる部分なのに。
もし遺体を調査できればいろいろわかるのではないか・・・という見解も多い。

何年も前に埋葬され腐敗していなかった遺体に関する伝承がたくさん挙げられているが、
伝承が載せられているだけで、何故腐敗していなかったのかの著者の見解があまり無いのも残念。

内容が多岐に渡っている分、一つ一つが浅い気も。
学術書としては内容が浅すぎ、でも読み物としては、変に詳しく書きすぎていたり、ある程度知識が
ないとわかりにくい部分があったり、簡潔にはまとまってなかったり、エッセイみたいな内容があったりと、
対象とされている読者がちゃんと想定されてないような。

古病理学についての概略や、中世ヨーロッパの死体の扱いなど興味深い情報は多かったけど、
読後、知りたかったことは結局知ることができなかった感、すっきりしない感が強く残る一冊。
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「図解雑学 美術でたどる日本の歴史」並木誠士著 [本:歴史]

図解雑学 美術でたどる日本の歴史 (図解雑学シリーズ)

図解雑学 美術でたどる日本の歴史 (図解雑学シリーズ)

  • 作者: 並木 誠士
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本


少し前に「食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む」(リンク先感想)を読んで、
日本の美術の場合どうかな?と思ったので、この本を読んでみました。

古墳・飛鳥・奈良時代から大正・昭和・平成までの日本美術の流れを追った本。
ほとんど、日本史の最初から最後まで扱っている為、広ーく、浅くになってました。
仏像、建物の様式、蒔絵、螺鈿、着物の柄、将軍の兜、庭の作り、絵巻物、似絵、水墨画、
浮世絵・・・・・・etc。

資料が少ない前半部分(奈良と平安とか)は作品の解説、影響なども詳しかったけど、
時代が現代に近づくにつれ、芸術家の名前がずらずらと書いてある状態に(^_^;)。

大雑把に日本美術の流れを追うにはいいけど、ちょっと浅すぎるかな?という感じ。

また、作品自体があまり載っていない為、文章による説明だけだとわかりにくかったのも残念。
まぁそれをやろうとすると、カラーでもっと大判で、何巻にも渡って・・・ってなっちゃうから、
しょうがないと言えばしょうがないんだけど。

日本美術史の概略を知るのに読むにはいいと思います。
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「食べる西洋美術史」(「最後の晩餐」から読む)宮下 規久朗著:「食とキリスト教」という面白い視点からの考察 [本:歴史]

食べる西洋美術史  「最後の晩餐」から読む (光文社新書)

食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む (光文社新書)

  • 作者: 宮下 規久朗
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/01/17
  • メディア: 新書

7.5点

中世ヨーロッパの宗教画・風俗画・静物画などの絵画を中心に、
アンディ・ウォーホール他現代美術にまで、絵画における「食」の取り扱いの変化と、
キリスト教との関連を追っている本。

食べ物や食事の風景か絵画のテーマに取上げられているのは、圧倒的に西洋美術が多いという。
日本をはじめ、他の文化ではあまり見られないらしい。
その理由を、キリスト教が、パンをキリストの肉、ワインをキリストの血として、
「食という物を重要な位置に置いたからだ」という視点から考察している本。

日本の昔の絵には、食に関する絵が少なかったかな?とちょっと思ったりしたんだけど
(確認していない)、キリスト教と食の関係という視点は面白いと思った。

言われて見れば、仏教がイスラム教、ヒンズー教が食べてはいけないものを指定しているのに比べ、
キリスト教は飽食を否定してはいるが、禁忌な食べ物というのは存在しない。
また、この本によると、聖書の一節には、「食べ物を食べて幸福になるという事」
(本来は、現世の快楽に身をゆだねてはいけない)を赦している文章もあるらしい。

中世オランダの風俗画・静物画で、食べ物の絵が多いのは、当時の飢えと隣合わせの食生活から、
強く人々が思っていた「美味しい物を食べたい」という憧れからで、
その為か、本当に日常食べられていた野菜などの絵は少ないという。
またオランダでの、宗教画と風俗画や静物画が同居している絵から、
徐々に風俗画や静物画が独立していく過程が面白い。

スペインでは、カトリック信仰が強く絶対王政の元、市民社会の発達がなかった為、
宗教画的な影響が色濃く残り、純粋に静物画に見えるものですら、
神聖な雰囲気を醸し出すものとなっていると著者はいう。

人が物を食べている絵、市場の風景、食べ物などの静物画・・・
普通だったら気にもとめない題材だけど、それらが16世紀以降のもので、
それが最初に描かれた頃の時代背景や、その後の美術史への影響・発展を知ると、
新たなる観点で西洋絵画が楽しめる。

絵画の解釈はいろいろあり、諸説入り乱れているけど、
キリスト教の影響下での「食」をテーマにした西洋美術史考察という著者の視点が新鮮で、
面白く読めた。
お勧め(^-^)ノ。
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「古代ローマ帝国トラベルガイド」 レイ・ローレンス著:紀元300年のローマにガイドブックがあったら [本:歴史]

古代ローマ帝国トラベルガイド

古代ローマ帝国トラベルガイド

  • 作者: レイ・ローレンス
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2010/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


紀元300年のローマにガイドブックがあったら・・・というテーマで書かれた、「ガイドブック」形式の本。
紀元300年設定なので、写真はなく、どれも絵です。

しかーし、私のローマ帝国の知識レベルだと、半分も楽しめなかった・・・・(-_-;)。
ローマ帝国史に詳しい人なら、楽しめるのかもしれないけど、それは定かではありません。
高校の世界史で名前だけはかなり暗記したので、有名なローマ皇帝などの名前くらいは知ってるけど、
何をやったかとか、時代背景とかほとんど覚えてないし・・・。
皇帝の名前が出れば、ある程度業績とかエピソードが思い出せる人向けな気が。
これは○○帝が作られた神殿、こちらは××帝の頃建てられたが焼失し△△帝が再建・・・とか、
続けざまに説明されても、ピンと来なくて(^^;)。

最期の方に載ってる、ローマ市民の生活は面白かったけど、ガイドブックなのであっさり。

お勧めなのかも自分の知識レベルでは判別できず、得点未記入。
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「図説 蛮族の歴史 世界史を変えた侵略者達」トマス・クローウェル著:興味深い一冊! [本:歴史]

図説 蛮族の歴史 ~世界史を変えた侵略者たち

図説 蛮族の歴史 ~世界史を変えた侵略者たち

  • 作者: トマス・クローウェル
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2009/06/25
  • メディア: 単行本
7.5点

ゴート族、フン族、アッティラ、ヴァンダル族、アングル族、サクソン族、フランク族、
ヴァイキング、モンゴル人・・・蛮族と呼ばれた民族のヨーロッパ史への影響を追った本。

世界史の教科書などでは簡単にしか触れられていない「蛮族」について、詳しく語られているのと、
その影響が想像以上に大きかった事がわかり、なかなか興味深い内容になっている。

「蛮族」(バーバリアン)の語源は、ギリシャ語の「バルバロス」(複数形がバルバロイ)
-ギリシャ語を話さない人々-で、後に、野蛮な異国人をあらわす言葉になった。

第一章はローマ市を襲い略奪したゴート族について。

第二章・第三章は、そのゴート族すら恐れさせたアジア系の匈奴の流れを組むフン族と
その王アッティラについて。
彼らは、定住しようとせず、略奪と破壊と虐殺を繰り返す遊牧民族で、
現在のルーマニア、ハンガリーなどを荒廃させたり占領し、ローマ帝国内にも何度も侵入、
民族大移動も引き起こし、西ローマ帝国崩壊の要因の一つとなった。

フン族は、アッティラで最盛期を迎え、その死後、歴史の表舞台から消えて行った。
アッティラが最強の軍隊を作り上げた手段や、ローマ教皇との駆け引き、戦いなどが書いてある。

第四章・第五章はヴァンダル族とその王ガイセリックの偉業について。
心なき破壊行為、汚損行為をヴァンダリズムというらしいが、その語源がヴァンダル族。
ただ、ゴート族やフン族ほど激しい破壊行為は行わなかったらしく、ローマ文化を取り入れたりもした。
カルタゴを中心に、ヴァンダル国を作りあげ、キリスト教のアリウス派を信仰した民族。
西ローマを滅亡に追いやった。
ガイセリックがローマを襲撃した際、同じキリスト教徒として教皇の申し出に対し譲歩し、
略奪はしても虐殺や都市の破壊はしなかった。

第六章は、ブリトン人の苦悩として、アングル族、サクソン族、ジュート族の
ブリタニア(イングランド)侵入について。
元々イングランドに住んでいたブリトン人(ケルト系)が、
ゲルマン系の侵入によって制服されていく過程が書かれている。
現在のイギリス人は、ゲルマン系のアングロサクソン人がメイン。
当時、ブリタニアはローマ支配下にあったが、ローマの兵士達は逃げてしまい、
身を守る術のないブリトン人達は見捨てられてしまう。
ブリトン人とゲルマン系民族の戦いの中、アーサー王伝説の元となる人物が活躍したらしい。
結局、アンゴル族やサクソン族がブリタニアを占領し、ローマ・キリスト教文化を破壊する。
しかし、サクソン族は比較的速やかにキリスト教に改宗し、
ゲルマン系民族がヨーロッパキリスト教社会に入るに入る、さきがけとなった。

第7章はフランク族とクローヴィスについて。
フランスの元となった民族フランク族。
元々ゲルマン系だったが、早々にローマ文化を取り入れ、言語もラテン系に。
クローヴィスの時代、カトリックへの改宗も行っている。
ゲルマン民族が、ラテン系へとなった顕著な例な気がする。

第8章~第14章まではヴァイキングについて。
北欧系のデーン人、ノースメン(フランスでは「ノルマン人」)は、機動力があり浅瀬にも泊められる船で、
ヨーロッパ各国を荒らし回った。
ヴァイキングに7章も裂いて語られているのからも、その影響が大きい事が伺われる。

イングランドでは当時あった7王国の内、6王国までがヴァイキングに占領され、
最後に残ったエセックスの王アルフレッドがヴァイキングに打ち勝っていなければ、
現在のイギリスは違う姿になっていた可能性もあるらしい。

フランスではノルマンディー地方に入植したヴァイキングの事が書かれている。
当時のフランク王単純王シャルル三世が、ヴァイキングのロロにノルマンディー地方を譲り、
その代わりに、その地域を他のヴァイキングから守る事を約束させた。
またロロはカトリックに改宗し、2世紀ほどの間に、この地のヴァイキングは、
フランク王国に同化していったという。

また、このノルマンディー地方に入植したヴァイキングの子孫ノルマンディー公は、
後にイングランドに進行し、イングランドを統治下に置く。
その後、アイルランドにも進行した上、フランス貴族とも揉め、
イングランド、アイルランド、フランスが長きにわたって諍うきっかけともなった。

ヨーロッパ各地に侵略を行ったヴァイキングであるが、地中海では、ムーア人に大敗。
地中海のヨーロッパ世界は、ムーア人によって守られたことも書かれている。
ムーア人はスペイン・ポルトガルを700年という長い間占領下におくわけだが、
その影響についても触れられている。

15章・16章は、ロシア帝国の発端となるヴァイキングの子孫が作ったキエフ王国について。
元々異教の神を信じていたキエフ王国が、キリスト教へと改宗した事の影響の大きさがわかる。
キリスト教国となったことにより、ロシアはヨーロッパ社会の一員として認められることになる。

17章~18章は、モンゴル帝国を築いたモンゴル人(タタール人やダッタン人とも呼ばれた)と
チンギス・ハーンについて。
チンギス・ハーンの優れた才能、ヨーロッパ各国の軍隊をけちらしたモンゴル軍の戦術、
また、互いに協力しようとしなかったヨーロッパ各国の諸侯の態度が、
モンゴル人の進撃を許したことなどが書かれている。

また今までの歴史ではないほど、モンゴル族の破壊、略奪、虐殺が激しかった事と、
その影響が記述されている。

通して読んでみると、キリスト教であるか、そうでないかの影響の大きさにびっくりする。
中世ヨーロッパはローマ帝国の影響もあり、キリスト教国が多く、同じキリスト教国であれば、
教会に逃げ込んだ人や司祭を殺さない、教会の破壊はしないなどの不文律があるが、
違う価値観・常識を持つ蛮族達は、実際悪魔のように恐ろしい存在だったのだろう。

現在、キリスト教国や、イスラム教国というのは、割と足並みを揃えようという感じがあるのに、
仏教国はあまりまとまりがないような気がするんだけど、それは気のせい??

中世ヨーロッパの人々を震撼させ、猛威を振るったヴァイキングの祖国、
デンマーク・ノルウェー・スェーデンは、現在好戦的国家ではないのも不思議。
モンゴル帝国を築いたモンゴルもそうだけど。

また、火薬や船の性能の違いなど、新しい兵器、戦術を持っている方が、圧倒的に有利なのが、
性能の良い船を持っていたヴァイキングの進撃や、
中国から火薬などの技術を手に入れたモンゴル人の帝国建設の過程からよくわかる。
現代でも、兵器開発に多額の費用が投じられているのは、抜きん出た兵器を開発した国家が、
圧倒的に有利になるからかもしれない。

教科書では「異民族の侵入」「異民族の侵略」などとしか書かれていないけど、
それは定住し穏やかに暮らしていた人々達が、略奪の為突然襲ってきた蛮族達に為す術もなく、
都市や町を破壊され、虐殺され、生き残った者たちは奴隷とされてしまう・・という凄惨な状態だったことも、
この本を読むとよくわかる。
歴史は、そういう恐ろしい事例の繰り返しなのが実感できる一冊でもあり、
歴史は血生臭い・・・と改めて思ってしまった。
今現在も、そういう血生臭い事例は、世界を見ると事欠かないけど・・。

他に読んでいて気になったのが、王様のニックネーム。
敬虔王、征服王、懺悔王、単純王(狡猾ではないという意味と注釈付き)、
無策王(策が無かったではなく、誤った助言を受けたという注釈付き)・・・
変なのもあるので調べてみると、
禿頭王、童貞王、肥満王、吃音王・・・とんでもないニックネームが目白押しだった(^^;)。

蛮族の影響は、マイナス面が大きいけど、プラスの面があったことも、この本では触れられている。

以前読んだ「世界の民族地図」(リンク先感想)で、
今の世界・国家の多くは侵略で形成されたものなのがよくわかったが、
一つ一つの事例に関して詳しく述べられているものは少なかった。
この本ではヨーロッパ国家の成立に影響を与えたいくつかの民族が詳しく語られているので、
「世界の民族地図」のヨーロッパに関する部分の肉付け的内容になっている。
2冊合わせて読むと、より面白いと思う(^^)。

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「図解 ギリシア神話」歴史がおもしろいシリーズ!神様ってわがまま~! [本:歴史]


図解 ギリシア神話 (歴史がおもしろいシリーズ)

図解 ギリシア神話 (歴史がおもしろいシリーズ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 西東社
  • 発売日: 2010/12
  • メディア: 単行本
7点

ゼウス(ユピテル・ジュピター)、ヘラ(ユノー・ジュノー)、アポロン(アポロ)、
ポセイドン(ネプトゥヌス・ネプチューン)、アルテミス(ディアナ・ダイアナ)、
アプロディテ(ウェヌス・ヴィーナス)、アテナ(ミネルヴァ)、ヘパイストス(ウゥルカヌス・ヴァルカン)、
アレス(マルス・マーズ)、デメテル(セレス・セリーズ)、ヘルメス(メリクリウス・マーキュリー)、
ヘスティア(ウェスタ・ヴェスタ)のオリンポスの十二神(名前は、ギリシャ・ローマ・英語の順)と
人間達が織り成す神話、ギリシア神話。

神様の名前は知ってるし(でも、ギリシャ名だかローマ名だか英語名だか区別ついてない)、
ちょっとした部分部分も知ってるけど、他の話と混ざったりして(似た神話も多いから)、
なーんかぐっちゃぐっちゃの状態だったギリシア神話をザザッっと追える本。

この本も、話がしっかり書かれているのではなく、粗筋を掻い摘んで語られているのだけど、
ワンエピソードだけピックアップではなく、話の最初から最後までの粗筋が載っているので、
全体が見え易い。
話と話のつながりの解説もある。

で、思ったのが、ギリシア神話の神様って、わがまま~。
ある時は、好き勝手やり、嫉妬に狂って酷いことし、全然悪く無い人を不幸にしたかと思えば、
人助けもする・・・・神様というより、権力のある王様・王族みたいだ。

今まで、ギリシア神話を全く知らないわけじゃなかったし、
神様達の気まぐれな行動のエピソードもいろいろ知ってたけど、それはほーんの一面だと思ってた。
でも全面そんな感じなんですねΣ( ̄ロ ̄lll)!・・・って感じ。

それにしても、ギリシャ人の名前って覚えにくい。
たくさんの話が入っているので登場人物がごっちゃごっちゃになりがち(^^;)。

これを読む前よりは、ギリシア神話について、まとまったイメージが固まったけど、
ちゃんと把握したとは言えません(^^;)。
でも、「あっ、このエピソードもギリシア神話だったんだ~」とか、
「この話はこうつながってるのね」なんてのがいくつかわかった。

上にも書いたけど、ギリシア神話について、大まかに知りたいという人にはお勧め♪
オリンポス12神が世界を支配するまでの過程や、各神々にまつわる話、
ギリシア神話にでてくる英雄(ペルセウス・ヘラクレス・イアソン・テセウス)の冒険の話、
いくつもの王家の悲劇、トロイア戦争、そして星座にまつわる話など盛りだくさんです(^^)。
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